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水辺の暗い道

「水辺の暗い道」百鬼夜行抄12より 今市子 ☆☆☆☆☆

最後まで書いています。注意!

 町の祭りの“作り神”に選ばれた引越ししてまだ間もない二人、山崎英一に河上。
 各家々を回るのもようやく終わり、後は最後の蔵納めだけ。

 夜が明け、祭りでの苦労をねぎらわれる二人。
 その時、ギギーという変な音が響き、空を見上げると太陽がねじくれて見えた。
 ふしさんは「おまえは…なんてことを」と言って倒れてしまう。

 お使いを頼まれた飯嶋律、おじいちゃんに出会う。「なんだ、おまえが来たのか」「おじいちゃん」
 「つくづくおまえたちは強い縁があるらしい」「え?」
 「代理同士だがしかたがない。こっちへおいで。…さあここへ来て隣に立ちなさい」
 司ちゃんと二人並んで立ち、拍手を打つ。…夢だった。おじいちゃんの出てくる夢には必ず意味がある。
 司から司の彼氏と一緒のドライブに誘われるが、夢を警告と取り、断る律。
 クラスメイトに一人行けなくなったから夏休み北海道に旅行に行かないかと誘われ、即答で断る律。
 「そんな即答しなくても…なあ俺の事覚えてる?一年の時からクラス同じなんだけど」「覚えてるよ、遠藤」
 「近藤なんだけど…」落ち込む近藤に謝る律。「じゃあさ…」
 一人ドタキャンしたので、今晩の合コンに出てくれと言われ、先ほどの落ち度もあり、
引き受けざるを得なくなる。
 “こういう不特定多数の人間の期待と失望と煩悩の渦巻く場所は、しばしば危険な出会いを招く”
 合コンの場で腐臭を感じる律。なんと合コンには司もいた。
 トイレの前で問い詰めると、やはり人数合わせだった。
 そこに、良くない霊に取り付かれ、苦しむ山崎がやってくる。
 彼は倒れ、その体から腐臭を漂わせた泥水が流れてき、ついには律の足にかかる。
 そこにやってくるもう一人の女性。
 対抗するための経文も呪文も何も思い出せない律は「来るな!消えちまえ、この野郎!近づくんじゃない!」
と叫ぶ。
 律と女性の間で、瞬間的に消え去る良くないもの。
 女性は律を怖がり、ただ救急車を呼んでと頼むために近づいただけの律の足を強く踏む。
 それは先ほど良くないものが触れた足だった。
 山崎は動脈瘤が破裂した上の失血死、律の足にはひびが入っていた。女性は山崎を知っていた。

 女性は遠野真理子、あの町の出身だった。山崎は彼女を訪ねて、彼女のアルバイト先に来たのだ。
 彼は彼女が東京に出てきた理由を教えろと言ってきていた。

 真理子が律を訪ねてくる。遺族の方に最期の様子を話して欲しいそうだ。
 足を理由に断ろうとしたら、母親が司ちゃんに一緒に行ってもらえば良いと言う。
 この流れに危惧を抱き、なんとか歩けると司ちゃんに連絡するのを止めさせる律。
 真理子は何かを怖がっていた。

 真理子の田舎に着く。奇妙な音に、飛び交う良くないもの。真理子は耳を覆い、うずくまる。

 ふしさんは寝たきりで、新しいふしさんとしてユカリちゃんが選ばれる。

 山崎さんの奥さんによると、英一さんはずっと具合が悪く、何かに悩んでいるようで、
「今はずっとついてくる…」と言っていた…。
 彼はこの一年町から出てった人間全員に会って、何で町から出てったのか理由を聞いてたらしい。

 律には真理子の後ろにいる女の人が見えた。そして町には腐った水の匂いが漂っていた。
 町の人が言っていた役員の事を聞く律。腐臭の先には沼があり、そのほとりに御蔵がある。
 作物の神である使い神様の家と言われている。年に一回祭りの日の朝、二人の役員が鍵を開け道具を出す。  役員は町の上区と下区から一人ずつ選ばれる。大抵は同じ年で同じような背格好の人を。
 釣りあいがとれていないと帰り道で弱い方に魔がつくとも言う。
 祭りそのものは青年団によって取り行われ、作り神に扮した青年団員が家を回って豊作を祈り、
御布施米を集める。
 集めたお米で宴会を開き、作り神をねぎらう。
 役員は作り神の扮装と祭りの道具を受け取り、二人きりで御蔵納めに向かう。
 道具類を元通りに納めたら、二人同時に二礼二拍手して鍵をかける。
 朝の七時に始まって終わるのが大体夜中、お年寄りには体力的にきつく、
神様に近づきすぎるから祟りを受けるとか、お米の出来が悪いと役員のせいにされ、皆やりたがらない。
 役員を選ぶふしさんもやりたがる人はいないが…。

 バスを待っていると町の人が来て、作り神役の人が倒れたので、代りにやってくれないかと律に頼みに来る。
 もちろん断ったが、最終のバスは来なかった。

 新しいふしの大村ユカリは新しい役員を前の役員の河上と前の役員の山崎の奥様に決めた。
 ふしさんとは何か町の人に聞く律。ふしさんは元々“ふしゃさん”と言った。“巫者さん”だと気付く律。
 真理子もふしさんの候補だった。巫者さん、シャーマン、町の宗教的指導者。

 前のふしゃさんの生霊に取り付かれている真理子。本物の候補者は彼女だった。

 河上は死んだ妹の霊を追いかけ律と真理子に出会う。
 彼は二人に告白をする、一年前の祭りで掟を破った事を。河上一人で納めに行ったのだ。
 その後何かが後をつけてくる事に気付く河上。彼はそれを4歳で死んだ妹の笑ではないかと思った。
 妹は東京の病院で亡くなったのだが、その頃祖父が役員をしていて、
役員を引き受けた家の者は必ずいけにえをとられる、笑は御蔵の神にとられたんだと母が泣いていた。
 河上は妹は妻の体内に宿ってもう一度生まれ直そうとしていると信じていた。
 「だとしても、もう別のものですよ。
死者達の恨みや大地や水や獣のエネルギーや…そんなものがあの池にはいっしょくたに溶けあってるんですよ。お蔵はその入口なんです。年に一回しか開けちゃいけないんですよ。
ちゃんとした手続きを踏まないと入口が開きっぱなしになって、あれは自由に出入りできるんですよ」
 「笑の霊が…俺達に害をなすとでも?」
 「人間だった時の記憶はないんです。あれはこの世のものじゃないんです。あの世には善も悪もないんです。
あの世に返してあげないと…」

 ユカリは旦那の浮気で離婚して、帰ってきた。山崎さんの奥さんを役員にした事を責める真理子。
 山崎英一はもとは萩原英一と言って、
彼の父親が役員をやった時作り神を怒らせたって噂され町にいられなくなったのだった。
 ユカリは何年か前に偶然萩原と会った。
 酒を飲み、笑いながら、親父がインフルエンザをうつして死人が出た事を言う萩原。
 その時初めてユカリは兄の死因を知った。

 御蔵から道具を取り出し、河上と山崎の奥さん二人で歩く。後ろを振り返っちゃいけないと奥さんに言う河上。  「おーい、雅子…待ってくれ。俺だよ、助けてくれ…。英一だよ。今日は祭りの日だ。
おまえが手をかしてくれれば俺は帰れるんだ。助けてくれよ、雅子~」
 何かが後ろから呼びかける。「ダメです!振り返らないで」
 「河上~、おまえのせいだぞ。なんでおまえだけ助かって何もしてない俺をあいつらは連れにくるんだ…。
泥だらけだ…口の中まで真っ黒だ。ちくしょう気取りやがって。
おまえのじいさんは孫をいけにえに差し出したんだ。ごりっぱな役員様だよ…笑は俺の足の下で泥を食ってるぞ」 振り向くなと注意したはずの河上の方が耐えられなくなり、振り返って何かを杖で払う。
 そこに笑の何かまで来て、河上は耐えられず逃げ、倒れてしまう。奥さんも放心状態だった。

 作り神役の律。彼が杖で地面を叩くと、穢れが逃げていく。
 一年の間にたまった穢れを祓い、沼の水気が生命を与える。死と再生の祭り。

 新しい役員をユカリが選ぼうとすると、真理子が私に選ばせてと声をあげる。
 寝たきりのふしさんが起き上がって真理子を指差し、倒れる。

 二年分の不浄を祓う重労働。
 足は痛いわ、その事を指摘する嫌な霊はいるわで、疲労困憊の律、何とか作り神の役目を終える。
 そこに司が現れ、彼女は律の手を引き、起こしてくれる。司は酒の飲み放題と言う連絡を聞いて来たのだ。
(連絡したのはきっとあの文鳥達…)
 彼女のおかげか、体の痛みがひいていく律。新しいふし真理子は律と司を役員に選ぶ。

 田祭りは二人にとってスペクタクルだった。なんせ、穢れた霊が一杯…。
 彼らは正式なシャーマンに指名された正義の味方だから、正式な儀式にのっかって守られ、とても安全。
 おそらくあの池は昔から死体を投げ捨てる場所で霊のたまり場。破壊と共に祖先の守護もあそこから得ていた。 御蔵の前にいる笑のような霊、二人が拍手を同時に打つと、御蔵の中に吸い込まれ、町は浄化される。

感想:前にも書いたような気がするが、私はこの漫画がNHKでドラマ化されるようにと念を送っている。
 青嵐と文鳥達がネックだが、デスノートで死神さんをうまく作っていたみたいだから、
うまく出来るのではないかと期待。
 名作ドラマになると思うんだけどなあ。
 漫画的笑いはドラマに合わないから、それは押さえる方向で、自然な感じで作ってくれると良いのだが…。
 この漫画、良く考えると怖い話しがあるのだが、律が茫洋としているおかげか、あまり怖くない。
 怖いのが苦手なので、それで良いが…。お祭りもその由来と意義を知ってからやりたいね。
 沖縄の方で、ユタになるのがイヤだったが、どうしてもやらざるを得なかったと言う話を聞いたことがあるが、
これはそれの日本バージョンね。
 私は霊が見える人ではない。見たいとも思わない、絶対!見える人ってやっぱり苦労らしいし。
 霊もねえ、早く成仏すれば良いのにねえ。悪霊退散!南無阿弥陀仏!南妙法蓮華経!!
(うちは浄土真宗だが、経なぞろくに知らない…。母方は曹洞宗だが…。
親鸞より、道元の教えの方に興味しんしんだが、難しそうだし、座禅は…ちょっと………)

ちっちゃん俳句「人間に 発見された ペンタゴン」


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コメント

きょうちっちゃんは、NHKのふしとか蔵するはずだった。
そしてきょうちっちゃんが扮したよ♪

投稿: BlogPetのちっちゃん | 2006.08.22 13:58

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