ホーンブロワー(3)

海軍提督ホーンブロワー

「海軍提督ホーンブロワー」セシル・スコット・フォレスター ☆☆☆

最後まで書いています、注意!

「ハンガリーの聖エリザベト」
 海軍小将ホーンブロワーは西インド諸島方面の英国海軍艦艇を統帥する顕職にあった。
 彼は六ポンド砲二門、乗組員16名のスクーナー、クラブ号でニューオーリアンズを公式訪問する。
 色々事情があってそれしか無かったのだ。
 そこにはフランスの将軍カーンブローヌ伯爵がチャーターした船が泊まっていた。
 そしてホーンブロワーのために開かれた晩餐会でカーンブローヌに会う。
 カーンブローヌは一緒に同行したフランス総領事の夫人がご不快気味との事で中座する。
 しかしカーンブルーヌが予定を早めて出帆した知らせが入る。総領事夫人は仮病だったのだ。
 狙いが何かは分からぬながらも、ホーンブロワーが来たので急いで出たらしいので、
ホーンブロワーは追いかける事にする。
 彼は事前にカーンブローヌの船に積まれている物が何か調べさせていた。
 それは鷲の飾り物がついた熊の毛皮の帽子だった。それはナポレオン軍の近衛連隊が被っていた物だった。
 ホーンブロワーはカーンブローヌがセント・ヘレナに幽閉されているナポレオンを救うつもりだと気づく。
 しかし応援を頼む時間は無いし、彼我の戦力差は大きく、実力で阻止する事も出来ない。
 カーンブローヌに追いついたホーンブローワーはナポレオンが死んだと嘘をつく。紳士の名誉にかけて誓った。
 カーンブローヌはホーンブロワーを信じ、セント・ヘレナに行く事をあきらめる。
 クラブ号に帰ったホーンブロワーは自分は紳士で無くなった、名誉を汚した、
司令官は辞めなければいけないし、軍籍から退かなければならないだろうと苦悩する。
 クラブ号はポート・オブ・スペインに投錨。そこの総督からホーンブロワーはナポレオンが死んだ事を聞かされる。 ホーンブロワーは思い出す、ハンガリーの聖エリザベトの事を。夫の厳命に背いて貧しい者に食べ物を、
エプロンいっぱいのパンを、運び続けていたら、夫に見つかり、エプロンに何を入れているのだと問い詰められ、
バラの花と彼女は嘘をつき、夫に言われてエプロンを開くと、そこにはいっぱいのバラの花があった。
 人生は出直しがきくのだ。

「南海の星」
 英国では奴隷が禁止になっていた。
 で、英国海軍の艦艇に、公海上で解放された奴隷の頭数に準じて、報奨金がもらえた。
 ホーンブロワーが乗っている船クロリンダ号の艦長サー・トマス・フェルは、浪費家の家内を持つ身でもあり、
金に困っていて、ぜひともその報奨金が欲しかった。
 ホーンブロワー達は奴隷船らしき物を見つける。それはエストレリャ・デル・スル、<南海の星>と言う船だった。 あちらの船は速さもあり、どうやら大胆不敵な船長と、腕こきの乗組員が乗っているらしく、動きも素晴らしく、
結局クロリンダ号は追いつくことが出来ず、サン・ファンに入り込まれてしまう。
 サン・ファンでは奴隷は違法ではないので、捕まえる事は出来ない。
 向こうに泊まっているエストレリャ号を見ながら、ホーンブロワーはある策を思いつく。
 彼は書記のスペンドラブに命令して、サー・トマスにスペンドラブの策として伝えさせる。
 フェルは正直にスペンドラブの策だと告白しながら、その策を提案する。
 今夜のうちにこっそり、エストレリャ号の艦底か舵に吹流しをつけるという物だった。
 吹流し作戦は見事成功、クロリンダ号は無事エストレリャ号を拿捕する。

「血迷える海賊」
 ジャマイカにて、ホーンブロワーは部下達と一緒に地元の名士の舞踏会に赴く。
 食事前の踊りの時間、ホーンブロワーにとって音楽は苦痛でしかなく、踊りには全然興味が無いので、
その間この家の主人とただ会話をしなければいけないと言うのが苦痛だった。
 彼はスペンドラブの庭で涼みたいというのに付き合う。しかし、二人はそこで誘拐される。
 連れて行かれたのは崖の中腹。誘拐者は頭を失った海賊達だった。
 彼らは二人の様子から、ホーンブロワーがスペンドラブを見捨てる事は絶対に無いと気づき、
ホーンブロワーを返して、赦免状を要求させる。
 しかし総督が海賊を許すはずなど無かった。
 ホーンブロワーはでは、自分は引き帰さなければいけないと言う事を言うが、
総督がそれを許すはずも無かった。
 しかし次の朝、スペンドラブが自力で脱出した事を知る。ホーンブロワーは自分で海賊達を捕まえるのだった。

「カラボボの砲弾」
 ホーンブロワーのいるキングストン港に、ミスタ・チャールズ・ラムズボトムがやってくる。
 ホーンブロワーはすでにバーバラからの手紙で彼の事を知っていた。バーバラは彼を褒めちぎっていた。
 毛織物・陸軍御用被服請負業で百万長者になった父親の財産を受け継ぎ、若く、魅力的で、未婚。
 彼は背は低かったが、ハッとするほどの美男だった。
 彼は自分の乗船「アバイダスの花嫁号」にホーンブロワーや総督達を招待する。
 素晴らしい酒、素晴らしい音楽(ホーンブロワーにとってはおぞましい物だが)、素晴らしい食事、
そして感じの良いホスト。
 完璧なもてなしだった。
 ホーンブロワーは演習に出かけ、帰ってくると総督の呼び出しを受ける。
 彼がベネズエラ沿岸を封鎖したと言うのだ。覚えの無いホーンブロワー。どうやらラムズボトムの仕業らしい。
 彼の母親はベネズエラ人、今ベネズエラではボリーバーがスペイン軍と戦っていた。
 ラムズボトムはオランダ船を拿捕、その艦にはスペイン側に送るための野砲も積んでいた。
 スペイン側総司令官はカラボボにいた。
 見つけたラムズボトムの船にはコロンビア人達が、ホーンブロワーに船を渡すために乗っていた。
 ラムズボトムはもうすでに上陸していた。ホーンブロワーはプエルト・カペヨに向かう。
 そうすると人をぎゅう詰めにした漁船が点々と見えた。スペインの残忍に加担した人達だろう。
 どうやらスペインは負けたらしい。上陸したホーンブロワーは砲兵隊に出会う。
 そして前後の馬の間に吊るされた籠の上に人が横たわっていた。
 もじゃもじゃの黒ひげ、熱に浮かされたような目、日焼けしてるのに無残に青白い顔。ラムズボトムだった。
 彼は左腕を失くしていた。ホーンブロワーは自分が連れてきた軍医に見せる事を勧めるが、彼は断る。

「ハリケーン」
 海兵隊の軍楽隊員ハドナットに対し、
頑強かつ執拗な命令不服従の罪状で軍法会議を開いて欲しいと楽長からの告発。
 ホーンブロワーは楽長の話を聞く。楽長によるとハドナットのコルネットの腕は一流で、19歳だった。
 ハドナットは楽譜にはbフラットと書いてあるのにbバチュラルで吹くのだ。フラットでは甘すぎると彼は言うのだ。 命令だと言い聞かせ、もう一度やり直させたのだが、やはり彼はbナチュラルで吹く。
 16名の楽員の前での命令不服従。それで楽長はハドナットを命令不服従で告発した。
 ホーンブロワーはハドナットに会いに行く。
 痛ましいほど若い男で、その目はホーンブロワーを通り越して無限の彼方を見ていた。
 ハドナットによると、あんな音楽は何と言われようと演奏できないそうだ。
 彼はヨークシャの一寒村の少年でしばしばひもじい思いをしていた。
 戦争の末期ごろ、村に騎兵連隊が宿営していて、軍楽隊もいた。彼らは熱心な少年に楽器を教えてくれた。
 やがて少年は田舎回りの劇団に雑役兼楽員として加わり、楽譜を読めるようになり、
病気で置き去りにされたが、海兵隊の強制徴募隊の軍曹に拾われ今に至る。
 バーバラが来た。バーバラにハドナットの事を話すホーンブロワー。
 ハドナットがそんな事で死刑か鞭打ち500回になるであろう事に憤るバーバラ。
 ホーンブロワーは仕事をランサムに引き継ぐ。ランサムはハドナットをきびしく処罰するつもりだった。
 ハドナットが脱獄した。
 脱走兵が捕まると、密告者には十ポンドの賞金が渡され、それはジャマイカでは一財産だった。
 ゆえにジャマイカで逃亡に成功した脱走兵はいなかった。
 ホーンブロワーはバーバラと一緒に船に乗り、帰国の途についた。
 しかし船はハリケーンに襲われる。
 船はかなり浸水し、浮かんでいるのはただただ浮きやすい積み荷のおかげだった。
 ホーンブロワーはバーバラを甲板に連れ出し、縛り付ける綱を探しに行こうとするが、
彼女は危急の時にもかかわらず、前に夫を持ったことはあるが、愛したのはあなただけだと言う事に時間を割く。 ホーンブロワーは綱を見つけ、自分達をマストに縛り付ける。
 彼はフォアマストが無くなれば、船が大分安定しそうだと気づく。
 船長に合図を送るが、船長は心ここにあらずで、らちが開かない。
 ホーンブロワーは自らフォアマストを支えている綱を切っていき、とうとうフォアマストは倒れる。
 船は大分安定し、ハリケーンは去る。
 船長を含めて7名が死に、ホーンブロワーは渇きと飢えに苦しむ皆を秩序だった行動を取るよう指導していく。
 船はプエルトリコに着く。そこで歓迎されたホーンブロワーは、見事なラッパの音を耳にする。ハドナットだった。  ホーンブロワーはバーバラからハドナットの脱獄を助けたのはバーバラだとの告白を受ける。
 自分を一言も弁護せず、この事を告白すればホーンブロワーに嫌われると思い込みながら、
涙ながらに告白するバーバラ。
 ホーンブロワーはその姿を見、彼女が愛したのは自分だけだと言ったことを思い浮かべ、
彼は彼女を抱きしめる、至福を感じながら。

感想:はい、これでホーンブロワーはお仕舞い、後は別巻ですね。
 どなたか物足りない終わり方と書いていらっしゃいましたが、私はらしくて良いかなと思った口です。
 この巻でも、朝コーヒーを飲まないと機嫌が悪いとか、人間くささ丸出しのホーンブロワーですから、
戦いだけが彼の本領と言うわけではないと思います。
 ハリケーンの中頑張ってましたし。 (人間、漂流中は、あきらめで死ぬ人が多いらしい)
 嘘をつくって、あちらではかなり悪い事らしいですね。人間にはつきものだと私なんか思ってましたが。
 そういう私は嘘が大嫌いな黄色いライオンですが。
 本人は嘘つくほうではありませんが、嘘=悪とは思ってませんね。
 「カラボボの砲弾」も良かったです、お金持ちでハンサムなお坊ちゃんが、国のために犠牲になる。
 今なら、もしかして、ビン・ラデイン?ま、まずい…。あのお坊ちゃんがやった事も今ならテロと言われるのか。
 シモン・ボリバルは英雄には違いないが。アルカイダはやり方がひどすぎるしねえ。
 イラクにとうとう子供を乗せたまま自爆テロと言うのが出たって?
 正確には違かったかもしれないけど、子供を使うのは止めて欲しい。


ちっちゃん俳句「感想を 取締役 テレビかな」

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決戦!バルト海

「決戦!バルト海 THE COMMODORE」海の男/ホーンブロワー・シリーズ<8> セシル・スコット・フォレスター(Cecil Scott Forester) ☆☆☆

最後まで書いています。ネタばれまくり。注意!

 バーバラと結婚したホレイショ・ホーンブロワーは戦隊司令官としてバルト海に行く事になった。
 スウェーデンは非友好中立国だが、デンマークはナポレオンの支配下にあった。
 彼はスウェーデンの港に停泊しているフランスの私掠船を沈める。そしてロシヤの皇帝に食事に招待される。
 その時連れて行った亡命者のフィンランド人の書記ブラオンがフィンランドの征服者のロシヤ皇帝アレクサンドルとフィンランドをロシヤに差し出したも同然のスウェーデンの皇太子ベルナドッテを暗殺しようとしたのを未然に防ぐ。
 そしてアレクサンドルにイギリスと一緒にナポレオンと戦う決心をさせるのだった。

 ホーンブロワーはロシヤ軍と一緒にリガを守る事になった。
 敵が強力な砲台を設置しようとしているが、ロシヤ軍にはそれに有効な対応策が無い。
 ホーンブロワーの艦の大砲なら何とかなりそうだったが、岸辺は浅く近づけない。
 しかしホーンブロワーは妙案を思いつき艦砲射撃をするのだった。

 ホーンブロワーは的確な判断でロシヤ軍を率いてフランス軍を撃破し、プロシヤ軍の抵抗を止めさせ、
チフスに倒れてしまう。
 しかし無事に癒えて、家に帰るのだった。

 やっぱり想像力が無いと理解が難しい。私には戦争状況を想像する力が無い。
 ホーンブロワー物は戦術の話しが多いから難しい(私には)。

 ナポレオンって英雄って感じがするけど、この話しでは完璧な敵役。
 彼は戦争を広げすぎたし、ゴヤのスペインでのフランス軍の行状についての絵を見ると、
確かにあまり感じは良くない。
 もちろん感心する所もある人だが…。

決戦バルト海

大変、勉強になります。
The Hornblower Companion

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燃える戦列艦

「燃える戦列艦 A SHIP OF THE LINE」海の男/ホーンブロワー・シリーズ6 セシル・スコット・フォレスター(Cecil Scott Forester) 1938年 ☆☆☆☆☆

 ホレイショ・ホーンブロワーはサザランド号の乗員が必要な数集まるかどうかを心配していた。
 リディヤ号から200名引き継いだが、後一人前の水夫50人と新米水夫と少年200人が必要である。
 しかし結局そろえる事が出来ずに出発する。

 彼が護衛していた東インド会社の船を拿捕しようと二艘のラガー船が近寄ってきた。フランスの私掠船である。
 ラガー船は高速である。
 敵は二手に分かれて、サザランド号が一方の攻撃をしても、一方は攻撃出来ないようにしようとした。
 しかしホーンブロワーは見事に二艘を追い払う。
 その巧妙な戦いぶりに東インド会社の船団はみんなでお金を出し合って、ホーンブロワーに差し出す。
 しかし彼は喜ぶわけにはいかなかった。東インド会社の船から彼は強制的に船員を徴集しようとしていたのだ。
 命令違反だったが人がどうしても必要だったのだ。

 サザランド号は集合地点に到着した。
 後から来たカリグラ号の艦長ボルトンが一隻ははフランスとスペインの沿岸部をかく乱して、
一隻は提督の到着を待ったらどうかと提案してきた。
 サザランド号がかく乱しに行く事になる。サザランド号はフランス船を拿捕し、陸上のフランス兵にも被害を与える。

 嵐の最後の一暴れによりプルートウ号が横倒しになってしまった。
 風は岬の方に吹いており、このままではフランス軍の餌食だった。
 ホーンブロワーは危険を顧みず索をかけてプルートウ号を救出する。

 レイトン提督の命によりホーンブロワーはスペイン軍と協力してフランス軍と戦う事になった。
 大砲はなかなか思い通りに動いてくれない。来るはずのスペイン軍は一向に来ない。
 とうとうフランス軍がこちらを攻めてきたので、ホーンブロワーは大砲を運びながら命からがら逃げ帰るのだった。

 味方のカサンドラ号が4隻のフランス艦を追っていた。
 ホーンブロワーはカサンドラ号の艦長のクックにプルートウとカリグラを見つけてきてここに連れて来いと命じる。
 プルートウ号達が来たのを見たフランスの戦列艦はサザランド号の方に向かってくる。
 サザランド号は良く戦ったが、結局降伏するのだった。

 名作ね、名作。
 海の男ホーンブロワーシリーズはこの手のシリーズのはしりだそうだけど、
最初にこんなのを書かれたらたまらない。
 何と言っても主人公に人間味がありすぎる。
 音痴とか船酔いするとかは言うに及ばず、結構英雄的な事をしているのに本人に自覚はなく、
威厳を保つためにわざと口数少なくし、いろいろと悩んだりしている所が良い。
 今回もロングリイ少年の手を借りぶざまに降りるところなんて全然英雄的でない
 (この人マスト登りもへたなのよね。最後の激戦でロングリイ少年死んでしまって残念です)。 
 服を捨てられ素っ裸と言うシーンもあるし(筋骨たくましい体の持ち主をうらやんでるし)。
 起こる事件もカッコいいものばかりじゃないのよね。

 惜しむらくは私に船に対する知識が無い事。知識があって想像力があればどれほど楽しめるかと思うとくやしい。  ぜひ映像で見たい!
燃える戦列艦ハヤカワ文庫 NV 87...

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