ゲド戦記外伝(2)

トンボ

「トンボ」ゲド戦記外伝より アーシュラ・K・ル=グウィン ☆☆☆☆
Ⅰ アイリア Ⅱ ゾウゲ Ⅲ アズバー Ⅳ アイリアン

最後まで書いてます。注意!

 アイリア一族は豊かな領地を持ち、土地と人身の把握に努め、収益は土地に還元し、
専制的な君主が手出しをしようものなら、これと闘って押し返していた。
 しかしこの一族も少しずつ変わり、衰えていき、今では相続をめぐって互いに争うようになっていた。
 なかば廃墟と化したナラの木に囲まれた古い館。
 その所有者のアイリアは全領土は自分の物と主張して裁判を起こし、遺産を空しく費やしてしまった。
 今は自分のぶどう園でできた赤ワインを飲みながら過ごしていた。彼にはトンボと呼ばれる娘がいた。
 娘の母親はどこか西の方の島の出で、トンボの出産がもとで亡くなっていた。トンボは家政婦に預けられた。
 トンボが13になるとぶどう園の管理人と家政婦は主人にお嬢さんもそろそろ命名式をお挙げにならないとと進言した。
 彼らが西池のまじない師か村住まいの魔女にやらせましょうかと聞くと、
主人はあんなもの達にやらせるのかと怒り出し、家政婦らは仕方なく仕事場に戻った。
 トンボは自分で村住まいの魔女バラの所に行って名づけてもらう事にした。
 バラによるとトンボは何か大きな力を持っていると言う。トンボはバラから「アイリアン」と言う名まえをもらう。

 西池のアイリア家の当主カバノキは、貴族の間で本物の魔法使いを雇う事が流行になっていたので、
ゾウゲと言う若者の魔法使いを雇った。
 彼は杖もマントも手にしていなかったが、ロークに帰れば正式の魔法使いの称号が与えられると言っていた。
 主人の末娘バラからナラの木に囲まれた館の娘が花盛りの木のように美しい人と聞いて興味を持ったゾウゲは、丘を登って館まで行って連れてきた馬を犬に噛まれてしまった。
 そこでトンボが犬達をおとなしくさせた。 
 ゾウゲはトンボを手にいれたいと思い、トンボは彼からロークの事を聞きたがった。
 トンボは男といつわってロークの学院に入る事にし、ゾウゲはそれを手伝う事にした。

 トンボは学院の扉を叩いた。守りの長はトンボが女と知りながら中に入れた。
 彼女の事は長達の間で議論になったが、とりあえず彼女は様式の長アズバーと一緒に森の中で暮らした。

 学園は彼女をめぐって二つに分かれてしまった。
 彼女を追い出すべきだと主張する呼び出しの長トリオンはかつて死の国の石垣の向こうから戻ってきたのだが、
脈が無く死んだと判断された。
 しかし彼はよみがえり、黄泉の国から戻ってきた自分が大賢人になるべきだと主張した。
 呼び出しの長はとうとう院生達やその他の長達を使って彼女を実力で追い出そうとした。
 彼女は全てがあるがままの姿でいるという丘の上で会おうと主張。
 丘の上でトリオンは乾いた骨になり、彼女は竜になって仲間の元に飛ぶのだった。

 トンボの英語名はdragonfly。最初から最後は暗示されているのだろう。竜が暗示するものは何か?原初の力?  この世界の女達も太古の力と通じている。
 と言ってもル=グウィンは具体的に象徴を考えて書いているわけではなく、物語から汲み取っているのだろう。
 物語が人間と竜は元々一つのものだと教えたのだろう。
 トンボは竜の心に突き動かされてロークに行く。
 死者である呼び出しの長を死者に戻し、学院に竜と人間の関係を示唆する。
 ル=グウィンは女だけど、なぜ学院は男だけという事になったのか。
 もちろん実際の私たちの世界では過去大学は男だけのものだった。
 そして不思議な力と女の結びつきは強い。あっ、駄目。私の頭ではどうもうまく汲み取れないや。
ゲド戦記外伝

私よりよほど優れた書評です
蒼穹の回廊書評

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カワウソ

「カワウソ」ゲド戦記外伝より アーシュラ・K.ル=グウィン ☆☆☆☆
Ⅰ.暗黒時代 Ⅱ.カワウソ Ⅲ.アジサシ Ⅳ.メドラ

ネタばれ注意!

 暗黒時代、魔法使いたちはおたがいに魔術を戦わせては、
自分たちの技をもっとも多額の金を積む者たちに売りつけるようになった。
 疫病がはやり、飢饉が続いた。
 こうなったのはすべて、魔法使いや魔女たちが魔法を使うからだと、人びとは考えるようになった。
 そこで魔法を使うのは危険だということになり、
魔法使いたちにとって唯一安全な場所は強い軍閥の首領の保護下となったが、
より強い魔法使いがあらわれると滅ぼされる事さえあった。
 一般のひとびとになかに入ると、人びとにやられかねなかった。
 村々で行われていたまじない、わけても女たちの手になるまじないかけが嫌われ、いやしめられるようになった。
 ひとびとは災いを魔女やまじない師のせいにし、彼らを殺した。
 人びとは、子供が魔法の才を持って生まれても、それを隠すようになった。

 カワウソはハブナー港の造船所で働く船大工の息子だった。
 息子に生まれつき魔法をあやつる力があるとわかってからは、父親はなにかというと息子をなぐって、
その力を息子のからだから追い出そうとした。
 魔法使いには魔法使いが見分けられる。
 カワウソは魔法をあやつる力を持った者たちから魔法をならうようになった。

 船大工たちは土地の支配者ローゼンのために船を作った。 
 その船は奴隷が漕いで、戦争に行き、新しい奴隷たちを積んでもどってくることになっていた。
 カワウソはそれが我慢ならなかった。彼は船に魔法をかけ、目的地に着けないようにした。

 ローゼンに雇われている者のなかに自分のことをイヌと呼ぶ男がいた。
 イヌは船に魔法がかけられていることを嗅ぎ取った。そしてカワウソを捕まえた。
 カワウソは鉱脈を探すよう鉱山に送られた。
 カワウソが入れられた部屋には魔法がかけられていて、自由にものが考えられなかった。
 やがてゲラックという魔法使いが現れる。彼とローゼンはもう何年もいっしょに仕事をしてきていた。
 ゲラックはカワウソを水銀の坑道に連れて行った。
 そこには髪の毛が一本もなく、
骨と皮ばかりにやせた手足に関節だけがこぶのようにふくらんでいる女奴隷がいた。
 彼女の名はアニエブ。力を持っていた。カワウソはアニエブに助けられ、ゲラックを地中深くにうずめてしまう。
 しかしアニエブは一緒に逃げる途中で死んでしまう。

 カワウソは、魔法の力を持ちお互いに助け合っている“手の女”たちの助けを借りながら、放浪した。
 そして公明正大な政が行われ、“手の女”たちが昔からの技を守り続け、
皆に教えていると言うモレドの島を捜した。
 そしてとうとうモレドの島にたどり着く。彼はそこを拠点として、まず「名まえの書」を見つける。
 そして魔法の才を持っている者を島に連れて来た。
 しかしローゼンに使える魔法使いアーリーがカワウソの事を知って…。

 私にとっての本の理想の読み方は、まず情景を思い浮かべながら、本に寄り添うように読む事です。
 しかし集中力と想像力が足りず、なかなかそうは行きません。
 特にル=グウィンはその物語の奥にもっと深い何かがあるような気がして、なるべく寄り添いながら、
じっくりと読みたいのですが、どうも私では力が足りないと感じます。 
 こんな私でもこの物語は心の奥底に何かを残しているのでしょうか。

 森、門番、水銀によって醜くなった少女、女、男、割れて又閉じる大地。なぜアニエブとカワウソは繋がったのか? 死の世界の石垣の所にいる彼女。

 今もひどい状態の国はあります。良い事をしようとして、他の誰かを巻き込んで犠牲にしてしまう事はあります。
 この話のような残酷な事も今現在無いとは言えません。人は善なのか、悪なのか?どちらとも言えません。

 この話は派手派手しく圧制を倒すと言う話ではなく、地道に輪を広げていくだけです。
 英雄なんて簡単に現れるものではありませんものね。
ゲド戦記外伝


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