白虎の神器を巡って
「白虎の神器を巡って」
太王四神記 第16話 音楽:久石譲 脚本:ソン・ジナ 演出:キム・ジョンハク
白虎の神器の行方を知ってるパソン(キム・ミギョン 声:福田如子)とタルビ(シン・ウンジョン 声:花村さやか)がさらわれる。
追いかけようにも、難民の群れに巻き込まれ、追いかけられない。百済軍が迫っていて、身動きが出来ない。
タムドク(ペ・ヨンンジュン 声:萩原聖人)は百済軍は来ないと言う。百済のチンサ王は幼い甥アシンの座を奪い王座についた。ハン城やその周辺の他はチンサ王ではなくアシンに従う城主や将軍が多い。
今お互いの兵力は五分五分。数千を失うだけでその均衡は崩れる。ホガン城についた軍勢はアシンの物。
チンサ王は援軍を寄越さないだろう。こちらの数が少ない事を敵に知られれば危うい。
タムドクはこちらの数が多いと言う話を流させる。
夜、チュムチ(パク・ソンウン 声:乃村健次)がタムドクの前に現れる。
パソン達を救いに行く事をタムドクに告げようと来たのだ。
許可を得たからなと去ろうとしたチュムチだったが、「まだわからん」と言うタムドクの言葉を聞き、足を止める。 「百済の軍隊がこちらの思惑通り引き返すか、それとも、クァンミ城を落としに来るかはまだわからん」
「さっきは自信満々に断言してたろ?」「王だから」「えっ」
「私はクァンミ城主のように一人で鬼のごとく戦う技量は無い。
でもわたしは、…王だろう?王がこんな事は言えまい。どんなに考えても、勝ち目は無いと」
「そうは言っても、戦って勝つか負けるかはまだわからんさ。だろう?
俺らの兵にクァンミ城の兵士を加えれば何とかなるだろうに。だから…」
「百済軍は返した」「えっ」
「今朝まで百済の兵士だった者達だ。昨日まで敵だった我々と手を組み、昨日の友と戦いたがるか。
我らが占領したとおの城に行き、民を守れと命じた」
「城から送り出したって?武器や、鎧を全部持たせたまま?
それじゃあ百済軍を増やしてやるようなもんじゃないか!」
「彼等が敬う将軍や城主、そして家族はまだここに残っている」「つまり人質って事か」
「王はつらいな。時には人をだまし、汚い脅迫もする。イヤでも、そうせねばならん。
…そして友であるそなたにはこう頼むのだ。共にいてくれ。私が死んだら私と共に死んでくれと」
チュムチは座り込んで、溜息をつく。「一緒に生き抜くよりは、一緒に死ぬ方が簡単だ」
タムドクがちょっと離れた隣に座る。「そうだ、あいつはどうなった?」「あいつ?」
「クァンミ城主だった奴さ。いつか絶対勝負してやる」
カグン(永田博丈)が城主の部屋に茶器を持ってくるが、城主はいない。
森を歩いているスジニ(イ・ジア 声:永田亮子)。突然立ち止まる。「そうか…ようやくわかった」振り向くスジニ。 「おまえ!王様に命令されたんだろ!あたしの後をつけてもめ事起こさないようにしっかり監視しろって。
そうなんだろ!?えっ!?…あたしは今からあっちの川で水浴びするから、見たいなら隠れてないで堂々と見な。近くで。もっとも見たって目の毒なだけか。違うか!?服を取られないように見張ってろよ」
しかしスジニは水浴びなんかせず、滝の下の池の石に座って酒を飲むだけだった…。「ありえないよな…」
酒瓶を抱きしめ嬉しそうに笑うスジニ。
「ありえない!えっ。だろ?一国の王様、それも普通の国じゃないよ、あの高句麗の王様が、…一人で!
…アハハ、だから、お師匠様とチュムチ兄さんはひとまず置いといて、一人で!
あたしを助けに来てくれるなんて、信じられる?」
独りごとを言いながら酒を飲むスジニ。「でもさ、お礼は言えないんだよね。なぜか?絶対!認めやしないから」 すっかり呪いが解けて、
顔が綺麗になったチョロ(イ・フィリップ 声:加瀬康之)がそのスジニの一人芝居を覗いている。
「こら、スジニ、馬鹿を言うな。誰がおまえを助けるか。一人で城主に会って、クァンミ城を落そうとしただけだ。
…あたしどうかしてる。
パソン姉さんとタルビ姉さんが、悪党に攫われたって言うのに、あたしはこの事ばっかり…何度も…考えて…。
帰ろう。うちらの王様は、どうせ、まだ眠れないでいるに決まってるよ。帰って鎧でも着せて差し上げなきゃ。
結構難しいんだよね。
まずは身頃を、そうっと着せて、…ここでこうやって、紐を結んで、次にくるっと回して、…難しいんだなあ。
これはあたししか出来ない」
百済軍が退いた。
タムドクは嫌な思いである城にいたくないだろうと、チョロを誘う気でいたが、会えなかった。
チョロは会うのを避け、その上で、タムドクと言う人物を見極めるために秘かについて行くつもりだった。
ヒョンゴ(オ・グァンノク 声:チョー)は白虎の神器は契丹にあるから、パソンを見つけて、
その兄を探し出そうと陛下に訴えるが、
タムドクはヒョンミンからキハ(ムン・ソリ 声:佐古真弓)が大神官になった事を聞いていて、
国内城に行くつもりだった。
天の言葉とホゲ軍を契丹に行かせたのも大神官、
父の代から忠誠を誓う臣下を追い出し代わりにヨン家の臣下を据えたのも大神官。
あの女性がいるからですか、白虎の神器はあきらめるのですかとヒョンゴは聞くが、
タムドクは前の大神官の言葉を思い出していた。
彼女は自分の長い生命線をタムドクに見せ、今年中に大神官が変わったら、
その大神官は陛下の敵となると言ったのだった。
タムドクは青龍の神器をヒョンゴに投げ、「神器ならそこにもあります。それをよく研究してください。
どんな使い道があるのか」と言って、去っていく。
チュ・ジュドがタムドク達が三日後には到着するとヨン・ガリョ(パク・サンウォン 声:菅生 隆之)に報告する。
彼はその上タムドクが青龍の神器を手に入れた事まで報告する。
単なる噂だと火天会大長老(チェ・ミンス 声:俵木藤汰)。
長老はタムドクがクァンミ城で命を落とすと言っていたので、ヨン・ガリョが長老を責める。
クァンミ城にも手下を送り込んでいると長老、神器が目覚めた証拠はどこにも無い。
「神器と言う物は条件がそろわなければ目覚めないのです。
目覚めていない神器などただのしがない石ころにすぎません。
まずはその神器の守り主とチュシンの王が同じ場所にいなければ。
しかしただ同じ場所にいるだけではいけません。神器は神檀樹(シンダンス)の封印を解く鍵であります。
目覚めるためには心が必要だと言われております。
朱雀の場合は赤い情熱。チュシンの王への熱き想いが、眠っていた朱雀の神器を目覚めさせるのです。
玄武は暗き怒り。チュシンの王の深い怒りを察知し目覚めると言います。
青龍は冷たき慈悲。白虎は純真なる勇気。二千年前から伝わる記録に記されています」
長老はタムドク対策に北魏の兵を呼ぶ。北魏の軍と言うより、火天会の軍なのだが。
ヨン・ホゲ(ユン・テヨン 声:咲野俊介)は契丹の部落を襲う。パソンとタルビはホゲの前に連れ出される。
白虎の神器を守ってきた鍛冶職人の娘かとパソンに問うホゲ。パソンンは何の事かわからないと誤魔化す。
パソンの前に男達が連れてこられる。この中に知り合いはとホゲ。
何をお知りになりたいのかと聞くパソンだったが、ホゲは男の一人を斬り殺す。
「この地におまえの兄がいるそうだな。
元鍛冶職人ゆえ今もそうではないかと思い、この辺りの鍛冶職人を全て集めた。お前の兄はいるか」
言葉が出ないパソン。「…次」ホゲ、又一人斬り殺させる。「次」
一人の男の前に立つイルス(最上嗣生 たぶん…)。「この者も兄ではないか。…次!」
「ホゲ様。ホゲ様お止めください。…私をお忘れですか。子供の頃、ホゲ様のお世話をしていたタルビです。
こんなお方では無かったのに、どうしてこんな残酷な方に…。お止めください、ホゲ様」
声をあげて泣くタルビ。「ここにはいません。兄、私の兄は、あの中にはいません」「ではどこにいる」「それは…」 刀を抜くホゲ。「し、知っています!…居場所は、聞いて知っています」
「全速力で走れば、二、三日で到着します。全軍で移動しますか?それとも、別の部隊を編成しますか?
…大将軍?」
ホゲが立ち止まったので、いぶかるイルス。「タルビ…タルビと言う名だった…」「えっ」
「昔身の回りの世話をしてくれた人だ。確かにそうだ。…なぜ…こうなってしまったのだろう」
感想:やはりホゲ、可哀そうな気が…。まあ、自分の責任だが…。
神器のために契丹の村を襲い、パソンの前で次々と人を殺して行くホゲは怖かった…。
まあ、神器のためでは無く、キハのためね。いや、対タムドクでもあるが…。
真の王なら、神器より、国全体を考えて行動するものよね。
神器は、真のチュシンの王なら、自然に向こうから来る。
タムドクに助けられたのが嬉しく、一人芝居をしているスジニ、可愛い。
そして、そんな彼女を黙って草葉の蔭から見ているチョロ…。ストーカーだね。
恋をすると、多少はストーカーになるわよね。ちょっぴり、多少じゃない、気がするが…。
彼、顔を知られていない事を良い事に、タムドクの軍にこっそりついていくつもり。
ついでにスジニをストーカー出来るしね。
ああ、チュムチ、愛するタルビより、タムドクの求愛の方を受け入れてしまったのね。
まあ、王様にあのように求愛されて、断れる人はいないか。
百済軍問題が解決したのに、まだ、タルビを助けにいかないのか、チュムチは。
タムドクも、スジニの場合は、一人で助けに行ったのに、パソン達のためには動きませんか。
パソンはそう簡単には殺さないだろうけれど、タルビはわからないだろう。
正直言って、パソンだって危ない可能性が。ホゲ、荒んでるから。ヒョンゴはいつでも良い。
今回は玄武の神器を使って、雨を降らせないかと悪戦苦闘。
天気は動かすと、大変な影響を与えるから、そう簡単には出来ない仕組みにしてるのよね。
神ならぬ人間に、その影響の隅々まで、わかるはずが無いから。
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