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フルーツバスケット 22

「フルーツバスケット 22」高屋奈月 ☆☆☆☆

 夾は父親に会いに行く。夾が外で生きていくと言うと、父親は許さないと言った。
 「駄目だ、おまえは罪を償わければいけない、私にっ。俺に償わなきゃいけない!!
おまえのせいでどれだけ恥をかかされたか!俺の人生を滅茶苦茶にされたか!!
おまえなんか産まれたせいで…っ、おまえなんか産みやがったせいで!!」
 “コンナ、コドモ、ウミヤ、ガ、ッテ。イナクナレ、オマエラフタリトモ、イナク”
 過去、父親が言った言葉がよみがえる。「あんた…それ言ったのか…?あのひとに…」
 「俺に罪をなすりつける気か…!?俺のせいじゃない、おまえが追いつめたんだ。
あいつが死んだのは、おまえのせいで、俺の…俺のせいじゃない!!」
 “おれのせいじゃない!!”自分が子どもの時言った言葉と同じ言葉。
 “さびしかった?辛いこと、抱えこんで、苦しかった?ガキすぎた俺には、難しすぎてわからなかったよ。
‘でかくなれば絶対わかった’なんてキレイゴトは言わないけど、だけど死んでしまったら、もう何も試せない、
取り戻せない。
生きていてほしかったよ。今やっと、そう思えても、手遅れだなんて。
死なないでほしかった、自分を放りださないでほしかった。生きているうちは、母さん”
 「俺は放り出さないよ、…もう。やってみる、生きているうちは、生きてみる、ちゃんと」
 父親は夾のえりを掴み、夾が手を放させようと父親の手首を掴むと、
父親は殺されると狂ったようにわめくのだった。
 その騒ぎは慊人に報告される。慊人は夾を閉じ込めるための離れを壊すと言う。

 夾は何とか父親の事をクリアした事だし、透に会おうとするが、透は会いたがっていないと告げられる。
 彼女は夾にふられたと思っていた。退院するまで会いに来るなと言われる。

 花島は紅野の事で悩んでいるありさに「でも会えるなら、やっぱり、会ってナンボよ…?」と言い、
ありさは紅野に会いに行く。
 慊人が紅野を刺した事を花島とありさに告白した時、花島は慊人が女性である事を見抜いた。
 紅野が側にいてあげなくてはいけない人とは慊人の事だとありさは知る。
 紅野は慊人のためにしなくちゃいけない事は自分がいねくなることと言う。
 俺がいるとあのこはいつまでも気に病むからと。
 「ふぅん…どこへでも行けば?どこへでも。あたしは行くよ。…なんでかわかる?
それはね、…教えてやんないよ」

 退院した透に会う夾。透はダッシュで逃げる。追いかけ、透を捕まえる夾。
 しかし透は叫び声を上げ、夾を拒絶しながら、後ろ下がりに下がりまくるのだった。
 夾はやっとこ捕まえ、好きである事を告白する。抱きしめていいかと聞く夾。
 この体が原因でおまえを苦しめる時も…と言いかける夾にかぶさるように言う透。
 「夾君、夾君、ご存じなかったですか?私、夾君が大好きなんです。大好きです、夾君。
それはとっても無敵です」
 顔を赤らめながら、満面笑顔の透。抱き合う二人。夾は変身しなかった。夾は数珠を引きちぎり、天を仰ぐ。
 彼の目には涙が。“さようなら”綾女は突然立ち上がり、美音を後ろから抱きしめる。“さようなら、みんな”
 利津は皿を落とし、こぼれる涙に手で顔を覆う。“お別れがさびしい。とてもさびしい”杞紗も突然涙を流す。
 “‘別れは出会いの始まり’だとか”楽羅も街中で突然涙を流す。“‘終わりがあるから始まりがある’とか”
 依鈴も目に涙を浮かべる。“そんなありきたりなセリフ、今はききたくもない”依鈴は潑春の頬に手を伸ばす。
 「…けっこう…これはこれで…さびしいもんだね」“どうか一緒に泣いて。どうしようもないことなら、せめて”
 はとり、手で顔を覆う。
 “からだごと叫ぶように、持っていたモノ失くして、保障なんて一つも無くて、もう一度、
この世界で生きていく恐怖を”
 紫呉、胸に手を当てる。「そう…こんな感じ…か」
 “ひとかけらの希望を糧に、せめて一緒に、泣いて、泣いて、泣いてほしい、
この世に初めて産まれおちた日のように。
‘出会い’を、‘始まり’を信じるのは、それからでも遅くはないって。笑って”
 由希は真知と待ち合わせ。自分が変身する事を告白しようとした時、それは来た。
 “君が最後、だね。遠い遠い、約束を、守ってくれて、ありがとう。ありがとう。さようなら”

 昔々、あるところに、その人は居ました。ずっとずっと前から一人で居ました。
 山を降りれば多くの人が暮らしていることを知っていました、けれど一人で居ました。
 千の力を持ち、千の命を持ち、千の記憶を持つ自分は人と違っていることを知っていました。
 人をおそれていました。傷つくことをおそれていました。
 多くの力を持ちながら、多くの人と違う自分をおそれていました。
 そんなある日、一匹の猫が訪ねてきました。
 突然の来訪者にひどく困惑していると、猫は恭しく頭を下げ、
「以前よりあなたのお姿を拝見しておりました。あなたは大変不思議な御方、貴方にひかれてやみません。
私はただの野良猫だけれど、どうかお側に置いて下さい。どうか“神様”」
 それから猫は言葉通り、側を離れませんでした。片時も離れませんでした。
 神様はそれがとてもとても嬉しくて、ふと思いつきました。
 「そうだ、人と違う者達となら、私は仲良くなれるかもしれない。
私と同じ想いを知る者となら、楽しい宴会を開けるかもしれない」
 神様は招待状をたくさんたくさん書きました。たくさんたくさん送りました。
 すると十二匹の者達が神様のもとへやって来ました。
 それから十三匹と神様は月の輝く晩の度、宴会を開きました。歌い踊り、笑いあいました。
 神様も初めて声をあげて笑いました、人とは違う者達の宴を月も静かに見守りました。
 けれどある晩猫が倒れてしまいました。それは寿命というもので、どうにもできないことでした。
 みんなみんな泣きました。みんなみんな気づいていました。いつか皆死んでしまう。宴会は終わってしまう。
 どんなに楽しくとも、眩いほどに大切と想っても、いつかは。
 神様は、ひとつ呪いごとを唱えると、円をくるりと盃に描き、それを猫にひと舐めさせ、皆に向かって言いました。 「私達の絆を今ここで永遠のものとしよう。たとえ私やみんなが死んでも朽ちても。
永遠の絆でつながっていよう。何度死んで何度生まれ変わろうと、同じようにまた、何度でも、宴会を開こう。
みんなで仲良く、いつまでも、私達は不変であろう」 
 みんなは大きくうなずくと、鼠が最初にひと舐めし、次に牛、次に虎、
次に兎と順番に契りの盃をわけあいました。
 最後に猪が舐め終わる頃、猫が息もたえだえに泣きだしていました。
 「神様、どうして私にそれを舐めさせたのです。神様、私は永遠などいりません。不変などいりません」
 それは思いがけない言葉でした。神様やみんなにとって拒絶の言葉でした。
 みんなみんな、かなしくなって、猫をなじり諭しました。それでも猫は言いました。
 「神様、神様、こわくとも終わることを受け止めましょう。さびしくとも、さりゆく命を受け入れましょう。
神様、私は一時でもお側にいられて幸せでした。
もし、もう一度互いに死んで生まれ変わって出会うことができたなら、今度は月夜だけでなく、日の光の下で笑う貴方に会いたい。
今度は私達だけでなく、人の輪の中で笑う貴方に私は会いたい」
 猫は最後にシッポをふると、パタリと死んでいきました。けれどもう、誰も猫には構いませんでした。
 みんなは猫に裏切られた気持ちで一杯でした。それからしばらくすると次々にみんな死んでいきました。
 最後に龍も死んでいき、神様はまた一人きりになりました。そうして遂に神様も死にゆく日を迎えました。
 けれど、こわくはありませんでした。みんなと交わした約束が支えになっていたからです。
 「また、また宴会を開こう。もう一度、何ででも、いつまでも、変わることなく。たとえ今はさびしくとも。
あの約束の向こうでみんなが待ってる」

感想:時間が経ったので、みな解けたと。
 次から次へと波状攻撃のように呪いが解けていく事を感じざるをえない慊人はつらいね。
 まっ、透という友達も出来たし、花島咲という恐ろしくも頼りがいのある友達も出来たし、それでよしとするか。

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