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夜を撫でる手

「夜を撫でる手」蟲師6より 漆原友紀

 夜の山。果実酒のようなすえた匂いを感じるギンコ。匂いの源は人の影。こっちを見ている。動けない。
 相手は人と気づき、見逃してやると去る。動けるようになる。次の日、市で干し肉を求めるギンコ。
 地元の人によると獲物がさっぱりいないそうだが、一人の少年が売っていた。
 しかしその肉は腐ったような匂いがした。うちになら新しいのがあると言う。
 その家からは昨日の夜の匂いを同じ匂いがした。家にあった肉も腐さった匂いがした。
 家にいた青年には腐った匂いは感じられないらしい。青年は新しいのを取ってくると言う。
 こっそり後をつけるギンコ。青年は鹿を見つけると、鹿は青年に近づき、青年が右手で触ると死んだ。
 腐酒(ふき)。その手で狩った獲物はどんなに新しくても不味い。意のままに獲物を狩る手は代々伝わる。
 青年の父親がそうだった。掌に目玉のようなあざ。腐酒とは生命の素たる光酒の腐れてしまったモノ。
 本来成るはずの蟲に成れず、赤い泥状となり地下水から地上に湧き出る。
 果実酒のような匂いがするが毒性があり、高い濃度で口にすれば死に至る。
 だがごく稀に毒に耐える体質の者がある。
 腐酒単体には意志もなくただ更なる腐敗を待つだけのモノだが、動物の体内に入り血に紛れると命を得、
宿主もまた特殊な力を得る。
 甘い匂いを掌から出し獲物を酔わせ引き付け酔わせたやすく狩りをする。
 そしてそれは血を介して子々孫々まで伝わってゆく。力を得る者はごくわずか。
 力を得なかった者は毒のため長くは生きられない。ばあちゃんは血を吐いて死に、弟も同じ病。
 光酒を一定量飲めば腐酒は消滅する。調達してこようとギンコ。兄の分も。父親は異常な死に方をした。
 ギンコが去った後、薬を飲んでくれるよねと兄に念を押す弟。元の辰兄に戻ってほしい。
 「何言ってんだ。俺は別に何も変わらんだろ」辰兄の目玉模様の掌が卯介を撫でる。

 光酒を持って又訪れたギンコ。兄は又宵の口に獲物を狩りに出かけていた。
 山のあっちこっちに無残な姿をさらす獲物達。父親がいなくなってから辰兄は父ちゃんに似てきたと卯介。
 父親もよく余分な狩りをした。父親は体が透けて見えるようになり、影を無くし、消えた。
 自分より強い先代がいなくなると枷が外れたようにその子孫の力が増すと言う。
 腐酒の浸食が進み、やがて体を完全に乗っ取られる。父親は死んだわけでは無い。
 実体をなくし、心もなくして、今も山を彷徨っている。兄には光酒を飲む気は無かった。
 蟲に踊らされてるだけとギンコ。
 「俺はなァもう二度とごめんなんだよ。親父がいた頃みてえに、狩られるかもしれねえ側に戻るなんてな」
 「辰兄やめてよ!!…大丈夫だよ。怖い事なんてないよ。おれ襲われない方法知ってっから。だから…」
 兄は去る。

 掌の目玉模様を見ながら元の俺に戻ってやらねえと思い悩んでいる辰兄、熊と間違えられ、右腕を撃たれる。  彼は穴に隠れ夜をやり過ごす事にする。卯介の呼び声に穴から出る辰兄。
 穴の外で待っていた沢山の鳥に襲われる。鳥にとって目玉模様は恐ろしい。
 しかし血で模様は隠れ、果実の匂いのする腕は鳥にとって甘美な餌だった。
 辰兄に自分も狩りを覚えると言う卯介、辰兄も早く元気になって一緒にしよと言う。
 彼は残った左腕で卯介の頭を撫でるのだった。

感想:結構怖い作品です。漆原さんは蛇に睨まれたカエルを見たそうで…。
 あの右手、人間狩りにも使えるんですね。 辰兄はそんな事はしていませんが、今にしそうで…。
 動物をむやみやたらと殺していると言うだけで怖い。しかもその肉は腐臭を放ち不味い。
 鳥があのぐらいの目玉を怖がるかどうか疑問ですが…。そう簡単に人間は襲わないと思うし。
 でも、相手は血を流してますしね、襲うか。「天辺の糸」はアニメで見ましたね、良い作品です。
 「囀る貝」父親が恩讐を超えて良かったです。
 「雪の下」自分の不幸は自分を思ってくれている人の不幸ですね。「野末の宴」おお、その酒、飲みたい!!

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