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フルーツバスケット 21

「フルーツバスケット 21」高屋奈月 ☆☆☆☆

 死にゆく今日子は夾に向かって「許さない」と言ったと言う。
 「…俺は、俺を許せない…。俺も許さない。もう、おまえにも、許されたくない…っ」
 「許しません、…っ、そう言わないといけないんですか…?
許さないとか、許すとか、そんな選択しか、もう、私には、残されていないんですか…?
お…っ、お母さんがそんなこと“許さない”とか、言うなんて、信じられません…っ。…信じられない。
…けれど、でも、もし、もしも、本当にそう言ったのだと、したら…っ、わ、私…私はお母さんに、
反抗せざるをえません…!!
だって、だってそれでもどうしたって、夾君を好きだって思う私は、認めてもらえないんですか…!!」
 顔を赤らめ、涙を流しながら、必死で言う透。「…そんなん…幻滅だ…」夾は去ってしまう。
 はだしのまま、フラフラと歩く透。そんな透の前に現れる、小刀を持った慊人。
 慊人は透が自分の居場所を奪ったと言う。僕を仲間ハズレにして、みんなには好かれて、気分いいかよ。
 おかげで僕は、一人で、“間違い”で、悪者で、いい気味かよ。おまえなんか大嫌いだ。
 人の世界を、壊しておいて、それでも、おキレイな存在でいられるおまえが、一番汚いんだよ。
 透は気づく、生まれた時から“特別”だと、線を引かれ、輪の中ではなく上に立つ存在として、扱い、扱われ、
それは、置き去りにされていたのと、変わらない。
 「永遠や…、不変を、慊人さんが、口にするのは、繰り返すのは、そうしなければ、こわくて、こわくて、
仕方がないから…っ」
 わかったような口をきくと透を平手打ちする慊人。自分も不変を願っていたと言う透、母親との不変の関係…。  「…人も、想いも、縛れません…。それをもう、慊人さんも、気づいていらっしゃるのでしょう?
だからそれが、それがずっと、悔しくて、かなしくて、つらくて、さびしかったのでしょう…?」
 離れていく十二支達。亡くなってしまった晶。
 「いやだああっ!!いや…っ、いやだ、置いていかれるのはいやだ。どうして。
こわい、いやだ、こんなのはいやだ、こんな世界はいやだ!!」
 逃げる慊人、追いかける透。
 追いかけてきた透の襟元をつかみ、“約束”も“絆”も“永遠”も無い他人なんかと生きていくなんて恐い、
愛される保証も無いのにそんな他人に囲まれて生きてなんかいけないと訴える慊人。
 「慊人さんと、私と、始めませんか、今、ここから。出会い方も間違ってました。
こんにちは、私、本田透と言います。…あなたのお名前は?私とお友達になってほしいです」
 慊人に手を差し出す透。初めて、隣に座ってくれる人が現われたと、感じる慊人、手を差し出そうとする。
 透の足元の地面が崩れ、透、崖下に落ちる。助けを呼ぶ慊人、紫呉に出会う。
 パニくりながらも、透が落ちた事を伝える慊人。紫呉と一緒にいた由希、救急車を呼び、透のもとに駆けつける。 夾も慊人の叫び声を聞き、家に戻り、そこで透が崖から落ちた事を聞く。透、頭から血を流している。
 透、夾の声をかすかに感じる。
 “…もう泣かないで。
嬉しいことや、楽しいことに、いつか終わりがくるように、こわいことやかなしいことにも、終わりがきます、必ず。
その時は信じられなくても、どうか、どうか諦めないで。生きて、生きてほしい。
間違ったって、遠まわりしたっていいんです。でもどうか、どうか生きて、歩いていくことは諦めないで。
どうか、それだけはやめないで。たとえば、となりに、私はいなくたっていいから”
 透は手を伸ばし夾に触れる、「大丈夫…ですよ…。もう…大丈夫ですよ…」

 夾は病院についていかなかった。帰ってきた由希は夾の部屋に行く。俺がいても傷つける、守れないと言う夾。 「“守れない”…?“守れない”ってなんだよ…?崖落ちそうなのキャッチできればいいのかよ…?
車ひかれそうなの華麗に助けられりゃ満足なのかよ…っ。そいつは凄いな、おまえは誰だよ。
どこぞのスーパーヒーローかよ…!!ただのバカ猫なくせに…!!」
 俺だって、なれるモンならなりたかったよ!おまえみたいなやつに!!おまえに…なりたかったよ!!
と叫ぶ夾。
 ふざけるなと叫びながら夾をなぐる由希。
 「俺だって!!なりたかったよ、おまえみたいに…っ。
…憧れて、憧れて、憧れて、なのに、なんで、おまえが先に、そんな簡単に、言うんだよ、ふざけるな、
ふざけるな!!
…でも、おまえは…おまえで、俺はおれでしかなくて…、自分は自分にしかなれない。
自分を受け止めて、自分と…向き合うしか…っ。…守ってただろ!!?ちゃんと、おまえ、守ってただろ!!
“嬉しい”とか!“倖せ”だとか!!ちっぽけな事かもしれないけど、
ヒーローみたいに超人的な力じゃないかもしれないけど、だけど、側にいて、本田さん、笑ってただろ…!?
俺が側にいて同じことできると本気で思ってんのか!?
いい加減にしろ、おまえにしか出来ないことがあるって、もっと自覚しろよ!泣かすなよ!!
しっかりしろよ!!!…何ボサッとしてるんだ…?
おまえの憧れてる俺様がここまで言ってやってるんだぞ…バカ猫…っ」
 涙を浮かべながら顔を真っ赤にして言う由希。夾、病院に行く。しかし、面会時間はとっくに終わっていた。

 身内以外の人間も面会できるようになった。紅葉なんか午後の授業を抜け出して透に会いに行った。
 しかし夾は会えそうも無い。花島と魚谷が許さないのだ。
 二人は由希から夾が透に向かって幻滅と言った事を聞いていた。
 花島は言う。
 「工夫もひねりも無く謝るだけなら迷惑だわ…。そんなことに意味なんて、ひとつも無いのよ。
透君はあなたを責めていないもの。透君が望むものはそんなことなのかしら…?
本当に悪いと思っているのならやるべきことはもっと他にあるんじゃないかしら…?」

 病院の外のベンチに座り込んでいる慊人。紅葉が側を通りかかり、声をかける。紅野は慊人を責めなかった。
 馬鹿だと言う慊人。
 「良かったじゃない、2人が“馬鹿”なおかげで慊人は無罪放免だ。なら良かったじゃない。
“馬鹿”は利用できていいね」
 泣く慊人。
 “もしも‘まだダメだ’と言ったなら紅野はどうするだろうと思った。また側に居るのだろうか。
側に居てくれるような気がした。紅野はそういうひとだと思った。
どうしようもなく甘くて優しくて、ただ優しくあって。僕は長い間そんな彼を殺し続けてきたんだ”
 自分がくやしいと泣く慊人。
 “取り返しのつかない無意味な謝罪をただきいて受け入れるひとを、
どうして僕は傷つけることしかできなかったんだろう”
 「じゃあこれからは大切にすればいい。
誰かにとってそれは馬鹿でも自分にとっては馬鹿じゃないなら、自分は大事に…大切にすればいいんだ。
…それだけのことだよ」
 紅葉、ハンカチを差し出す。透に会いに行く慊人。透は身体を起こしていて、手を差し出してきた。

 本田さんが入院してるのかと由希に聞く翔。本田って子、ゆんゆんのなんなのかなと聞く公。
 翔は本田さんの事をゆんゆんを守ってくれた人だと言う。由希は翔の透への見舞い品選びに付き合う。
 しかし翔は本田さんの前だとキャラ違うから、はずかしいから由希は来ちゃだめと言う。
 帰り道、ある物を見つける由希。真知から電話。渡したい物があると言う。
 昔は、大勢の人が集まる場所で、自分がいなくなったら何人の人が気づいてくれるだろうとか思った事もある。
 でも今は違う。一人とかでも全然構わない。一人いるって凄い事だ。だってそれは“ゼロ”じゃないんだ。
 真知が大勢の人がいる中で自分一人だけをみつけだしてくれたこと、嬉しかった。
 自分以外の人間が自分の事を想ったり捜すのは当たり前なことなんかじゃない。
 奇跡みたいに幸福なことなんだ。真知は本田先輩のお見舞いにとお風呂セットを渡す。
 翔同様、自分のお気に入りを選んだのだ。そして、由希に肥料を渡す。
 重かっただろうにと思う由希、顔を赤らめ喜ぶ。そして由希もプレゼントを渡す。
 由希は兄が持っていて、真知が気にしていた、レア物巨大モゲ太を見つけたのだ。
 モゲ太を抱きしめながらありがとうと言う真知、本田先輩にお礼をしたくなり、見舞い品を考えたのだそうだ。
 会長みたいなひとがこの世にいてくれたこと嬉しくて、そんな会長を守ってくれていたなら感謝したいから。
 「だって会長がたとえばホントに小鹿みたいに弱くたって、そんな会長だったから、私みたいな人間に気づいて、声をかけてくれたんだった思うから。
そんな会長がいてくれたこと本当に嬉しいから…っ」

感想:良かったです、紅野も透も大丈夫でした。慊人さんも良い方向に変わるみたいだし。
 由希はますます魅力的になり…。自慢できまくりの彼氏だな、おい、真知。

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