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終わりの風景 他

「MONSTER」原作:浦沢直樹 キャラクターデザイン・総作画監督:藤田しげる キャラクター原案:高坂希太郎 シリーズ構成:浦畑達彦 監督:小島正幸 音楽:蓜島邦明

「終わりの風景」CHAPTER73 ☆☆☆☆
脚本:筆安一幸 絵コンテ:小島正幸、高橋亨 演出:小島正幸、鶴岡耕次郎 作画監督:津幡佳明

雨が降る中を、死体がごろごろ転がっている町を彷徨うヘルベルト・クナウプ(花輪英司)。
 「悪魔だ…。この町に、悪魔が来たんだぁ!」と頭を抱え、叫ぶヘルベルト。

 ホテル・ベルクバッハに銃を持って飛び込もうとしている天馬賢三(木内秀信)とポッペ(野沢那智)。
 そこにヴィム少年(矢島晶子)がやってくる。ニナ・フォルトナーが来た事を知らせにきたのだ。
 「ニナと、呼ばれているのか…。あの子は今、ニナと呼ばれているのか…」「ええ…ニナ・フォルトナー…」
 「良い名前だ…」泣いているポッペ。「名前は大切にしろって、ポッペさん、いつも言ってたもんね」
 そこにヨハン(佐々木望)が現れる。「ヴィムを連れて、早く物陰へ!」
 二人の前に立ち、ヨハンの方に銃を向けるテンマ。「やっと会えましたね、Dr.テンマ」
 撃とうとするテンマを銃のグリップで殴って、その前に出るポッペ。「死のう…私と一緒に…死のう…」
 ポッペ撃たれて倒れる。

 フランツ・ボナパルタを捜して町を駆けるニナ・フォルトナー(能登麻美子)。
 赤いバラの屋敷であの人はニナに言ったのだ。
 「良いかい、よく聞くんだ。…今見たことはみんな忘れるんだ。遠くへ逃げるんだ。出来るだけ遠くへ。
人間はね、なんにだってなれるんだよ。君達は美しい宝石だ。だから怪物になんかなっちゃいけない」

 倒れたポッペに駆け寄るヴィム。ポッペを殺したのはロベルト(勝部演之)だった。
 ロベルトはヨハン達に近づき、ヨハンを見て倒れる。「見せてくれ…終わりの風景を…」「君には…見えないよ…」 しかし、その声は、もうロベルトには、届かなかった。雨の雫が彼の目から涙のように流れる。
 テンマはヨハンを撃とうと銃を構える。
 「Dr.テンマ、あなたにとって、命は平等だった。だから僕は生き返った。でも、もう気付いたでしょう。
誰にも平等なのは…、死だけだ」
 ヨハンは自分の額を右手の人差し指で指差す。「あなたには見える…終わりの風景が…」
 二人の周りの風景が風吹きすさぶ荒野に変わる。「だめっ!」ニナの声が響く。ヨハンは手を下ろす。
 「あたしは…、あたしはあなたを許す。世界中にあたし達二人だけになっても、あなたを許す。
それがあたしの、あなたへの…」
 「だめだよ…取り戻せない物がある…。もう後戻りは出来ない…。Dr.テンマは僕を撃つんだ…。
そうでしょ、Dr.テンマ…」
 銃を取り出しヴィムに向けるヨハン。「そうでしょ」
 ヨハンの頭に銃弾が撃ち込まれ、ヨハンは頭から一筋の血を流しながら倒れる。

 町をとぼとぼと歩いていたヘルベルトは、ヴィムが銃を突きつけられている光景に出くわす。
 ヘルベルトはヴィムに銃を向けている男を撃つ。

 町にやっと助けがやってくる。
 ヘルベルトは角がたくさんはえた、頭が七つもある怪物が、息子に襲いかかっていたと言った。
 ルンゲ(磯部勉)は生きていた。ヘニッヒ(佐々木勝彦)は宝くじを失くした事に気付く。
 捜しに行こうとするが、フランカ(藤夏子)はもういいよと言う。
 「あんなもん、なくていいよ…。私達こうして生きてるだけで、十分だよ」
 二人見つめあい、微笑みあって、抱き合う。
 ヘリに運び込まれたルンゲの隣には頭部に重体な傷をおっているヨハンがいた。
 ルンゲはテンマを呼ぶように言う。テンマにあなたを必要としている患者がいると言う救急隊員。
 後ろでは父ちゃんは人殺しではないと叫ぶヴィム少年。あなたは間違っていないとニナ。
 テンマはヨハンの手術をする。

感想:あの荒野の風景は彼らの心には見えていたのよね。
 そしてヘルベルトにはしっかりヨハンの姿が見えていたんだ。でも、ヨハンをただ悪とは思いたくない。
 本当に優しく、人の心に寄り添えるから、あんなにも人の心が分かるんだと…思いたい…。
 でも、彼が非常に恐い人であることは確か…。やはりこの手の悪は虚無に等しい。一番恐いのは虚無か?

「本当の怪物」CHAPTER74 ☆☆☆☆
脚本:浦畑達彦 絵コンテ:小島正幸、いしづかあつこ 演出:大野和寿 作画監督:清水洋

 エヴァ(小山茉美)キッチンのコーディネイターという仕事を始めた。酒は一滴も飲んでいない。
 「けっこうだ。ゆっくりゆっくりいこう。あせっても同じように今日は過ぎ行き、明日は来る」
とDr.ライヒワイン(永井一郎)。
 「幸せっていうのはそんなもんだ…でしょ」「聞き飽きたか」
 「幸せ…か…。彼は、私が駅で待っているだけで、幸せだって言ってた」「マルティンっていう男か」
 「不思議ね、人間て…。悲しみはどんどん薄れていって、楽しかった記憶ばかりが残っていく…。
人間って、都合よく出来てるわよね…」
 「だから生きていけるんだ」

 「紹介します。この人がヴァーデマン弁護士(大林隆介)。
あなたにかけられた嫌疑を晴らしてくれた人です、グリマーさん」
 花束をグリマーの墓に手向けるスーク(菅沼久義)。
 ヴァーデマンはグリマーに関してわかる限りの事を調べ上げたが、彼の本当の名前はわからずに終わった。
 「名前だけじゃない。彼は何も語らずにいった」ルンゲが来た。ルンゲは警察大学校の教授になった。
 彼はこの頃娘とよく電子メールで会話するようになっていた。
 「これまで私達親子は何も語らずに過ごしてきた。お互い、何も知らずに生きてきた」
 持ってきたビールをグリマーの墓の前に置くルンゲ。
 「人間は、一生のうちでどれほどの事を伝える事が出来るのか…。たくさん話したい事があったろうに…。
うまいビールを飲みながら…」

 エヴァはデュッセルドルフに戻ると言う。「そうか…大丈夫かい?あそこは、君にとってはいろいろと…」
 「逃げ出そうとしても無駄だ。大切なのは事実と向き合い前に進む事だ。…でしょ」
 エヴァはライヒワインにテンマの記事を集めたスクラップブックを渡し、適当に処分してと去る。
 Dr.テンマの無実は証明された。彼はミュンスター大学医学部に教授として招請されたが、断った。
 そして国境なき医師団に参加。

 南フランス。テンマはどうやらここの養老院に何度か来ているらしい。ベンチに座っている老婦人(高島雅羅)。  彼女は双子の母親だった。
 「私は彼を愛した。彼はあの男に殺された。…それはあの男の実験だった。私はあの男を、決して許さない。
…私が死んでも、私の中でどんどん大きくなっていく子供達が、必ずあの男に罰を下す…」
 右手を少しあげ、その手を見つめる彼女。
 「手を…手を、離さないで…。手を……。本当の怪物は、誰…?あの子達は、生きているのね…」
 「ええ、元気です…」涙を流す彼女。「思い出したの」「何をですか」
 「二度と思い出さないかもしれない。今、言わなきゃ。あの子達に名前をつけたの。あの子達の名前はね…」

 息せき切って駆けていくニナ。クローネッカー教授(鈴木泰明)の部屋に入る。遅刻だ。
 彼女の卒論はトップだった。ニナにディーター(竹内順子)からの連絡が入る。
 テンマが帰ってくるとの連絡だった。

 バイエルン州立警察病院に来たテンマ。彼はヨハンの病室を訪れる。ヨハンはあれからずっと眠り続けていた。 そんなヨハンにテンマは母親と話してきた事を話す。ヨハンを愛していた事。ヨハンに名前があった事。
 カーテンが風になびく。ヨハンが半身を起き上がらせていた。
 「Dr.テンマ、あなただけに聞いて欲しい事がある。あの時、あの怪物が僕の前に現れた」
 子供達を連れて行こうとする大人達。子供を守ろうとする母親。
 「これは実験だ。どちらかを残して、どちらかを連れて行く。これは実験だ。さあ、どちらを連れて行く」
 「離さないで」(上村祐翔)「離さないで」(塚田真依)「離さないで」「離さないで」「母さん、手を、離さないで」
 「こっち…いえ、こっち!」「母さんは、僕を助けようとしたの。僕と妹を間違えたの。どっち?どっち?」
 気が付いたら、相変わらずヨハンは眠り続けたまま。テンマは病室から出て行く。風に揺れるカーテン。
 ベッドにはヨハンの姿は無かった。

感想:ヨハンが元気になって病室から出たというのと、
ヨハンが亡くなってベッドから運ばれたというのと二つ考えられるね。
 まあ、元気になっても、前のような事は繰り返さないだろう。
 ニナは彼を許したし、母親に会って話す事も出来る。ヨハンがやったという証拠は何一つ無いだろう。

関連サイト
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