小説「な~わ」(17)

楽園

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「楽園」宮部みゆき 

最後まで書いています。注意!

 「有限会社ノアエディション」で働く前畑滋子はある雑誌社で働く知り合いの編集者に頼まれごとをされる。
 亡くなった自分の息子が超能力者ではないかと言って来る女性がいるのだ。その相手をして欲しいとの事。
 萩谷敏子と言う女性で前畑さんみたいな有名なジャーナリストに会えたらと言ってきたので、
前畑さんなら紹介出来ると言ってしまったらしい。
 敏子は話を聞いてくれるならお金を払うと言う。
 放っておけば、腹黒い人間に金を毟り取られる事になるかもしれないし、
昔の事件のツケだと思い会う事にする。
 敏子の息子は等と言った。12歳で亡くなった。交通事故で。ご主人はいない、二人だけの家族。
 等の絵をスーパーで働く同僚の秋吉さんに見せたら、等はサイコメトラーでは無いかと彼女は言うのだ。
 等君は普段はとても絵がうまいのだが、時にへたな絵を描いた。
 等によると頭の中がこういうものでいっぱいになってぐるぐるして気持が悪くなるので、
描かずにはいられないそうだ。
 灰色の女の子が仰向けになっていて、家にはこうもりの風見鶏がついている。
 秋吉さんはその家は人殺しがあった家だと言うのだ。両親が娘を殺して家の床下に死体を隠していた事件。
 時効の事件。その事件が発覚した時等は死んでいた。
 滋子はこれは萩谷さんにとって喪の仕事なんだろうと感じた。
 自分は9年前大きな事件に関わったのに、一度もこう言う事をしてこなかった。
 だから萩谷さんに付き合おうと思う。

 調べてみたら、確かにこうもりの風見鶏だった。
 殺された土井崎茜には妹がいて、その誠子の友達の今井勝男が作ったものだった。

 滋子は他の絵も見せてもらう。そこにあの山荘の絵もあった。13本の手。
 瓶の上部が突き出している所も描かれていた。
 網川達が被害者を埋めた時目印にするためにシャンパンを立てていた。それなのだろうか。
 滋子は前の事件の時の刑事秋津信吾に連絡を取る。
 シャンパンの瓶の事をどれくらいの人が知っているか聞く。
 隠したわけではないので、外部で知ってる人はいるかもしれない。
 秋津は等君の事を調べるなら、茜の事件の事を調べたほうが良いと言う。
 時間が経ってないので情報が取りやすい。秋津からあの事件を担当したのが野本と言う刑事である事を知る。 土井崎夫婦の弁護士高橋雄治の名も知る。

 滋子は等に誰が接触する可能性があるか探るため、等君の血縁、親戚の事を敏子に聞く。
 敏子は長女で上に兄の松夫、下に3人いた。兄の事業は成功している。萩谷ちや。
 敏子の祖母である、千里眼というか、拝み屋さんみたいな事をずっとやっていた。それが色々と託宣をする。
 彼女が失敗すると言うと失敗し、成功すると言うと成功する。
 その祖母が言うのだ、敏子は勝手に結婚させるな、ろくな男をつかまんからと。
 敏子はちやの世話をやらされた。
 レストランで経理をやっていて10歳になる男の子と一人育てている大上と言う男が敏子に好意を持った。
 兄も2人の結婚話を賛成した。しかし、ちやが良くない将来が見える、人死にが出ると反対した。
 兄はちやと口論し、ショックでちやは入院した。大上さんは時間を置きましょうと言ってくれた。大上さんの息子も敏子を慕ってくれた。しかしちやが入院している間に、敏子はちやの信者に乱暴された。
 彼は兄も世話になっている地元の名士だった。一度きりでは無かった。敏子は結婚話を断った。
 ちやは男が敏子を連れ出しても理由を尋ねる事も無く、止めもせずに見ていたと言う。そして妊娠。
 どちらの子かわからない。ちやは大上の子を家に入れるわけにはいかないから出て行けと言った。
 皆は敏子に同情的だったば、兄が経営するスーパーの一軒が漏電で焼け、
ちやは敏子が災厄を呼び込んだのだと主張。
 敏子は家を出る事になった。名士の男は事業を失敗し、今はすでに亡くなっている。ちやも亡くなっている。
 ちやの葬式に敏子が等を連れて出た時、ちやの遺影が倒れ、一族との関係修復の芽は摘み取られてしまう。  兄の松夫は敏子を援助してくれた。彼だけは名士の話も知っていた。
 大上満夫は松夫のレストランを止め、それ以来一度も会っていない。息子の名前は義美。

 滋子は等の学校に行く。担任と話せなかったが図画工作の先生とは話せた。
 彼女、花田早苗は前畑滋子の事を知っていて、あの事件の記録映画も見たそうだ。
 彼女は等の絵を見て、退行した絵と思う。子供が怖い思いをし、退行する。

 秋津の紹介で野本希恵と言う27歳の女性刑事と会う。彼女は土井崎茜の事件と関わっていた。
 滋子の考えでは等君が土井崎夫婦に関わった事は無いみたいだから、他に知っていた人がいて、
その人と関わった。
 野本は網川の事件の被害者日高千秋に思い入れを持っていて、あの事件の事を書かずに責任回避した癖に、べつの犯罪をネタにしてどんなつもりだと怒ったのだった。
 だから滋子と会う事を承知した。

 花田先生から電話が来る。彼女は同僚の先生と不倫していて、その事を等君から指摘された事があったのだ。 学校の人間にはばれないように注意していたはずなのに。

 前畑滋子は高橋弁護士と会い、今は土井崎夫婦と誠子に取材を申し込む。誠子が滋子に会いたがる。
 彼女はどうして両親が姉を殺してしまったのか本当の理由を知りたく、
それを滋子に調べてもらいたいと言って来る。

 滋子は等君が入っていたと言うあおぞら会の事を敏子に聞く。
 小学校三年の時の担任川崎先生に児童相談所へ行きなさいと言われ、
その児童相談所の先生に紹介されたのだ。
 児童相談所の先生は等にあまり問題を感じなかった。等君は川崎先生に何かを見ていたのかもしれない。
 あおぞら会は金川一男と言う製造業をやっている男が始めた大きな子供会みたいなものだった。
 滋子は花田先生に川崎先生の事を聞いてみる。
 川崎先生は数人の女子児童にわいせつな事をした疑いが掛けられていた。

 誠子は一度結婚して、事件のせいで離婚した達夫とまだ付き合っていた。
 その達夫が滋子に、土井崎夫婦から借金を申し込まれた事がある事を言って来る。
 土井崎夫婦は固定収入があり、生活は質素で、達夫は茜からお金をねだられてるのかなと思った。
 しかし茜は死んでいた。
 土井崎の勤めていた会社に行ってみたら、やはりそこでも誠子が体が弱くてと言う理由で借金していた。
 強請られていたのではないか。

 滋子は犯罪の取材をしていた事がばれてあおぞら会の取材が出来なくなる。

 誠子の友達の直美と勝男が茜の友達を見つけてくれた。
 彼女鳩子によると茜の男はシゲと呼ばれていたらしい。ちゃんとした名前は思い出せない。

 誠子の父親、土井崎元が滋子に会いたいと言ってきた。調べるのを止めて欲しいのだ。強請りはあった。
 相手は茜の男。元も相手のちゃんとした名前は知らなかった。

 秋津夫人があおぞら会に入って探ってくれた。30くらいの男が怒鳴りこんできた金を事務長から取っていった。 金川会長の親族らしいその男はアキオと呼ばれていた。
 調べてみたら会長には尚子と言う名の妹がいてその長男が三和明夫と言った。
 ネットで情報を集めてくれた人によるとあおぞら会で引率の先生が子供を殴ってけがさせた事件があったらしい。
 強制猥褻の事も書かれていて、そこにはMのイニシャルが出ていた。
 敏子に等があおぞら会のイベントに参加した時の写真を見せてもらう。三和明夫が写っていた。
 本人の住所はわからないが、母親の住所はわかっている。滋子がそこに行こうとすると敏子も行くと言う。
 野本刑事から知らせが来る。三和尚子の家がテレビに映っていると言うのだ。
 少女が行方不明でその少女はよく三和の家の前に立ち止まっていた。三和には性犯罪の前科がある。
 それで近所の人が騒いでいるのだ。滋子、敏子、野本の三人で現場に行く。
 尚子は近所の人ともめて怪我をして病院に行っていた。
 身の回り品を取りに運転手とあおぞら会の事務局長の人と戻ってくる。
 「荒井さん!」と滋子に名前を呼ばれ、驚いて彼は尚子から腕を離す。よろけた尚子をささえたのは敏子だった。 「奥さん。明夫さんはどこにいるんです。ご存知なんでしょう?奥さんは知ってるんです。知ってるんですよね。
息子さんを止めた事もあったじゃないですか。ねぇ、そうでしょう?奥さん。
あなたはあの人たちを逃がそうとしたことだってあったじゃないですか。鍵をー鍵を開けて。
ねえ、その緑色のカーペットの部屋ですよ。みんなそこに閉じ込められていたんでしょう?
逃がしてほしいって、その、その、髪の赤いー、爪を紫に染めたお嬢さんに、奥さんは着替えをあげた。
着替えと、お金を。だけど逃がせなかった」
 三和尚子は絶叫し、しゃがみ込んで泣き始めた。
 三和明夫とその共犯者はパトロール警官の不審尋問で逮捕された。少女、佐藤昌子ちゃんは無事だった。
 明夫達は出会い系サイトでしりあった女性達にうまい事を言って詐術や暴力を使って金品を巻き上げていた。
 犯行グループの監視下で買い物させられたり、消費者金融で借入を強いられたりした。
 逃げようとすると家族を皆殺しにするとか風俗に売るとか言って脅した。
 泣き寝入りしていた被害者たちが続々と証言を始めた。
 失踪事件が起こる十日前に監禁されていた女性が助けを求めて窓からメモを投げた。
 昌子にはメモの意味がよくわからず、家族にも見せなかった。
 女性はメモを投げた事を話しもうすぐ警察が来るから逃がして欲しいと持ちかけたが、暴力を振るわれ、
拾ったのが小学生の女の子である事も吐き、殺害された。

 土井崎の母親が滋子に会いに来る。茜とシゲの車は人を撥ねたのだ。
 車は盗難車。若い女の人で意識はあった。
 車の後ろに乗せ、所持品をあさり、どこかの掘っ立て小屋に連れ込み、
茜は彼女が高そうな物を着ていたので脱がせ、シゲはその女に乱暴した。
 二人で土を掘って、まだ生きてたかもしれない女を埋めた。その茜の告白を聞いて夫婦は殺してしまったのだ。 誠子は両親から真実の話を聞いた。

 大上義美が敏子に会いに来た。ネットにあった動画で見たのだ。親父も会いたがっている。

感想:やっぱり泣けちゃった。色々辛い目にあった敏子さんには幸せが来なくちゃね。
 茜ちゃんみたいになっちゃうと両親は辛い。体張って死ぬ覚悟で止めるしかないのか。きつい。
 明夫の親もきつかったろう。昌子ちゃんに滋子は茜を見たわけだが、それは茜に対する救いね。

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白鳥異伝

「白鳥異伝」荻原規子

最後まで書いています、注意!

 遠子は母の真刀野に小倶那を守の大巫女のもとで新年を迎える橘の一族儀式に連れて行けとせがんでいた。 小倶那は拾い子だが、母が我が子同然に育てた子だった。
 しかし儀式に橘の一族以外の者がいてはならない。断られる。
 大巫女は遠子の従兄である明(あかる)姫の夢を聞いて、まほろばの大王に嫁ぐ事になると言う。

 遠子と小倶那は二人で都の工人が造っている池を見に行く。丸太の杭を渡っていく二人。
 夕陽を背景に白鳥がこちらへ来るのを見て遠子は不吉な物を感じる。
 それは明姫の見た夢の光景と同じだった。
 遠子は杭から落ち、それを追って小倶那も池に飛び込み、二人は男に助けられる。男は小倶那と似ていた。
 男は一の皇子、大碓、大王の命を受け、明姫をもらい受けに来たのだ。
 皇子は自分に似ている小倶那に自分の御影人にならないかと言ってくる。小倶那は皇子について行く。

 四年後、小倶那は明姫と出会う。彼女は下働きをしていた。
 大碓を愛した彼女は大王のために勾玉を輝かせる事が出来なかったのだ。
 大碓は父を倒す事を決意する。大碓達は明姫を連れて、彼女の故郷三野へ向かう。
 大王の手の者の動きは、大碓の行動を予想していたかのように早く、彼らは追い込まれる。
 小倶那は大碓の影の役割を引き受け、大王に捕えられる。彼は大王の妹、百襲(ももそ)姫に助けられる。
 姫は小倶那の母親だった。彼女は息子に鏡の剣を取らせる。それは大王の血筋の物しか扱えない物だった。  父親は、おそらく、大王。
 小倶那は大王が大碓が都に戻れば許す、明姫の事も忘れる、謀叛は無かった事にすると言う事を聞き、
三野に行く。
 しかし彼も大王の考えが別にある事を感じずにはいられなかった。
 彼は大碓と二人きりで会合し、そこで皇子に斬られそうになり、剣の力が発動、一面焼け野原になり、
大碓は死ぬ。
 明姫は後を追う。

 三野の劣勢は明らか。遠子と明姫の妹、象子(きさこ)は勾玉を探しに伊津母(いづも)に行く事になる。
 勾玉をそろえて、剣の力に立ち向かうため。伊津母で菅流(すがる)と言う男に出会う。
 彼の持っている勾玉こそ探していた物だった。その勾玉は彼によってしか光らない。
 遠子は彼に一緒に勾玉を探す事を頼む。
 象子は伊津母の巫女、豊青姫(とよあおひめ)のもとで修行する事になる。
 遠子と菅流は日牟加で勾玉を見つけ、まほろばの勾玉と、大王のもとにあった三野の勾玉も手に入れる。
 菅流から勾玉を譲り受け、小倶那と対決する遠子。
 しかし彼女は自分には小倶那を殺す事は出来ないと思い知るのだった。

 菅流は気がついたら、四つの玉、玉の御統(みすまる)を持っていた。
 遠子を助けに、彼女がいるはずの小倶那が乗っている船に飛ぶが、そこには彼女はいなかった。
 菅流は傷ついている小倶那を助ける。菅流は遠子を探したが、見つからなかった。
 しかし小倶那は遠子の存在を感じていた。菅流は小倶那の遠征に同行する事にする。
 
 遠子はまほろばの勾玉を守っていた神に助けられ、日高見にいた。
 菅流は遠子を見つけ、小倶那に彼女が必要だと言うが、遠子には小倶那の下に行く事は出来なかった。
 菅流は日高見の勾玉を探しに行く。

 遠子の話を小倶那は聞き、彼女は長により小倶那に差し出される。
 再会し、お互いを求めている事を認める二人。

 小倶那は夜、いつも外出をした。遠子は小倶那をつける。そんな遠子に訳を話す小倶那。
 母、百襲は自分の命を絶って、剣の力と同化し、大王の刺客の手から小倶那を守っていた。
 毎夜、小倶那は剣の力である母と対決する。彼女は小倶那の女を許さないだろう。
 遠子は殺されそうになるが、菅流に助けられる。菅流は日高見の勾玉を見つける事が出来なかった。

 小倶那の戦闘が始まる。
 敵はエミシのはずだったが、小倶那の軍団とそっくりな軍団で、小倶那の軍団は苦戦する。使者が訪れる。
 彼らは小倶那を皇子の名を騙る不敬な一団と言い、小倶那一人が死ねば、捕虜の命は助けると言う。
 将は大王の影である宿禰(すくね)だった。宿禰は剣の力を振るった。
 遠子は一族の記憶を持つ日牟加の岩姫に会いに行くが、五つの勾玉は超越した力なので、
日高見の勾玉は遠子から隔てられている事を教えられる。
 彼女は小倶那の望むとおりにする事にする。それは小倶那が死ぬ事を認め、自分はその後も生きる事。

 宿禰と会う小倶那。宿禰も又、大王の子だった。だから剣の力は宿禰にも宿ったのだった。
 宿禰は日継(ひつぎ)の皇子として小倶那になりかわって凱旋するつもり。剣の力が発動し、小倶那は死ぬ。

 玉の御統は役目を終え、輝きを失った。
 小倶那の部下達は小倶那を慕い、この地で小倶那のために塚を築き、この地を離れないと言う。
 しかし小倶那は帰って来た。彼の血には勾玉の力もひそんでいたのだ。小倶那は剣の力を全部宿禰に渡した。 二人はただの人間としてこの地で生きる事にする。

感想:菅流、カッコいい!菅流、素敵!象子、うらやましい…。
 出来の良い姉の下で忸怩たる思いをした象子の、春。
 小倶那、どう見ても、悲劇のヒーローでしたが、ハッピーエンドで良かったです。
 やっぱり遠子みたいに、不満をバンバン言う人間の方が幸福ですね。
 何もかも自分の中に押しとどめちゃうのは、傍から見れば辛すぎます。
 まあ、世間的には、わがまま人間ばかりだと、困りますが…。
 遠子が大王を殺さなかった事が正しい事かどうかわかりませんが、あまり人は殺したくありません。

関連サイト
白鳥異伝の地


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復活の地

「復活の地」小川一水 ☆☆☆☆☆

一応最後まで書いていますが、スカスカのあらすじです。

 帝都から一千五百キロ北のハイダック庄に高皇(こうおう)家のスミルはいた。
 地鳴りを感じたが大した事は無く、彼女はどこにも無事を知らせずいつもの生活を続ける。
 彼女は今上カング高皇第四息女にして高皇白翼兵団総帥で、他の六名の皇族の陰に立たされ、
この僻地へ封ぜられていた。
 翌早朝、轟音で目を覚ます彼女。それはソアラーの音で、彼女が一応総帥をしている天軍の戦闘機だった。
 そこから二人の人物が降りてくる。一人は天軍の士官だったが、もう一人は役人だった。
 士官はハーヴィット・ソレンスと名乗り、役人はジャルーダ総督代理のセイオ・ランカベリーと名乗った。
 ジャルーダとはレンカ帝国が三年前に占領した植民地だ。総督は14時間前ソアラーの事故で亡くなった。
 帝都は地震に襲われ、他の皇族は亡くなったか行方不明。彼女は摂政につく事を要請される。

 ジャルーダ総督は亡くなる間際、セイオに総督位を譲り、帝国を守れと言った。

 少年はこの国の主の私室に呼ばれた。少年は17で敵国の虜囚。
 老人は侵略を止められなかった事を謝罪する。その時巨大な衝撃が起こり、少年は窓の外に吹き飛ばされる。 部屋は跡かたも無かった。

 セイオは総督府の船がある港に向かっていた。壊れる直前の橋は何とか通り過ぎたが、車は事故った。
 外に出た彼は幼い頃世話になったアンタイル司祭に名前を呼ばれる。
 司祭は近所の花屋を掘り出しに来ていた。セイオは足を患っている娘を助ける。娘はネリ。
 父親は市場に行っていて行方不明、母親は焼け死ぬ。
 川べりのベンチに腰かけていたセイオは声をかけられる。それがソレンスだった。
 高等文官ともなればいろいろとやることがあるのではありませんかと非難され、
ソレンスのソアラーで総督船に行く。
 船にはスタッフ機材、消耗品があった。

 セイオは対策指示に活躍し、その活躍が元老のヨーシュ・クノロックの目に止まる。
 彼はスミルを摂政に担ぎ出す事を提案する。

 ネリの隣に寝かされていた老人はかなり傷ついていた。彼は車いすを取ってきてほしいと言う。
 それで水を配りに行こうと言うのだ。ネリは代わりにする。ネリのその姿を見て同じような活動を始める人々。
 彼女が戻ると老人は亡くなっていた。車いすは初代院長の遺品で宝物室にあったはずのもの。
 車いすが置かれていたそばにはアマルテ神の像。私に何かしろって意味だとネリは思う。


 セイオは帝国復興院の総裁になる。

 ネリは掃除道具入れの狭い倉庫で体を拭いていた。
 そこに少年が隠れてい、兵隊が捜索に来るが、彼女は少年をかくまう。少年はサイと言った。

 ジャルーダは独立を宣言する。

 スミルとセイオはトレンカから西へ三百キロ離れたカンガータに来た。
 国教アマルテ正教の神に正式に折衝就任を報告するため。
 その時地震が起き、スミルやセイオも巻き込まれる。セイオはネリの介抱を受ける。
 右腕は切断された。スミルは無事だった。

 ダイノン連邦権統国の科学者シリンダが駐レンカ大使ガーベルウェイフに驚くべき事を告げる。
 レンカに新しい月が出来た。その小天体が震災を引き起こした。それは人工の物。
 この天体は戻ってきて又災害を起こす。

 セイオが戻ると人々は彼に会いに来た。その中には科学者のサルカンドがいた。
 サルカンドから次の震災の事を聞くセイオ。
 都市最高計画に関わった者は全員冷や飯を食わされている状態で、
セイオが復興院の総裁におさまり続けられるわけが無かった。
 ジスカンバ・サイテン首相は震災の事を言って来たサルカンドを拘束しようとした。政府は何もするつもりがない。 セイオは草の根運動で帝都を守ろうとする。

 サイテンは震災よりも他国の侵略を恐れていた。ゆえに震災の事を秘すつもり。

 スミルは震災がいつ起こるかを発表し、陛下が亡くなられた事、それゆえ自分が十日間だけ高皇に即位し、
その後レンカ皇室を廃止する事を告げる。

 震災が起こる。それに乗じたサランガナンの侵略の手も伸びる。
 しかし軍事衛星が拿捕されて、他国の目を恐れたベローカは震災救難活動に切り替える。
 以前の震災より犠牲者はへったが、それでも一万一千数百人の犠牲者が出た。

 スミルの果敢な行動を知った民衆の復位の声を恐れて、各国はスミルを自国で預かる事を提案。
 彼女はバルカホーン航民国を選ぶ。

 サイテンは高皇が内閣を解散させた後の選挙で当選。
 しかし諸国にうとまれ、サイテンの後ろ盾も下り、金銭授受の件で当選取り消しになる。

 セイオとネリはジャルーダのサイ王子の船にいた。連邦議会設置のための協議をするのがセイオの仕事。
 ネリはジャルーダ人のレンカへの怒りを鎮めるのが役割。

感想:挿絵がアニメ的なので、アニメ化したらと夢想しましたが、アクション無いし、焦点定まらないし、
無理ですね。
 ええ、セイオが好きなんです。動いてしゃべっている彼を見たいんです。恋愛話に燃えたんです。
 単純なんです、私は…。地震はね、怖いですね、モノホンに。日本は全国津々浦々地震がある国ですからね。  やっぱ、阪神大震災からの教訓本、読んだ方が良いかな。お金無いから、家強化も出来ないし…。
 小川一水さんは、真面目で誠実なお話を書く方で、好感が持てます。

他の方のブログを読んでの感想:反省しました、真面目さが足りない私の感想は、浮薄だ。
 書かなかった他の登場人物も好きです。
 どなたかが書いていらっしゃいましたが、
陸軍のトップのジャルーダ人を迫害していたあの男以外は皆嫌いじゃない。
 シンルージの変化が一番嬉しいですしね。地震の描写はやはり色々思います、地震国日本。
 確かに関東大震災を思い出します。
 普段朝鮮人を差別していた分、ああいう時に復讐されると思い込み、朝鮮人が井戸を毒を流したとデマが流れ、朝鮮人をリンチしたとか…。
 まあ、やくざの親分で朝鮮人を匿った人がいると聞きましたが。
 そう言えば、阪神大震災の時も、炊き出しをしたやくざ屋さんの話を聞いたような。

関連サイト
ENGINE セイオとスミル
ENGINE 逆転裁判?
第弐齋藤 土踏まず日記
黒夜行

関係ない事:「ライラの冒険」全部映画化するるもりなんですね、キリスト教的にきびしい内容かと思いましたが。
 ニュースでヒロインがひどい事すると書いていましたが、そんな事は無かったと思います。
 両親がすごいんですよね。そのまま描いて欲しいです。
 「ミヨリの森」母親のきつい描写は薄れましたが、「ライラの冒険」はそこは薄めてほしくない。
 大丈夫ですね、 素晴らしい俳優さんが演じるんですから。両親がああでも、娘は違う。
 それに両親のすごさはそのまま娘に行ってますしね。
まったく関係ない事:ダチョウの足って、足だけ見ると、ホント恐竜みたい。 

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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」J.K.ローリング ☆☆☆
「襲われたダドリー」「ふくろうのつぶて」「先発護衛隊」「グリモールド・プレイス 十二番地」「不死鳥の騎士団」「高貴なる由緒正しきブラック家」「魔法省」「尋問」「ウィーズリーおばさんの嘆き」「ルーナ・ラブグッド」「組分け帽子の新しい歌」「アンブリッジ先生」「アンブリッジのあくどい罰則」「パーシーとパットフッド」「ホグワーツ高等尋問官」「ホッグズ・ヘッドで」「教育令第二十四号」「ダンブルドア軍団」「ライオンと蛇」「ハグリッドの物語」「蛇の目」「聖マンゴ魔法疾患傷害病院」「隔離病棟のクリスマス」「閉心術」「追い詰められたコガネムシ」「過去と未来」「ケンタウルスと密告者」「スネイプの最悪の記憶」「進路指導」「グロウブ」「ふ・く・ろ・う」「炎の中から」「闘争と逃走」「神秘部」「ベールの彼方に」「「あの人」が恐れた唯一の人物」「失われた予言」「二度目の戦いへ」

最後まで書いています。注意!

 ハリー・ポッターはバーノン叔父達と騒動になり、そのまま庭を出て行く。
 ハリーはヴォルデモートが復活したというのに何のニュースも聞けず、いらいらしていた。
 ダドリーがいたので、そのいらつきをダドリーにぶつける。
 そこに吸魂鬼(ディメンター)が現れ二人を襲うが、ハリーがなんとか追い払う。
 魔法省からマグルの前で魔法を不正に使用としたと尋問への出席を要求する手紙が来る。
 ダドリーのひどい状態に怒ったバーノン叔父さんはハリーに出て行けと言う。
 そこに「私の最後のあれを思い出せ。ペチュニア」と言う吼えメールが来、
ペチュニアはハリーはここに置かないといけないと言う。
 ハリーの元にマッド-アイ・ムーディ等が現れ、
ハリーをロンドンのグリモールド・プレイス十二番地に連れて行く。
 そこは不死鳥の騎士団の本部だった。シリウスの家だった。
 シリウス・ブラックにとっては嫌な想い出のある所で、
屋敷しもべ妖精のクリーチャーとも上手くいっていなかった。
 そこでハリーは魔法省がヴォルデモートの復活を認めていない事を知る。
 魔法省のコーネリウス・ファッジはアルバス・ダンブルドアに地位を乗っ取られるのではないかと恐れていた。

 魔法省の懲戒尋問にハリーは行った。
 ダンブルドアが有力な証人を連れてきたおかげで、ハリーは罰せられずにすんだ。

 闇の魔術に対する防衛術の今度の先生はドローレス・アンブリッジ先生と言って、
ハリーの尋問の時にもいた女だった。
 彼女の授業では呪文の練習をしなかった。
 彼女は魔法省から派遣されていて、他の先生を監視する権限を与えられていた。

 ロンがキーパーに選ばれる。

 ハーマイオニー・グレンジャーの提案でハリーが先生として闇の魔術に対する防衛術を教える秘密の会を結成する事にする。
 アンブリッジは承認の無い団体は禁じた。
 ドビーが必要の部屋の事をハリーに教え、ハリー達はそこで闇の魔術に対する防衛術を練習する事にする。
 チョウ・チャンが防衛協会(ディフェンス・アソシエーション)、略してDAという名前を提案し、
ハーマイオニーがダンブルドア軍団(ダンブルドア・アーミー)の頭文字にもなると賛成する。

 クィディッチの試合でハリー達が勝った後、
ドラゴ・マルフォイがウィーズリーの家族とハリーの母親の悪口を言い、ジョージとハリーが殴りかかる。
 おかげでジョージとフレッドの双子とハリーのほうきは取り上げられ、クィディッチが出来なくなる。

 ハグリッドが帰ってきた。巨人と交渉する任務をしてきたのだ。うまくはいかなかったが…。

 ハリーはある日夢の中でロンのパパ、アーサー・ウィーズリーが蛇に襲われる光景を見る。
 蛇の目を通して見たのだ。
 普通の夢とは思えず、ハリーがミネルバ・マクゴナガル先生に訴えると、
マクゴナガル先生はハリーをダンブルドアの所に連れて行った。
 ダンブルドアはハリーの言う事を信じ、適切な行動をとったが、
ハリーはダンブルドアを見て一瞬強烈な憎しみが湧くのを覚えた。
 ハリー達はシリウスの家に送られる。
 着いて早々クリーチャーがハリー達の悪口を言い、シリウスが「出ていけ!」と叫ぶ。
 アーサーは聖マンゴ魔法疾患傷害病院に入院した。大丈夫そうだ。
 しばらくいなくなっていたクリーチャーが見つかってからハリーを熱っぽい目で見つめるようになる。
 ハリーはセブルス・スネイプから閉心術を教わる事になる。ダンブルドアの指示だった。
 閉心術とは外部からの魔法による侵入や影響に対して心を封じるわざ。
 ハリーはその練習の最中に自分が夢で見続けた場所が魔法省の神秘部である事に気づく。 

 ハーマイオニーは元「日刊預言者新聞」の記者、
リータ・スキーターにハリーのインタビュー記事を書いてもらう事にする。
 そしてその記事をDAの仲間、ルーナ・ラブグッドの父親の雑誌「ザ・クィブラー」の載せてもらうのだ。
 アンブリッジは学校での「ザ・クィブラー」所持を禁止し、記事はたちまち学校中の生徒が読む所となる。
 一方アンブリッジはトレローニー先生を解雇、
ダンブルドアは代わりにケンタウルスのフィレンツェを占い学の教師に任命する。

 ハリー達が闇の魔術に対する防衛術を練習していたら、ドビーが現れ、アンブリッジにばれた事を知らせてくる。 みなすぐ逃げたが、ハリーはつかまる。密告したのはチョウ・チャンの友達のマリエッタだった。
 しかしマリエッタはハーマイオニーの呪いを受け、顔がひどい状態になり、それ以上話したがらなかった。
 アンブリッジは必要の部屋にあった名簿を見つけ、そこにはダンブルドア軍団と書いてあり、
ダンブルドアは自らが罪をかぶって、逃げる。

 ハリーはある日スネイプが「憂いの篩(ふるい)」に入れておいた記憶を見てしまう。
 それはスネイプがハリーの父親達にひどくからかわれているというものだった。
 それを見られた事を知ったスネイプは閉心術を教えるのを止めてしまう。

 クィディッチの試合中、ハグリッドがハーマイオニーとハリーを呼び出す。
 ハグリッドは禁じられた森に巨人の弟、グロウプ(そう聞こえる)を隠していたのだ、太い縄に繋いで。
 グロウプは巨人としては小さく、みなにいじめられていた。しかし来たがったわけではない。
 ハグリッドは自分がいなくなった時、彼を世話してくれとハリーとハーマイオニーに頼んだ。
 帰ってみたら、今まで全然駄目だったロンが大活躍し試合に勝っていた。

 O・W・L(ふくろう)試験が始まった。
 ハリーは魔法史の試験の最中に、ヴォルデモートがシリウスを苦しめているのを見る。
 ハリーはただ一つ見張られていないアンブリッジの暖炉を使ってシリウスに連絡を取ろうとする。
 そこにいたのはクリーチャーで、シリウスは出かけていると言う。ハリー達はアンブリッジに捕まる。
 そこに来たスネイプにハリーは「あの人がパットフッドを捕まえた!」と叫び、
シリウスがヴォルデモートに捕まった事を知らせようとする。
 スネイプはただ去って行く。アンブリッジは磔の呪いをハリーにかけようとする。
 吸魂鬼を送ったのはアンブリッジだった。ハーマイオニーが武器の場所を白状すると言う。
 彼女はアンブリッジを禁じられた森に導く。そこにはアンブリッジが嫌いな半獣のケンタウルスがいた。
 ケンタウルスは仲間が人間のために働く事を良しとせず、人間に対して悪感情を持っていた。
 アンブリッジはケンタウルスに痛めつけられるが、ハリーやハーマイオニーも危なくなる。
 そこにグロウブが来、大混乱のうちに二人は逃げる。
 ハリー達は死を見た事がある者だけが見れるセストラルで魔法省に飛ぶ。
 夢の場所にはガラス球が沢山あった。
 そして「S.P.TからA.P.W.Bへ 闇の帝王そして(?)ハリーポッター」と書かれた物が。
 それをハリーが取り上げたら背後からそれを私に渡すのだと言う声が聞こえる。ルシウス・マルフォイだった。   そこには死喰い人達がい、シリウスはいなかった。ハリー達は応戦する。
 シリウス達、不死鳥の騎士団が現れ、ハリー達を助ける。
 ネビルの呪いを受けた足がガラス球をけり、球は壊れる。シリウスはベラトリックス・レストレンジに殺される。
 ヴォルデモートが魔法省に現れ、ダンブルドアが退ける。
 ファッジはとうとうヴォルデモートが復活した事を公に認める。

 シリウスはヴォルデモートに捕まっていたわけでは無かった。
 ハリーはヴォルデモートに見事にあやつられてしまったのだ。
 予言の球はその予言に関わりのある者しか取る事が出来ず、
ヴォルデモートは魔法省にわざわざ行くつもりは無かった。
 クリーチャーは出ていけと言われた時、シリウスの従妹、ベラトリックスの妹、
ルシウス・マルフォイの妻であるナルシッサの所に行き、
ハリーがどんなことがあっても助けにいく人物がシリウス・ブラックである事を教えた。
 そしてクリーチャーはシリウスを暖炉から遠ざけ、ハリーに嘘を吐いたのだ。
 スネイプはハリーが言った事を正確に理解し、シリウスに連絡を取った。
 そして騎士団に警報を鳴らしたのだった。
 ハリーをあのダーズリー家に託したのは、そこにハリーを守るために亡くなった母の血縁がいたからだった。
 ヴォルデモートはハリーが母の血縁が住む所を自分の家と呼べる限り、
そこではハリーを傷つける事が出来なかった。
 だからハリーは一年に一度そこに帰る必要があった。
 砕けた予言は十六年前、
「占い学」を教えたいという志願者の面接にダンブルドアがホッグズ・ヘッドに行った時に聞いたものだった。
 その人物シビル・トレローニーは卓越した能力のある非常に有名な「予見者」の曾曾孫だった。
 「闇の帝王を打ち破る力を持った者が近づいている
…七つ目の月が死ぬとき、帝王に三度抗った者たちに生まれる
…そして闇の帝王は、その者を自分に比肩する者として印すであろう。
しかし彼は、闇の帝王の知らぬ力を持つであろう…一方が他方の手にかかって死なねばならぬ。
なんとなれば、一方が生きるかぎり、他方は生きられぬ
…闇の帝王を打ち破る力を持った者が、七つ目の月が死ぬときに生まれるであろう…。」
 この条件に当てはまったのはネビル・ロングボトムとハリー・ポッターだった。
 ヴォルデモートは予言の最初の部分しか聞いていなかった。
 だから彼は赤ん坊のハリーを襲い、自らハリーに印したのだった。

 今学期最後の夜、ハリーはほとんど首無しニックにシリウスが幽霊として帰ってくる可能性をきくが、
ゴーストとして戻って来る魔法使いは滅多にいなかった。
 ハリーは惨めな気持ちだったが、ルーナと話して少し心が軽くなる。
 マッド-アイ・ムーディ達がバーノン叔父さんにポッターにひどい仕打ちをしたら黙ってはいないと脅しをかけ、
ハリーはダーズリー家に帰るのだった。

感想:反抗期のハリー、かなり荒れています。
 でも彼が本質的に良い子である事がスネイプ先生の過去を見た時とか、ルーナへの対応とかでわかりますね。 確かにスネイプ先生はからかいの対象になりやすそうだし、ルーナは悪い子ではないが、
やっぱりいじめの対象になりやすそうだ。
 もちろん、いじめはする必要が無いし、醜い行為だから、いじめる方がいじめられる人間よりおかしいのだが…。
 ハリーの幼少期の環境は良いとはとても言えませんから、結構奇跡的かな。
 ダーズリー家、わりと好きだったりして…。
 今回シリウスが亡くなってしまいましたが、
私としてはネビルが死ぬ事をもっとも恐れていたので(次はスネイプ先生)、痛みはあまり無く、簡単に通り過ぎ、ちょっと罪悪感。
 死んだと言っても死体がはっきり出ないとピンと来ませんね。
 アンブリッジへのいやがらせの描写は楽しかったです。彼女には同情出来ません。

関連サイト
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団-ネタバレ感想-


ちっちゃん俳句「音楽を 隠すどころか 自分かな」

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忘却の船に流れは光

「忘却の船に流れは光」田中啓文 ☆☆☆☆

最後まで書いています。ネタばらしまくり!注意!!

 聖職者(すさのおいや)は男だけで生まれつきペニスが無く、額に五芒星がある。
 青涼坊ことブルーは聖職者で18歳の神学士(にせどん)である。ここカンノンジマ第三教会では一番若い。
 カンノンジマ第三教会は第二階層にある。頂点の第一階層は殿堂、司教以上しか入れない。
 殿堂の地面が第二階層の天井である。階層は5つまである。
 スピーカーから悪魔崇拝者(デーモニスト)の集会(サバト)が行われているので摘発せよとの命令が流れる。
 ブルーは一番の年下なのでいつも留守番だった。
 皆が出払った後、スピーカーが又別の場所での集会の情報を流してきた。
 ブルーは一人赴き、殿堂が派遣してきた大蟻象司教と共に摘発する。
 あらかた殺すか捕まえるかをした時、雌雄者(いざなぎ・いざなみ)がいる事に気づく。
 雌雄者は子供を産むために特化された者達で、今出産しようとしていた。
 ブルーは赤ん坊を取り上げ、大蟻象司教から赤ん坊を保育者(めのと)に預けてくるように言い渡される。
 保育者とは女性ばかりで乳房が6つもあった。
 ブルーは集会場所を出ようとして一人の修学者(がりべん)に出会う。
 修学者とは頭の大きな者達で修理と研究をしていた。彼の名はヘーゲルと言った。
 ヘーゲルの紹介で保育者マリアに子供を預ける。子供はブルーによりチカと名づけられる。
 それは初名(ういな)で三歳の時に幼名を与えられ、
12歳の時にそれぞれの位階の長から正式な名前をもらうのだった。
 赤ん坊は普遍者(ありきたり)だった。普遍者は何の特徴も無く、世界の最下層に置かれていた。

 ブルーは摘発に行った事を嘘と思われ折檻される。
 その傷が治った頃大蟻象司教に処刑に参加するよう指名を受ける。
 しかし彼には無抵抗の者を殺す事が出来なかった。
 彼はヘーゲルに会い、一緒に聖職者には禁じられた酒を飲む。
 そして教会への帰り道、李々という12,3歳ぐらいの女の子にカツアゲされる。
 彼女は第五階層から来た普遍者だった。

 昇進試験があり、皆勉強に精を出さなければいけない時に、
ブルーは外に行く用事を全部押し付けられるようになってしまった。
 ある時摘発に行かされる。
 しかしブルーは聖職者にとってとても大事な如意棒を失くした事に気づき、摘発をさぼって嘘をつく。
 その嘘がばれ、彼は第五階層のオオクラヤマ第一教会へ転任となる。

 ブルーは又李々に出会う。李々はブルーがかばってくれたのでブルーを好きになる。

 第五階層では徘徊男(ずるずるべったり)とあだ名される者達による子供達の誘拐が起きていた。
 ブルーはその正体が殿堂である事を知る。そんな時チカがさらわれた。
 マリアはブルーを追って第五階層に移り住んでいたのだ。
 ブルーはたまたま出会った李々に殿堂に入り込みたいと思っている事を言ってしまう。
 李々は裏の稼業をたばねている央算岳に頼み、体と引き替えにパスをもらう。

 殿堂に入ったブルーは捕まってしまうが、なぜか解放され、チカも戻される。

 マリアの隣に住んでいた男、警防者(サクラダモン)のグラン・ジョーは革命をもくろんでいた。
 ブルーもその革命に参加する。しかし革命は粉砕され、ブルーはマリアとチカを連れて砂漠に逃げる。
 砂漠では世界からドロップアウトした連中が遊牧民(フリーター)となって奇豚(キートン)を育てていた。
 そこで彼は遊牧民の間に伝わっていた経典の原型を知る。
 彼は遊牧民に殺されそうになったが、何とか逃げ、壁の向こうに行く。
 壁の外にも壁があり、そこには「甚五郎丸」と書かれた乗り物がめり込んでいた。ブルーは殿堂に戻る。

 大蟻象司教の語る真実。世界は「デパーチュア」号と名づけられたタイムマシンだった。
 ある日巨大な船に乗った奴らが現れ、人類は根絶やしにされそうになり、逃げてきたのだ。
 しかし「デパーチュア」号の前に出発した甚五郎丸にぶつかり、自動操縦制御機器が壊れてしまった。
 この事実を公表したらパニックになると思われ事実を隠した。
 そして世界を維持するためにDNA操作によって特定の仕事に適応した外観を持つ者達を作った。
 普遍者を守るために。普遍者は社会のバランスを取るための緩衝材として最下層に置かれた。
 聖職者はもともと壁の修理をするための位階で如意棒はそのための道具だった。
 そしてタイムマシンを作った須佐博士の精神エネルギーで壁を維持していたのだが、よる年波には勝てず、
子供の脳を与えていたのだが、限界だった。
 ブルーは聖職者でありながら修学者の研究心を兼ね備えた脳を持っていた。
 ヘーゲルとはブルーだった。
 修学者はその知識欲が禍して、全て処刑され、出産規制で生まれなくなっていたのだ。
 ブルーは須佐博士の脳、略して須佐脳(すさのお)と入れ替わる。
 チカは経典に書かれている有尾の子供として大切にされる。
 そしてチカは父親であるブルー=ヘーゲルの名をとって、ブルーヘーゲルという幼名が与えられる。
 ブルーヘーゲルが33になった時デパーチュア号は時空間を抜け出す。
 ブルーヘーゲルは先住者を皆殺しにしていった。
 先住者、チキュウの人々は侵略者のことを「門出 デパーチュア」を逆さにして、出門、デーモンと呼んだ。
 そしてブルーヘーゲルの事をベルフェゴールと訛って呼ぶようになった。

感想:やはり田中啓文さん、グログロがひどい。
 普通の方には勧められません(と言うことは、私は普通ではないと…)。 まさかタイムマシンとは…。
 すごい終わり方ですね。

関連サイト
Anima Solaris

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マルドゥック・スクランブル

「マルドゥック・スクランブル」冲方丁 ☆☆☆☆☆
圧縮「吸気」「混合気」「発動」「導火」 燃焼「活塞」「噴出」「回転」「爆発」 排気「曲軸」「分岐」「合軸」「導き」

最後まで書いています。注意!!

 少女娼婦ルーン=バロットの乗った車は爆発した。
 彼女を買った男、カジノ経営者のシェル=セプティノスのルールを破ったために、
与えられた市民登録証を調べてはいけないというルールを破ったために、殺されるのだ。
 シェルは脳にA10手術を受けていた。
 一定以上のストレスを受けると脳が自動的に幸福感を覚えるというもので、
スラムに施された犯罪防止策の一つだ。
 しかし手術には欠陥があった。シェルはストレスを感じると記憶を失くすのだった。
 彼は記憶の死と一緒に少女を殺す。彼の記憶は抽出され記録化しデータとして残る。
 シェルは女達の遺灰でブルーダイヤを作っていた。彼女もブルーダイヤになるのだ。
 しかし二人をつけていた者達がい、バロットは助けられる。
 シェルはオクトーバー社のマネーロンダリングをやっていて、
オクトーバー社はバロットを助けた者達の宿敵だった。

 マルドゥック・スクランブル-09。マルドゥック市が定めた人命保護を目的とした緊急法令。
 バロットを助けた者達、
ドクター・イースターとウフコック=ペンティーノは戦争が終わって世間から廃棄される所だったが、
スクランブル-09専門の事件担当官として有用性を証明する事になったのだった。
 シェルは今までに6人の少女を殺したのではないかと疑われていた。
 バロットのやけどはひどいものだったが、彼らはそれを癒し、彼女に力を与えた。
 その力、電子攪拌(スナーク)は体感覚を何倍にも鋭く出来、周囲にある全ての物体を立体的に体感でき、
電子機器を遠隔操作出切るというものだった。

 シェルはバロットが生きている事を知り、自分が雇っているディムズデイル=ボイルドに彼女を殺す事を頼む。
 ボイルドは重力を自在に発生する能力を持っていて、どこでも歩けるし、弾丸の機動を逸らす事も出来た。
 ボイルドは体の部分に執着し集めている奴らにバロットの殺しを頼む。
 彼らはバロットを殺そうとするが、バロットはその能力とどんな物体にも変身可能な金色のネズミ、
ウフコックの力で敵を一人一人片付ける。
 彼女はいつしかその絶対的な力に酔い、ウフコックの頼みを無視して、ウフコックの力を濫用する。
 ウフコックはネズミに戻ってしまう。そこにボイルドが来る。ボイルドはもともとウフコックと働いていた。
 「俺の手に帰れ」とボイルド。しかしウフコックはそれを拒絶し、無理矢理銃にターンする。
 バロットは血を流す銃を使ってボイルドと戦う。
 ドクターが空中要塞として開発されたハンプティ=ダンプティで二人を救い出す。

 三人は楽園と呼ばれる宇宙戦略実験施設に行く。そこでウフコックは治療を受ける。
 一方バロットはトゥイードルディに出会う。
 彼は重度の身体不随意症児で、身体機能の回復実験のためにここにいるのだった。彼は呼吸をしなかった。
 環境に依存しない体を目指しているのだ。彼の恋人、イルカのトゥイードルディムにも会う。
 イルカのプールは端末だった。バロットはプールを使ってシェルをさぐる。ボイルドが楽園にやってくる。
 彼は殺し屋集団の生き残りミディアムを侵入させ、自分はそれを理由に正門から入る。
 ミディアムは楽園のセキュリティにやられる。バロットはシェルの記憶のあり場所を見つける。
 バロット達は楽園を去り、ボイルドもそれを知って楽園を立ち去る。

 シェルの記憶は彼のカジノの百万ドルチップの中にあった。
 バロット達はカジノに行き、ブラックジャックで百万ドルチップの中にある記憶を手に入れる。
 カジノの帰り、ボイルドに襲われるが、何とか生き残る。

 バロットはシェルの記憶をさぐる。シェルが最初に殺したのは母親だった。
 母親はシェルに性行為を強制していたのだ。
 シェルは近親相姦の犠牲になった事のある少女を選んで殺していたのだった。
 シェルが危なくなり、オクトーバー社はシェルの抹殺をはかる。
 バロットとウフコックはシェルを守ってボイルドと戦う。
 ボイルドはバロットからウフコックを奪うが、ウフコックはボイルドを撃つのだった。

 感想:非常に良かったです。アクション・シーンは最高ですね。映像化できたら良いなと思います。
 不幸な境遇ゆえに頑なな少女バロットは魅力的です。
 もちろん、金色の渋いお声のネズミ、ウフコック様は超絶的に素敵です。優しいし。ドクターもなごみキャラ。
 ボイルドは完璧なハードボイルドな敵キャラ。最後にはウフコックを気づかってましたし、良いキャラです。
 話題のカジノシーンもよく考えられてると思います。賭け事と物語って相性が良いですね。ドキドキしました。

関連サイト
すみっこにある空間

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ビビを見た!

「ビビを見た!」大海赫 ☆☆☆

最後まで書いています。注意!

 ぼく、ホタルはある日不思議な声を聞く。その声は僕の目を午後7時まで見えるようにしてあげようと言う。
 僕の目は見えるようになるが、母とネコのミミは反対に目が見えなくなる。
 テレビをつけるとニジノ市の女性と子供と老人は駅に来て特急コガラシ号に乗って、
男の人は駅前に集まってくださいと言っていた。
 敵がやってくると言うのだ。ぼくは母親を連れて駅に行こうと、家を出る。
 外にいた人々も全員目が見えなくなったようだった。駅に着くと警察署長らしき人が叫んでいた。
 敵の正体はわかっていなかった。
 ぼくは目の見えるものとして残って戦いを助けようと思うが、無理矢理汽車に乗せられる。
 ぼくの隣の窓際の席に7歳ぐらいの不思議な女の子がいた。
 その子は裸で、顔も体も手足の先まで、椿の芽のような色をしている。
 頭には蛾みたいな二本の触覚が生えている。その子はぼくの抱いているネコを見てこわがった。
 この子は目が見えるのだ。その子がワカオが来たと言う。ワカオは大きい男の子なんだそうだ。
 その女の子が突然男の子の蜜柑をひったくった。 
 喧嘩になりそうだったのでぼくは男の子と女の子にチョコレートをやる。
 女の子はチョコレートを気に入りぼくのリュックを覗き込む。
 その時ぼくは女の子の背中に透き通った薄い氷のような羽を見る。四枚の羽のうち一枚はやぶけていた。
 ぼくは思わず羽に触る。とたんに女の子はビビビと羽をふるわせて窓際に飛びのいた。
 ぼくは震えている女の子にジャンパーを着せてやり、ビビって呼んでいいかと聞く。

 大男のワカオが来た。ビビが目当てらしい。ビビは殺されると言うが、このままでは汽車ごと踏み潰されそうだ。 ぼくは汽車を止めてもらってビビを下ろそうと思う。しかし汽車が脱線する。大男も目が見えないようだった。
 大男はビビの事を大事な子、可愛い子と言っていた。
 そして子供をつまみあげてはこれではないと投げ出し、子供は高い所から落とされ死んでいった。
 ぼくはビビを追おうと声を出し、大男に捕まる。
 女の子を連れてくると約束して下ろしてもらうが、ビビは見つからず踏み潰されそうになる。ビビが現れる。
 ビビの羽を破いたのはワカオだった。ビビが何処かへ行ってしまうのが怖かったのだ。
 ぼくに一緒に来てとビビが言う。しかしぼくは7時になると目が見えなくなるんだと教える。
 ビビはホタルの見たいものを見せてあげると言う。海に連れて行ってもらう。船も見る。
 風に飛ばされてビビとぼくはワカオの手の上から海に落ちるがワカオが助ける。
 ぼくはその時世界で一番綺麗なものを見つける。それはビビだった。ぼくは時間までビビを見ていた。
 時間になり何もかも消えた。他の人の目は見えるようになる。
 大男もビビもいなくなっていたが、人がいっぱい死んでいて、汽車も脱線していた。ぼくは幸福だった。
 ぼくだけがビビを見たのだ。

感想

 私には合うとまではいきませんでしたが、それでもすごい話だなと思いました。
 よしもとばなな氏はこの本によって癒されたそうですが、はまる人には非常にはまるのではないかと思います。 絵も子供用とは思えないほど強烈で個性的です。怖いと感じるかもしれないほど。
 みんなの目が見えなくなる話というと「トリフィドの日」を思い出しますが、こちらの方が原初的な力を感じます。  色使いも大胆です。人が結構死んでいて、ビビは素のままの子供で、ワカオは破壊的です。
 これで子供の本かと思うとショックですが、子供は大人が思うほど子供ではないんですもんね。
 実際この本は子供の時に読んで忘れられないと言う大勢の人達の投票によって復刊されたんですものね。
 子供相手だからとへたにオブラートに包まずにそのままの世界を作り出したこの作家は偉いと思います。
ビビを見た!

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禍つ星

「禍つ星(まがつぼし)The Plague Star」ジョージ・R・R・マーティン(George R.R.Martin)1985年 酒井昭伸 訳 SFマガジン2004年12月号&2005年1月号 ☆☆☆☆

最後まで書いています、注意!

 太った人類学者のセリス・ワーン、軍事史を研究しているジェフリー・リオン、サイバー技術者のアニッタス、
裏世界のエキスパートのカジェイ・ネヴィス、そしてリオンが個人的に雇ったボディガードのリカ・ドーンスターは、
ハヴィランド・タフの「良い品をお安くお分けする豊穣の角」号に乗って<禍つ星>に向かった。

 非人類文明、旧フランガ帝国の支配下にあった惑星フロ・ブラナは、かつては繁栄していた植民惑星だが、
今は見る影も無い。
 この星の伝説に言われているのが<禍つ星>である。三世代ごとに疫病を振りまく星。
 セリス・ワーンからこの話を聞いたリオンは、
その星はオールドアースの生物戦争用の胚種船ではないかと思いつく。
 それを手に入れようというのだ。

 胚種船はタフの船を攻撃してくる。船は傷つき、このままでは酸素が無くなるという状態になる。
 酸素を無制限にリサイクルできる与圧服は4着しかなかった。
 リオンが持ってきたチップで敵ではないというコードを打ち込もうとするが、チップが見つからなかった。
 与圧服で胚種船に乗り込むことにする。
 タフは与圧服を着て、倉庫(空気が無い)から装甲宇宙服を取ってくる。
 しかしネヴィスがタフの装甲宇宙服を横取りし、コンピューターを動かすのに必要なアニッタスを連れて行く。
 すでに話がついていたリカも同行する。
 ネヴィスはタフが脱いだ与圧服をずたずたにし、与圧服は一着だけになった。
 しかしタフが自分の飼い猫がチップを隠していたのを見つけた。
 コードは無事受け入れられ、タフの船は<方舟>号にドッキングする。
 タフは空気に疫病とかがあるかもしれないので用心のため与圧服を着て、
他の二人のためにデッキにとまっていた他の宇宙船から与圧服を取りに行く。

 一方、ネヴィス達はエアロックを通過するのに苦労していた。内扉が開かないのだ。
 アニッタスが接続すればうまくいきそうだったが、与圧服が邪魔になってうまく接続できない。
 アニッタスは外扉を開けたら死んでしまうので与圧服を脱ぎたくなかった。
 しかしネヴィスがアニッタスの与圧服を無理矢理脱がせる。内扉は開いた。
 リカはネヴィスの乱暴な様子を見て、彼らから離れる事にする。

 タフが戻ると飼い猫のマッシュルームが外に出されていた。
 タフがいつまでも戻ってこず、不安になったセリスが、タフが空気に疫病があるかもしれないと言ったので、
試しに出したのだ。
 猫の様子に変わりは無かったが、タフは猫を入れなかった。三人で外に出る。
 タフはマッシュルームを抱いて行った。三人は武器庫にたどり着く。
 他の二人は武器の事で夢中で気づかなかったが、マッシュルームの口の中には黒い菌糸が生えてきた。
 タフはマッシュルームを苦しみから解放し、その亡骸を抱いたまま一人彼らから離れて行った。

 セリスは歩くのに疲れ、リオンと別れる。

 アニッタスはサブステーションのコンピューターに接続する。
 この船はフランガに隷属していた種族のフルーンの攻撃を受け、たった四人しか生き残らなかった。
 残った四人も瀕死の状態で、彼らは<方舟>号に自衛を命じ、
フルーンの拠点フロ・ブラナに死の贈り物を定期的に届けるように頼んだのだ。
 アニッタスは死に瀕してい、彼は他の四人を要所に導き、<守護者>を解放した。

 ハヴィラント・タフは培養槽にたどり着き、マッシュルームのクローンをつくる。
 ティラノサウルスに襲われるが何とかやりすごす。

 リカは5種類の守護者が解放された時点で、これ以上の解放を止める事が出来た。

 リオンはネヴィスに対抗するためプラズマキャノンを設置する。条件に合う標的に発射するようプログラムして。
 リオンはネヴィスをプラズマキャノンの前におびき出そうとするが、
解放された<守護者>襟巻きドラキュラにやられる。

 セリスのフェイスプレートは地獄の仔猫の唾により見えなくなってしまう。
 タフの事をうさんくさく思っていたセリスは思い切ってヘルメットを脱ぐ。猫の唾は金属を腐食させていた。
 セリスは猫達を殺し始めるが、疫病により倒れてしまう。
 猫達に襲いかかられた彼女は手榴弾(?)を爆発させ猫ごと死ぬ。

 ネヴィスは歩く蜘蛛の巣にやられる。

 リカはタフと対決するためタフの前に現れる。
 怪物達はリカが頭にかぶっている精神波増幅装置(サイ・ブースター)によりリカを攻撃しない。
 ティラノサウルスがタフを追いかけるが、リオンのプラズマキャノンが反応し、
ティラノサウルスを撃つ(おそらくリカごと)。
 タフは<方舟>号の所有者となる。

感想

 文庫ででるのね、タフシリーズ。大好き、あこぎな商売人、タフ。あこぎって言っても、ちゃんと契約は守るのよね。  ただ依頼人が望む通りにはならないだけで…。

 怪物ってやっぱり魅力的。蜘蛛の巣さん、最高ね。他の方々もグッジョブ!

 誰が許せないって愚痴が多くて、マッシュルームを殺した(結果的に)セリスが一番。
 仔猫ちゃん達がマッシュルームの仇を討ったわね。
 マッシュルームはハヴォック(破壊)と違っておとなしかったのに。

 ネヴィスが装甲服を着た事により粗暴になったのは興味深い。
 銃を持つだけでも強くなった感じがするって聞いた事があるし。
 武器の所有は武器の力を自分の力と勘違いし、粗暴になりやすいかな。

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竜馬がゆく 7~8

「竜馬がゆく 7~8」司馬遼太郎 ☆☆☆☆☆
「厳島」「男ども」「窮迫」「清風亭」「お慶」「海援隊」「弥太郎」「いろは丸」「中岡慎太郎」「都大路」「船中八策」「夕月夜」「陸援隊」「横笛丸」「朱欒の月」「浦戸」「草雲雀」「近江路」
竜馬がゆく〈7〉文春文庫
竜馬がゆく〈8〉文春文庫

 坂本竜馬は窮迫していた。金が無い。その頃、竜馬の故郷、土佐でも事情が変わってきていた。
 幕長戦争における長州の勝利で、時勢は変化した。
 藩内勤王党を弾圧してしまった今、薩長に割り込むためには一介の浪人である竜馬に頼るしかないのだった。
 後藤象二郎が竜馬に会いたいと言ってきた。
 竜馬は後藤象二郎と会い、海援隊を作り、土佐藩と提携する事になった。これで金の問題は解決した。

 竜馬は蒸気船が欲しかった。
 そこで伊予の大洲(おおず)藩に頼んで、船は大洲藩のもの、運転は海援隊ということで買ってもらう。
 「いろは丸」と名づける。しかし、いろは丸はその初航海で紀州藩の明光丸と衝突してしまう。
 いろは丸は沈んでしまった。竜馬は紀州藩と難しい折衝をする事になってしまった。

 その頃、京では四賢候会議を行っていた。
 薩摩候、越前候、伊予宇和島候、そして土佐の山内容堂の4人である。
 薩摩はそこで幼帝に勅命を出してもらって、土佐を巻き込むつもりだった。容堂はその事を察し、引き上げてしまう。 容堂は「わが家は徳川家に大恩がある」ということで、幕府擁護の立場をとっていた。
 後藤象二郎はにっちもさっちもゆかず、困ってしまった。そこで竜馬が提案したのが「大政奉還」という案である。  元々は勝海舟と大久保一翁が言っていた事ではあるが、今その案が現実味を帯びてきたのである。
 後藤象二郎はその案を自分の案として容堂に出す。容堂は郷士を蔑視していた。

 そんな時、長崎で英国水兵が斬られる事件が起きる。その下手人が海援隊士だというのだ。
 後藤象二郎は英国公使パークスと交渉をする。

 徳川慶喜が大政奉還をした。竜馬はそれを聞き、顔を伏せて泣いた。慶喜の心中を慮ったのである。
 竜馬は新政府の基本方針を書く。この案がほとんどそのまま新政府の基本方針になる。
 そして竜馬は中岡慎太郎と共に暗殺されてしまう。
 
 本当にこんな人がいたのかと疑いたくなるほど魅力的な人物、竜馬。こんな人がいたんだと思うと嬉しい。
 ちょっと汚すぎるけど。こんなに汚くてホントにこんなにもてたのか?
 確かに単なるハンサムより楽しい男の方が良いが…。男にはモテモテだろうな。
 
 7巻に出て来るお慶さんには驚きました。女傑ですね、女傑!市場調査のために上海に密航。
 小作りの美人で、一晩でも男無しではいられぬという男好き。松方正義と大隈重信に背中を流させた!!
 エライ女だ。


 

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麦の海に沈む果実

「麦の海に沈む果実」恩田陸 ☆☆☆☆
序章「」「駅」「湿原」「張出窓」第一章「駅」「青の丘」「緑の館」「ファミリー」第二章「ルームメイト」「食堂にて」「天使の夢」第三章「三月一日」「図書館の少年」「パーティの話題」「第一の失踪事件」「ある解答」「第二の失踪事件」第四章「招待状」「四人の客」「本の題名」「闇からの声」「現れたもの」第五章「青の丘の過去」第六章「春の気配」「ワルツの稽古」「祭りの準備」第七章「贈り物」「祭りの始まり」「最終日の朝」「開幕」「林の中の影」「意外な人物」「舞台の上で」「宴のあと」「深夜の幕切れ」第八章「記憶の底から」「約束」「再びお茶会へ」第九章「百科事典の中に」「薔薇の迷路」第十章「誰が少女を殺したか」「嵐の告発」第十一章「告白」「不安な夜」「深夜の部屋で」第十二章「疑惑の影」「混乱」第十三章「夏至の午後」「ゲームの行方」第十四章「遠い約束」第十五章「秋の訪れ」「十月はたそがれの国」「夜明け」終章
麦の海に沈む果実講談社文庫

 これは、私が古い革のトランクを取り戻すまでの物語である。

 私は子供の頃、パリに住んでいたことがあると思っていた。
 しかし祖母によるとパリどころかろくに家から出たこともないと言う。ではあの丘の記憶は…。

 列車のボックス席。私の名を呼ぶ少女の声。いや、あの時はあの青い丘を見てさえいない。
 少女、麻理衣と約束を交わすのはもっとあとだ。

 湿原で舞っている少年。少女は絶叫する。湿原に吸い込まれる少年。

 そして黎二の声。

 「麦の海に沈む果実」

 わたしが少女であったころ、
 わたしたちは灰色の海に浮かぶ果実だった。

 わたしが少年であったころ、
 わたしたちは幕間のような暗い波間に声もなく漂っていた。

 開かれた窓には、雲と地平線のあいだの梯子を登っていくわたしたちが見える。
 麦の海に溺れるわたしたちの魂が。

 海より帰りて船人は、
 再び陸(おか)で時の花びらに沈む。

 海より帰りて船人は、
 再び宙(そら)で時の花びらを散らす。

 二月の最後の日。水野理瀬はトランクを盗まれ、そのままトランク無しで湿原の向こうの丘の上の学園に入る。

 校長の家に行く途中で、きれいだが虚ろな表情の少年を見る。家にいた校長は威圧的な美しさのある人だった。
 スカートの裾を翻し、ハイヒールをはいている校長を理瀬は女と思ったが、校長は男だった。
 校長はその日の気分で男になったり女になったりするのだ。

 ファミリーと言われる中等部と高等部を縦割りにした班。
 彼女のファミリーとして紹介された人達の中には成績トップの聖(ひじり)がいた。
 そしてやはりファミリーの一員である黎二が理瀬に聞いてくる。「どうしてこんな時期にここに来たの?」
 この学園では新入生は三月に入る事になっていたのだ。

 寄宿舎の自分の部屋にいると乱暴にドアがノックされる。
 ドアをノックした元気な美しい少女は憂理と言って、理瀬の押しかけルームメイトになる。

 図書館であの校長の家の前であった少年に追いかけられるが、黎二に助けてもらう。
 そこで黎二から「三月以外に入ってくる者があれば、そいつがこの学校を破滅に導くだろう」
と言う言い伝えを聞かされる。

 ファミリーの一員だった功と麗子。二人は不可解な形でいなくなっていた。
 この学園には才能のある子達も多く入っていたが、
複雑な家庭の事情により厄介払いと言う形で入っている裕福な家の子女達もいた。
 そのような事情により、学園の外にいる元生徒達とは連絡が取れなかった。
 校長は二人とも生きていると言うが、言葉どおりには受け取れない。

 ある日校長のお茶会に呼ばれる。お茶会には理瀬と憂理の他に、黎二、聖が呼ばれていた。
 校長は理瀬を霊媒にして、麗子の霊を呼ぶための降霊会を開こうと言う。
 麗子が生きている事を信じていない黎二や聖に生きている事を証明するため。しかし呼び出されたのは功の霊。
 降霊会が終わり、校長が明かりをつけようとしたら、絶叫が響き渡る。
 ドアの外には背中にナイフを突き立てられた、校長の取り巻きの一人、修司の死体があった。

 四月、理瀬はヨハンと言う美しい少年と知り合いになる。
 彼は女の子達に非常に人気があり、理瀬への風当たりが強まる。そして…。

 全寮制寄宿学校と言うと私にとっては少女漫画の世界。美しい少年少女。迷路みたいな造りの学園。お茶会。
 薔薇の迷路。天井裏に隠されている本。謎の少年。
 これだけでも私はこの物語を愛するのだが、その上、実は毒を持っている少年少女と来た日には………
たまりません。
 ちょっとした毒は極上のスパイス!

 ところでこの話は誰かの頭の中の物語の話なのかな。序章がとってもあいまいだから…。わからない。
 記憶があやふやなだけなのかな。

関連書籍:「黄昏の百合の骨 」水野理瀬、後日談「図書室の海」水野理瀬の幼少の頃の短編がのっている。「殺人鬼の放課後―ミステリ・アンソロジー2」ヨハン、後日談の短編がのっています。

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