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冷たい月

「冷たい月」
ファン・ジニ 第10話 脚本:ユン・ソンジュ 演出:キム・チョルギュ

 四年後。ウノの命日。
 湖畔で寝ていたキム・ジョンハン(キム・ジェウォン 声:宮内敦士)は酒瓶を持ちながら湖
(と思ったらHPによると川らしいが)にふらふらと入っていく
チニことミョンウォル(ハ・ジウォン 声:本田貴子)に気づく。
 当然止めるが、頬を叩かれる。
 彼女はジョンハンの腕の中で眠ってしまうが、
ムミョン(イ・シファン 声:川島得愛 誰?良い男♪)が彼女を連れて行ってしまう。

 綺麗に着飾ったミョンウォルは修練の時間を知らせる太鼓が鳴る中、
ペンム(キム・ヨンエ 声:藤田淑子)に出会う。
 ミョンウォルには舞を舞うつもりは無かった。

 ミョンウォルを妓席からはずせとソクチョンが言ってきたとスマンからペンムは聞く。
 キーセンを側室とする事は法で禁じられていたが、彼はミョンウォルを側室とするつもりだった。
 ソクチョンは王の御即位の際に功を立てられ、王様でさえ一目置いていた。

 ジョンハンはヤンバンなのだが、今は生活に困窮しているらしく、物乞いの食べ物を托鉢と称して食べている。  そこに綺麗に着飾って豪華な輿に乗っているミョンウォルが通りかかる。
 彼は彼女を知らなかったが、物乞い達の間でも彼女は有名だった。
 あの手を握るだけでも家一軒分はかかると言う噂。彼は輿の前に立って輿を止める。
 今宵共に過ごしたいと申し込むジョンハン。無理でしょうと彼女。
 私では家一軒分は払えぬと言う事かと彼が言うと、「今日いただく玉代はお屋敷二件分でございます。
 ですが、旦那様がそれ以上の玉代をくださるのなら、その約束を取り消しましょう」
 「私に、それだけの金があるはずは無かろう」
 「情けない事。玉代はお金や財宝だけでは無いのに。なんて愚かな男」彼女は去っていく。

 ミョンウォルは秀でた才能に最悪の振る舞いで知られていた。
 鼻を折ってやろうとピョクケス(リュ・テジョン 声:桐本琢也)は言うが、
同席していた人物にどうやってとたしなめられる。
 ピョクスケは二年間明国で暮らしていたらしく、今の世情にうとい。
 世間は彼女を得ようという男であふれていた。朝廷の名だたる方々も暇さえあればソンドに足を運ぶ。
 彼女と詩を交わした明国の使節まで恋文を送ったと言う話。いまだ詩を競って負けた事が無い。
 その話を聞くプヨン(ワン・ビンナ 声:安藤麻吹)は心穏やかでは無かった。

 ミョンウォルが野外でソクチョンの前でコムンゴ(たぶん…。6弦みたいだし…)を弾いていると、
笛の音が聞こえてきた。
 ジョンハンだった。ミョンウォルは弾き方を速めてついてこれないようにした。
 しかし、耳障りな笛の音は止まない。演奏、終わる。「どうだ、私の玉代は気にいったか」「悪くはございません」 「ならば、今宵は私と、共に過ごすか」「それも良いでしょう」何だととソクチョンは思わず言う。
 「さて、どういたしますか。
どうやらこのおなごは、貴殿が袖の下で建てられた立派な屋敷二件よりも、
この私の粗末な笛の音を気にいったようですが」
 仲間が「たわむれは止めなさい。ソクチョン様を怒らせたいのか」と言うが、
「お怒りになる事はございません。生きるも死ぬも玉代しだい。それがキーセンのさだめにございます」
とミョンウォルは言う。
 「もちろん、ソクチョン様がより尊い玉代をくださるのならば、そちらを賜りとうございます。おいやですか。
ならば、わたくしはこれで帰らせていただきます」
 ミョンウォルを待てと言って止めるソクチョンは望む物を与えてやろうと言う。彼女はご内室の座を要求する。
 驚くソクチョンに冗談だと言うミョンウォルはご内室の住まいを要求する。それなら出来ぬ事は無いとソクチョン。 人の道にもとるとミョンウォルを非難するジョンハン、彼女を叩こうとするが、彼女はその腕を掴んで止める。
 「旦那様がお手を煩わせる事はありません」彼女は役人の格好(本物?)した者達に刑罰の道具を用意させた。 「わたくしが呼びました。人倫に背いたわたくしは死すべき罪人。
ですが法を犯し、キーセンを側室にするとおっしゃったソクチョン様も、罪人ではありませんか?
ではまずわたくしが先に打たれましょうか。それとも、ソクチョン様が先にお打たれになりますか?」
 「この無礼者!」ソクチョンは怒るが、周りの女達は笑う。
 「なんとも良いざまだ。キーセンの手の上でまんまと転がされるとは。
学問を修めたヤンバンが、なんと情けない。それでも、一国の官吏と言えるのか!」
 ジョンハンは机を覆っていたキレを剥がして、食器をひっくり返し、歩き去る。
 ジョンハンを捕まえろと命令するソクチョン。ミョンウォルは声を出して笑う。
 何人もの下人に追いかけられるジョンハン。しかし、その彼をムミョンが助ける。
 ムミョンはミョンウォルの所にジョンハンを案内する。
 「お待ちし、ておりました、旦那様。貴重な、玉代をいただきましたので、心をこめてお仕えいたします」
 「いや、とんでもない。それは結構だ。私の、粗末な笛などそなたのコムンゴの足元にも及ばぬ。
あの程度の音色では玉代とは言えまい。では、これで帰らせてもらう」
 帰ろうとしたら、「罪人キム・ジョンハン。連行する」と役人に連れてかれてしまう。
 あの役人達は謀反を企てた罪人の詮議が勤め。
 しかし彼は謀反を企てた罪で引っ立てられたわけでは無かった。待っていたのは王。
 王は彼をイェージョパンソ(礼曹判書)、儀礼、外交などをつかさどる官庁の長官に命じたのだった。
 従えませんとジョンハン。またしても余の命にそむくと言うのかと王。
 王も今回は引き下がるわけにはいかないらしい。
 どうあっても従わないのなら、そちを見限るしかあるまいと言う王。ジョンハンの前に飲み物が置かれる。
 「命に服すか、毒を服すか、選ぶが良い」「それならば、毒を賜ります」
 「何ゆえに。そうも己の命を粗末にするのだ」「六年前に、とうに捨てるべき命でした」
 「…ならば、…ならば、朝鮮の楽曲を、誰が守ると言うのだ…」
 明のチャン大使は朝鮮の楽譜を低俗として燃やしていた。
 郷楽(ヒャンアク)は世宗大王の御世から百年続いてきた朝鮮の伝統だったが。
 王はジョンハンの師のソク・アンジュを斬り捨てていた。王にとっては友であったが。
 「考えてみよ、そちが明国に立ち向かい朝鮮の楽曲を守る事と、恩師に義理を立て命を捨てる事、
ソク・アンジュはどちらを望むであろうか」
 ジョンハンは王の命を受け入れる。

 ジョンハンは大使に賭けを申し込む。詩での勝負。大使は歓迎の宴を全て拒んでいた。
 朝鮮の楽曲は好きでは無いし、キーセンごときが歌い舞う低俗な芸など見たくは無かった。
 ジョンハンが勝ったら大使はその芸を見る。大使が勝てば、ヒャンアクを捨てる。大使に題を決めてもらう。

 部下の者からジョンハンと大使の賭けの様子を聞くピョクケス。書かれた詩はすでに30編を超える。
 どこまで持ちこたえるかと心配するピョクケスだったが、
プヨンはこの賭けに勝つのはイェージョパンソ様だと言う。
 使節のお勤めとはその目で見、感じられた事を詩で皇帝陛下にお伝えする事。
 チャン大使は秀でた文才をお持ちの方。ならば朝鮮をめぐられ書かれた詩は何十編にもなるだろう。
 チャン大使様が題をお決めなら、必ずやすでにお書きになった詩を元にしているはず。
 だが、イェージョパンソ様は何の用意が無くても引けを取っていない。
 ならば、チャン大使様の詩が全て尽きた時、どうなるか。

 ミョンウォルは新しいイェージョパンソがキム・ジョンハンである事を聞く。
 彼女はジョンハンを呼ばれてすぐに官服に袖を通すような権力の狗とさげすむ。

 ジョンハンは大使に勝つ。

 プヨン達が夜、稽古している所に現れるジョンハン。
 ジョンハンはプヨン達の舞を褒め、彼女達が大使の心を打つ事を期待する言葉をかける。
 「力の限りを尽くしてまいります」とプヨン。いきなりプヨンの手を取るジョンハン。
 その手に巻かれた切れはぼろぼろだった。
 「これほどまでに厳しい稽古を、重ねているのか。この手が示すそなたの気持があれば十分だ。
その熱意なら、明国大使はもとより、天の心さえも動かすであろう。私はそう信じる」
 しかしメヒャン(キム・ボヨン 声:高島雅羅)は出るのを断る。自分達では無理だと。彼女はペンムを推薦する。
 メヒョンはヒャンアクを廃すると決めている大使に何を見せても低俗だと言うに違いないと、辞退したのだった。
 彼女はヒャンアクが廃止されても、唐楽に合わせて唄い舞えば済む事と思っていた。

 ミョンウォルがいなくなった。どうしてもコムンゴを奏でる気にはなれないと寺に行ったのだ。
 ミョンウォル、明月と言う名を与えたのは和尚だった。暖かい月のような心で万物を照らすようにと。
 「その心は、もはや捨てました」「ならば、名前も一緒に捨てるべきであろう」
 「真冬の冷たい、氷のような月になるのも良(よ)いと思いませんか。その月を武器とするのです。
月の光が世の中の全ての心を切り裂き、目と言う目をつぶす刃(やいば)にもなる事を、
思い知らせてやるのです」
 「それで何を得ようと言うのだ」ジョンハンだった。「人を傷つければ、己も傷つく。それが世の理(ことわり)だ」
 一緒に戻ろうとジョンハンは言うが、彼女に従うつもりは無い。
 「そなたには、コムンゴの名手としての誇りは無いのか」
 「誇りとおっしゃいましたか。ヤンバンの輩(やから)は勝手な事ばかり。
卑しい身分と家畜にも劣る扱いをしたかと思えば、都合良く名手などと持ち上げ、誇りを持てと言うのですか。
お引き取りください。はらわたが煮えくりかえってまいります。
政(まつりごと)を盾に、私腹を肥やす事しか頭に無い者が着るその官服、見ただけで吐き気がします」
 ミョンウォルはジョンハンの前から立ち去ろうとする。
 「…そなたが言う通りだ。そなたが正しい。
腐敗したこの世の中で、ヤンバンだ役人だと言う奴らは、権力を振りかざしては、
民を踏みつけにして、私腹を肥やす事に忙しい。
民が喘ぎ苦しんでいようと、気にも留めない」
 ミョンウォル、振りかえる。
 「だが、そもそもヒャンアクは、民を大切に思い、哀しみ憐れむ心から生まれた。
その心が忘れられているために、世の中は一層腐敗しているのだ。
だからこそ、私はこの国のヒャンアクを諦めはしない。
諦めれば、民を思う、その心が、永遠に失われてしまうだろう」
 「勝ち目の無い戦でございます。ヒャンアクを葬ると決め、目も耳も閉じた者が相手。
その相手を説き伏せる、そんな音色など、この世にはありません」
 「私は真心を信じる。そなたの真心が、その指先で音色となり、朝鮮のヒャンアクを守ってくれる。
そう信じている」
 彼女は笑んで、去っていく。

 ジョンハンは戻る。大使は舞には関心を示さなかった。
 ピョクケスが楽器を奏でてはどうかと言うが、ミョンウォルがいず、困るペンム。
 「わたくしのつたない演奏でもよろしいでしょうか」
 寺でとは違って艶やかな装いをしたミョンウォルがコムンゴを手に現れる。
 彼女がコムンゴの覆いを取ると、コムンゴには弦が張られていなかった。「この私をあざけるつもりか!」
 「いいえ、そうではございません」
 「無礼者!」「そのお心に響く調べが、この朝鮮に、いえこの世に一体あるのでしょうか」「何だと…」
 「調べとは耳では無く心で聞く物にございます。
しかし、大使様はあるお考えをお持ちのため、お心を閉ざしておいでです。
今ここでわたくしがいくら真心をこめて調べを奏でたとしても、そのお心には届くはずもございません。
違いますか。ならば、大使様に感銘を与える音色はただ一つ。
…大使様が胸に秘めておられる心の音(おと)しかございません。
わたくしは大使様が、この場にいる誰にもまして、技芸を愛する深いお心をお持ちだと信じています。
そうではございませんか。
ですから今日は、このコムンゴを通し、その尊い心の音をお聞かせいただきたいのです」
 大使は笑う。「もしわたしがコムンゴの音色が汚れていると言ったならば」
 「そのお心に汚れた音が潜んでいるのです」「では素晴らしい音色だと言えば」
 「そのお心に、天の音をいだいておいでと言えましょう」声をあげて笑う大使。
 「まことに如才ない。まさに才気溢れるおなごだ」
 ソン長官(ヒョン・ソク 声:佐々木勝彦)がミョンウォルに詩を詠ませてみる事を勧める。
 大使が与えた題は「空」と「東」。彼女はすぐに詩を書く。その詩に書かれた遊人とは私の事かと大使。
 「そう思われたのなら、そうなのでございましょう」
 偉大なる明国の廬山をこの地の滝などと比べるとは明国を侮辱したと咎める事も出来るぞと大使。
 明国は大国、小国のキーセンごときの詩に侮辱を受けるなどふさわしくないとミョンウォル。
 チョンマ山が東方一の景勝の地だと、と大使。
 己が生まれ育ち、いずれは骨をうずめる地を誇りに思う事は、
身分の違いや男女に関わらず誰もが抱くべき心でございましょうとミョンウォル。
 「山河に大小の違いはございましても、天の産んだ自然に優劣や良し悪しはございません。
己を育んできた土地の、万象を愛し、慈しみながら生きる事が、人としての務めでは無いでしょうか」
 「ふん…小国ゆえ、朝鮮の楽曲など貧弱な物と思っていた。だが、今日おまえの詩に多くの事を教えられた」
 「ありがたき御言葉にございます」大使はミョンウォルの前に行き、彼女にチシマを出してくれと頼む。
 彼女は衣の裾をはだき、白い布の部分を出す。大使はそれに詩を書く。
 「ふたたび朝鮮に来た時はおまえを訪ねよう。それまでその詩心を忘れるで無いぞ。
 おまえを通して朝鮮を見るとしよう」大使はミョンウォルの前から離れる。
 しかしミョンウォルは大使が詩を書いた布を引き裂き、それを火にくべるのであった。
 大使は「この無礼者!」と怒鳴るが、彼女は片方の唇を吊り上げて笑むだけであった。

感想:ジョンハンさんとミョンウォルが恋仲になるんですか。まあ、坊ちゃんよりは好きです。
 愛嬌があるし、一本筋が通ってるし、知性と教養がある。大人の男ですね。
 坊ちゃんより、と言うか、ものすごくお似合い。しかし、私はムミョンが、カッコいいので、好きです。
 どこで拾ってきたのでしょうか。私もそこに拾いに行きたい。
 このドラマはやはりミョンウォルことチニが綺麗なので、それで見ちゃう所があります。
 ああ言う綺麗な人を見ると自分を反省します。やはり、素材が何でも、綺麗になる努力はした方が良い。
 面倒だが…。強気な人も好きです。強気ばかりだと、争いが絶えませんが…。
 ミョンウォルの気持はわかりますが、坊ちゃん、好みじゃないし、一緒になってもうまくいったとは思えない。
 二人で、世の中の片隅で、幸せになれたんでしょうか。しかし、チニは心底技芸が好きなはず。
 キーセンは確かに嫌な所が一杯ありますが、技芸をするには妓生(キーセン)しかない。
 ペンムはチニに鶴の舞を教えたいのだが、チニは舞う事を頑なに拒否。
 坊ちゃん死んじゃったから、彼のために封印しているのだろう。心底、舞う事が好きなのに。

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