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2006年12月

「イリヤの空、UFOの夏」1~3

「イリヤの空、UFOの夏」1~3 秋山瑞人 ☆☆☆☆

最後まで書いています。注意!

「第三種接近遭遇」浅羽直之は夏休み中、新聞部の部長水前寺邦博と、UFO探しのため山にこもっていた。そこで夏休み最後の日は、学校のプールに忍び込んで泳いでやろうと決めたのだ。しかし夜のプールには先客がいた。女の子だった。彼女は自分の名前を「いりや」と告げた。泳ぎ方を知らない彼女に泳ぎを教える浅羽直之。パトカーのサイレンの音がすぐ近くで響き、男が現れ彼女を連れて行った。
そしてあの女の子「伊里野加奈」が浅羽直之のクラスに転校してくる。

「ラブレター」水前寺邦博は園原基地の立ち入り禁止区域にUFOの残骸か宇宙人の死体があるのではないかと疑っていた。伊里野加奈が園原基地の居住区に住んでいると聞き、伊里野加奈を入部させようと、浅羽直之のクラスに行き、花束を差し出し誘う。浅羽も勧誘してみる。
防空訓練の日。いつもなら予告があるのに、予告無しに第一次空襲警報が鳴る。そう言えば中村先生が「今回のテーマはリアリズム」とか言っていた。それゆえだと浅羽は思ったのだが、伊里野加奈は本物の恐怖の表情を浮かべていた。伊里野は浅羽の手を掴んで走った。廊下に居並ぶ生徒達を見て死にたくなかったら自分の後に続けと叫んだ。防空壕のロックを解除し、中に入って閉めた。そして電話が鳴った。電話の相手は榎本と名乗った。プールで会った男らしい。警報はやはり訓練だった。防空壕を開けるにはしばらく時間がかかる。何もする事が無いので伊里野のゲームを貸してもらってする浅羽。浅羽の背後から夢中になって教える伊里野。浅羽の背中に押付けられる伊里野の胸と声にゲームどころではない浅羽。浅羽の飛行機は敵にやられ、伊里野は鼻血を出して意識を失った。電話をする浅羽。榎本は伊里野の胸をはだけ、そこに印があるから、印の所に注射器を突き刺せと言う。突き刺そうとした時、防空壕が開き、新任の保険医椎名真由美が浅羽の代わりに突き刺してくれた。
下駄箱にピンクの封筒が入っていた。伊里野の入部届けだった。入部を希望した理由には「浅羽がいるから」と書いてあった。

「正しい原チャリの盗み方」前編 
水前寺は伊里野に園原基地を見せてくれないかと頼んだが断られた。そこで水前寺は浅羽に伊里野とデートする事を命じる。好きな男に頼まれれば無碍には断れまいと言う理由だ。無理と断る浅羽だが、では俺がやると言う水前寺の言葉を聞き、「わかりましたやりますっ!!」と叫んでいた。浅羽は伊里野を映画に誘った。
浅羽と伊里野のデートを影から見守る榎本と椎名真由美。しかし浅羽には別の尾行がついていた。妹の夕子だった。そして兄達が入った映画館に入ろうとして水前寺と出会う。水前寺は浅羽に盗聴器を仕掛けていた。榎本達も水前寺の盗聴器から電波を盗み聞きさせてもらう。トイレに行き戻ってきた水前寺が座る場所を変えた。榎本は水前寺に気づかれた事に気づき、出る事にする。水前寺は仕掛ける。悲鳴を上げる椎名真由美。目標の男女を写真に撮る水前寺。

「番外編・そんなことだから」椎名真由美が電話を取ると榎本からだった。26チャンネルを見ろとの事。UFO特番だった。番組のFAXが届く。園原基地南第二ゲートに武装車両に護衛された大型トレーラーがあり、積荷は異星人の冷凍死体四体との事。慌てる榎本。「積み荷が何かなんてどうせ水前寺だって死りゃあしねえ、取材スタッフをぶつけて何が出てくるか確かめる腹だ!!」榎本、忙しくなると電話を切る。取材スタッフが出向き、積み荷を開けると…、ダッチワイフだった…。

「正しい原チャリの盗み方」後編
ここはファーストフード店。伊里野に盗聴器の事がばれる。伊里野は浅羽に仕掛けられた盗聴器を全部処分する。ばれた事を知り、嫌がる夕子を脇に抱え、伊里野達の元へ向かう水前寺。伊里野は消化剤の仕掛けを施しておいて、原チャリを盗んで浅羽を後ろに乗せて逃亡する。夕子を無理矢理後ろに乗せ、自分のスクーターで追いかける水前寺。行く手に野良犬。伊里野は無謀な急カーブを切る。水前寺は曲がりきれず、そのまま川へ…。伊里野は逃げて着いた先の公園で昔の思い出を語る。

「十八時四十七分三十二秒」前編
「旭日祭」こと学園祭がもうすぐ行われる。水前寺はUFO現象についての調査報告並びに展示を行うつもりだ。もう一人の部員須藤晶穂は特別号を発行する事にした。旭日祭の企画紹介である。浅羽はもし伊里野が学園祭に参加できたら、伊里野とフォークダンスを一緒に踊ってくれと榎本から頼まれる。

「十八時四十七分三十二秒」後編
旭日祭。浅羽は校内放送で伊里野から電話だと呼び出される。十八時四十五分に六番山に一人で来てくれ。六番山に向かう浅羽。遥か上空に航空機の編隊。一機がこちらに機首を向けた。低空を通過しフレアをばら撒く。

「番外編・死体を洗え」陸上自衛軍女子寮隊員寮「ひめゆり荘」の電話。基地の外で男にナンパされ、その男が話した変な話。園原基地で死体を洗うバイトをした。バイトに誘ってくれた奴はその仕事にすっかり気がおかしくなり、「エイリアンがいる!!エイリアンの死体あがある!!」と絶対に出るなと言われていた処理室を出る。そこにあった水槽を見下ろしていた奴の振り返った顔は無表情で…。そんなバイトがあるわけが無いと電話の相手。突然のノイズ。別人の声のような…。電話が切れる。

「無銭飲食列伝」伊里野をおいしいお店紹介の取材に誘う晶穂、一緒にストロベリー・フィールズと言うお店に行く。「あっ、えっと、オレンジペコといちごパフェ」「晶穂とおなじのっ」伊里野は機械のようにパフェを食った。今さら後には引けず、絶対に怯んではならZu,一歩たりとも譲ってはならず、晶穂もパフェを平らげる。「げんこつシュークリームと水出しコーヒー。あとスパゲッティ・マヨネーズしょうゆ」「晶穂と同じの」ロボットのように食い始める伊里野。晶穂もあわてて食べ始めるが、伊里野が先にフォークを置いた。晶穂を真っ直ぐ見つめる伊里野。「鉄人屋」に行く二人。「鉄人定食ひとつ」「晶穂と同じの」「-いや、あのねお客さん。一応説明しとくとさ、うちの鉄定は」「鉄人定食ひとつ!」「晶穂と同じの!」鉄人定食とは、鉄人ラーメン+鉄人餃子+鉄人中華丼のセットで、お値段4千円、ただし完食されたらお代は結構、制限時間は60分。まず巨大ドンブリのラーメン。ストップウォッチが15分を経過した頃、二人スープを飲み干し始める。完食。三口でも食べきれない餃子五つ。熱い餃子を手づかみで口に放り込む。絶対に負けたくない。無理矢理飲み下す。ニワトリの卵がゴロゴロ入った中華丼、器は洗面器の如し。残り時間は二十八分と十七秒。伊里野が食べている最中に鼻血を出す。「…まけない。あきほには、ぜったいまけない。ぜったいまけない!」「上等ぉっ!!」晶穂の意識は何度も途切れた。食い終わり、伊里野の椅子の足を蹴りつけ、伊里野の体が傾き、その下から空っぽの器が現れた。記憶が途切れた。晶穂と伊里野は仲良くなる。

「水前寺応答せよ」前編 晶穂が誘って浅羽や伊里野や他の友達とボーリングに行く。しかし、そこに榎本が現れ、伊里野を殴って無理矢理連れて行く。次の日、伊里野の髪は真っ白になっていた。電話で呼び出され、すぐ帰る伊里野。

「水前寺応答せよ」後編 水前寺はかつての自分の家の土地だった所の地下壕に身を潜めていた。園原基地に潜入するためである。そしてついに見た。部室で水前寺の暗号に気づく浅羽。今日の午後九時までに帰還するとの事。電話がかかってくる。「あれは生物だ」電話の向こうで何かが起こり、水前寺の叫び声が聞こえ、回線は断ち切られる。伊里野に逃げようと言う浅羽。しかし浅羽には電波を発する物が仕掛けられていて、逃げられないと伊里野。浅羽は耳の下に埋め込まれていた金属を抉り取る。

番外編「ESPの冬」水前寺と浅羽は放送室を占拠し、ESP実験を行う。

感想:あまりハッピーエンドでは無いと聞きました。という事は伊里野は…。私としては愛しの水前寺が気にかかります。浅羽の妹はなかなかに可愛い。晶穂はいい子よね。この世界の日本は北と南に分かれているらしいな。そして、宇宙人も関係しているが、一般人はそれを知らない。とっても笑えるお話しなんだけど、きつくもあるのよね。

ちっちゃん俳句「夕焼けや 中止されたし 周りなり」

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ヒストリエ1~2

「ヒストリエ」1~2 岩明均 ☆☆☆☆☆

最後まで書いています。注意!

 紀元前343年、ペルシア帝国。エウメネスは海峡を渡ろうとしていた。小さな舟はあるのだが、櫂が無い。
曲がりくねったブロンズで出来た蛇を見つけたので、それに木の枝をくくりつけ、足で漕ごうと思いつく。
一方メムノンはアリストテレスを追っていた。
エウメネスはアリストテレスに舟を売ってくれと頼まれるが、舟は売るつもりは無く、
アリストテレス一行を一緒に乗せられるほど舟は大きくなかった。
アルキメデス達は別に舟を探しに行く。そこに若い女が現れる。
彼女はアルキメデスでさえ、しばらく考えなければ分からなかった蛇で櫂を作るという発想をすぐ見抜き、
40過ぎの学者風の男と若者と奴隷の3人連れの事を聞く。
アリストテレス達の事とすぐ気づいたが、エウメネスは見かけていないと言った。
いよいよ櫂が完成し、海峡を渡ろうとしたら、アリストテレスと若者が走ってくる。奴隷は荷物を持って逃げたのだ。荷物なしの二人だけならとエウメネスは二人を乗せる。
馬に乗った女も来るが、一行はなんとか逃げる事が出来た。
アリストテレスによると女はトロイアス州総督の妻バルシネだった。

 お迎えが来たアリストテレス達と別れ、エウメネスは故郷カルディアに着く。
しかしカルディアはマケドニアの大群に囲まれていた。
その中に威厳ある男を見るエウメネス、その軍の様子を見て、これはただの脅しで、
カルディアと協定を結びたいのだと見抜く。
やはり町に入れず困っていた老婦人の奴隷として、軍の間を通り過ぎる。
彼の思惑通り、軍は彼と老婦人に危害を加えなかった。しかし町の人は門を開けてくれない。
そこにエウメネスと老婦人が通るのを見て、同じように通ってきた3人組みが来る。
ペリントスの商人アンティゴノスと名乗る男と二人の連れだった。
エウメネスはアンティゴノスの荷物を見せてもらい、その中の壷を老婦人の夫の遺骨を入れた物と偽り、
主人は市の功労者だった、どうか入れてくれと大声で叫び始めた。
それでも門は開かなかったが、次にエウメネスはマケドニアの軍に向かって同じ事を叫び始める。
馬に乗っていた身分の高そうな若い男が軍の行進を止めさせる。
エウメネスの声は響き、市は外聞が悪いからと、とうとう門を開くのだった。
アンティゴノスはエウメネスにヒエロニュモスの家の場所を尋ねる。案内するエウメネス。
その途中でなぜ軍の間を無事通り抜けると思ったのか聞くアンティゴノス。
彼の答えを聞いて、その頭の良さに感心し、彼は自分の所で働かないかと三日後に会おうと言うのだった。
ヒエロニュモスの家は廃墟になっていた。アンティゴノスはヘカタイオスの事を聞いてくる。
その名を聞き「ヘカタイオスだと!?」と尋常ではない反応を示すエウメネス。彼は家は知らないと言った。
そして廃墟で過去を思い出す。

 トラキアは奴隷の一大収穫地でカルディアはアテネへ奴隷を送る中継基地だった。
エウメネスは有力者ヒエロニュモスの子で、兄の名前もヒエロニュモスだった。
エウメネスは鮮やかに人を殺していく女の夢を良く見た。
奴隷のカロンにその話をすると、その夢の事はあまり言わない方が良いと言われる。
エウメネスは頭がよく、本も良く読み、下の身分の者とも気軽に話す性格だった。夢。
鮮やかに人を斬っていた女はふとこっちを見、動きが止まり、刺されてしまう。
犯されながら切り刻まれていく女はじっと自分の方を見ている。
自分は死んだ女の視線の先に行き、女の顔を見つめる。夢を見ているエウメネスは涙を流していた。

 手と足が鎖で縛られているスキタイ人の奴隷トラクスは主人に虐待されていた。
転ばされた彼に手を差し伸べるエウメネス。トラクスはふっと笑って自分で起きるのだった。

 体育習練をするエウメネス達。
エウメネスは徒競走では一番だったが、何と言ってもニコゲネスが一番成績が良かった。
そのニコゲネスに目をつけた年長組みは年少組みがまだ習っていない拳格闘でニコゲネスをシメようとする。
ぼこぼこにやられるニコゲネス。他の友達も全員やられる。
エウメネスがヒエロニュモスの弟である事に気づき、ヒエロニュモスを呼んでくる年長組。
ヒエロニュモスは弟相手に拳格闘を始めるが、逆にエウメネスにやられてしまう。
エウメネスは夢の女の動きを思い出していた。他の年長組みもやっつけるエウメネス。

 鎖をはずされたトラクスは近くにいた主人の家人達を全員殺した。
門を閉められ外に出られなかったトラクスは向かってくる街の者達を次々と倒していく。
トラクスの動きに魅せられていたエウメネスは街の者に盾代わりにされてしまうが、トラクスはその街の者を殺し、エウメネスは殺さなかった。
後に一人死に掛けているトラクスを発見したエウメネスは父の下で働いているヘカタイオスにその事を言う。
夜、目覚めて部屋を出たエウメネスは死んでいる父とその側にいるヘカタイオスとゲラダスを見る。
ヘカタイオスによるとエウメネスはトラクスに尾行されていて、トラクスがヒエロニュモスを殺したのだと言う。
しかし瀕死の状態のトラクスにそんな力があったとは思えなかった。
エウメネスの抗弁はヘカタイオスのエウメネスはスキタイ人だと言う一言によりひっくり返ってしまう。
エウメネスは市所有の奴隷という事になる。なぜヒエロニュモスはスキタイ人の子を引き取ったのか。
あの夢の女はエウメネスの母親だった。
母親の無残な死体を見ても何の感情も見せないエウメネスを勇者だと思い、
ヒエロニュモスは彼を引き取ったのだ。
しかし奴隷カロンの考えでは違う。
女と近しい間柄とわかれば、自分もあのような目にあうかもしれないと幼いながらも感じて泣かなかった。
それはそれで大変な才能だとカロンは言う。
ヒエロニュモスの妻は思い出す、初めてエウメネスと会った時の事を。
彼女と二人きりになった時、エウメネスはしがみついて来て涙を流したのだった。

感想:ちらっと見た時は残酷シーンが一杯で、うわっ苦手と思ったが、ちゃんと読んでみたら面白くって…。
やっぱり基本、頭の良い人に弱いからな私は。
今でも残酷はあるけど、昔は残酷をちっとも悪いと思っていなかったから、もろにあっただろうな。
ギリシア文化って確かにすごいんだけど、あんな風に奴隷を使ってたし、女を一段低く見ていたし、
それを考えると、あまり好きとは言えないような。
あのかっこいい若者がきっとアレキサンダーね。本物がハンサムだったかどうかは知らないが。
金髪じゃなく黒髪だと思うんだけど、本当はどうなの?

ヒストリエ(アフタヌーンKC)
岩明 均
講談社 (N/A)
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ヒストリエ 2
岩明 均
講談社 (2004.10)
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ちっちゃん俳句「全身に 結成される バスケット」

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