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アリーテ姫

「アリーテ姫」2000年 日本 ☆☆☆☆☆
監督・脚本:片渕須直 プロデューサー:田中栄子 作画監督:尾崎和孝 美術監督:西田稔 色彩設定:林亜揮子 原作:ダイアナ・コールス「アリーテ姫の冒険」音楽:千住明 キャラクターデザイン:森川聡子 

最後まで書いています。注意!

 ガラスを吹いている者。ろくろで土をこねている者。布を染めている者。
 『本物の魔法使いのものとは違うけれど、人の手には、確かに魔法のようなものが備わっている』
 「だとしたら、この手にも…」少女(桑島法子)、自分の手を見る。
 少女、針仕事をやらせてくださいと親方に頼む。しかし女の子は徒弟として雇う事は認められていなかった。
 少女、秘密の通路を通って、塔の上の自分の部屋に帰る。
(途中飛び越えなければいけない穴付き。姫は気づかなかったが、後ろをついて来た者が…)
 少女はこの国の姫だった。アリーテ姫お食事。外でラッパの音が。
 沢山の殿方の間からお一方を選ぶため王様が下された宝探しの難題の期限の日だからだ。
 妖精が踊っている水晶、永久に回っている金製の輪、さまざまに変化する液体、歩く宝石箱、金の表紙の本。  今は滅びし魔法使い達の遺産。

 姫、夜になり、又あの抜け道からこっそり部屋を抜け出す。宝を収める部屋に入り、本を開く。
 そこには黄金の鳥のような飛行物体が飛んでいる絵があった。姫、本を部屋に持って行く。
 そして改めて本を見る。火を噴く箒に乗っている人、背景にはダ・ヴィンチのヘリのようなので飛んでいる船。
 バベルの塔。
 『かつて人が手に入れ、今ではもう失なわれてしまった不思議の数々。
その一つ一つの業の素晴らしさにまして、私の心が高まるのは、そうした全てを作り出した、
人と言うものの可能性に、思い当たるから。
それならば、私の中にだってあるかもしれない。
魔法使い達は死に絶えてしまったけど、この城を造ったのは人の手。このテーブルだって誰かが。だったら…』   姫、自分の手を見る。外の窓から侵入者、結婚を申し込んでいる者達の一人ダラボア(竹本英史)だった。
 今日の事では結婚相手を絞りきれず、再試合となったのだ。宝探しのやり直し。驚く姫。
 「それも、姫君のお指図でありましょうに」「ぇえっ!…うん」
 「いかなる困難を何度申し付けられようとも、姫君の心を射止めるもっとも素晴らしい宝を持ち帰るのは、この、
ダラボアと決めているのです」
 『そうして又大臣達は、魔法の宝を手に入れる。この人だって、私と同じ…』遠国での冒険を語るダラボア。
 頭の両側にこうもりの翼のようなものをパタパタとさせ、
顔の正面にはなにやら不気味にのたくる大蛇のようなものが気味悪く動く怪物を倒したそうだ。
 何かに思い当たる姫。(それって、もしかして、象………)そして邪教の寺院で宝を手に入れたそうだ。
 「草しか食べないって…」「えっ」「その鼻の長い、大きな動物。賢くて、家畜にもなる」「それは…」
 「それは、本で…」チェスでダラボアに勝つ姫。
 「窓の外…」と突然言う姫、「姫君の花婿となって、治めたいんでしょう、この国を」「男と生まれたからには」
 「だったら、窓の外…」窓の外を見るダラボア。「そして、想像力をたくましく、思い切り!」夜、家並みが見える。 「それがあなたの相手にしようとしてるもの」「おお、この全てが我が物となるかと思えば…」
 「沢山の屋根の下、沢山の人達。みんな自分の心を持っている。それがこんなに沢山。
もう圧倒されてしまいそう。そうではない?」
 「…そんなものがいかに束になろうと、このダラボア…!」
 「意味があるの!その心の一つ一つ!私だって…。私にだって…。ちっぽけだけど…」「姫君…」
 「そ、その国の人達だって、家畜を殺し、大切に拝んできた宝を、
盗もうとする強盗を取り押さえようとしただけだと…。
みんな少しは自分以外の心の事だって、思い量らなきゃならないのよ」
 ダラボア、去る。別の男が来る。その男、遠いアフリカのバラとか称するものを姫に捧げる。
 姫、そのバラを東の花壇から持ってきた物と看破する。男、去る。魔女(こおろぎさとみ)が来る。
 お子様だった。
(姫もお子様だが、美少女じゃないし。でも、姫の気概はカッコいいぞ。
騎士達にはちょっと気の毒したかもとは思うが…。二人とも大変な思いをしたのよね)
 姫を秘密の通路で追っていたのは彼女だったのだ。彼女は魔法の力の源を盗まれたのだった。
 あれが無いと元に戻れない。魔法の宝が集まると言うので来たのだった。
 その源とは水晶に良く似たものだった。しかしここにはそんな物は無い。
 それがあれば誰にでも魔法が使えるのかと姫が聞くと、そんなに甘いもんでは無いそうだ。
 水晶は遺伝子に人工的に刷り込まれた能力を増幅するための触媒なのだそうだ。
 それが無ければ永遠の命もこれまで、この姿に一つずつ歳を重ね、いずれ老いて死ぬ。魔女去っていく。

 次の日、本物の魔法使いボックス(小山剛志)が現れる。彼の要求は姫を我が妻に。
 しかし塔には姫君はいなかった。姫君は城下を出ようとした所を捕まる。
 「みんな、職人の小さな徒弟ですら、自分が何者か知っている。だのに、私はまっさらなまま。
だから…!、あの門を出て、お姫様なんかじゃない何かになろうと…!
外の世界に待つ挫折でさえ、今の私は味わいたい!」
 彼女の発言を聞き、呪いかと言う人々。私はまだあきらめないと、大臣達の前から去ろうとする姫。
 魔法使い、アリーテ姫を真っ白なたおやかなる姫君に変える。
 姫、心ここにあらずのふぜいで、魔法使いの求婚を受ける。
 魔女、姫に三つの願い事をかなえる指輪をあげて、自分の人生を歩むために出て行く。
 魔法使い、この城を継ぐまではわが城でと、姫をダ・ヴィンチ風ヘリで連れて行く。そこは荒れ果てた城。
 魔法使いは元はカエルだったものを魔法使いが人間に変えたグロベル(沼田祐介)が変化した姿だった。
 ほんものの魔法使いは元から城にいて、水晶玉に計画をプログラムしたのだった。姫は地下室に。
 鍵はカエルに変える。姫、ねずみがいっぱいの汚い地下室を指輪の力で綺麗に変える。
 なぜ魔法使いは姫を連れてきたのか。水晶玉の予言でアリーテ姫が魔法使いの寿命を縮めると出たのだ。
 ボックスは同属がどこかに生き残っていて、救いの手を差し伸ばしてくる事を信じていた。
 遠くの夜空を通り過ぎていく星が、いつか俺を見つけてくれる…。

 夜、沢山の流れ星。魔法使いの仲間達は星空に小さな人口の月を浮かべた。
 それが時を経て、軌道を離れ、分解し、大気圏に降り注いでいるのだ。グロベルが星のかけらを拾ってくる。
 そこには絵が描いてあった。

 姫、魔法の指輪で刺繍道具を出す。

 魔法使い、姫に宝探しをさせる事を思いつく。しかし地下牢の鍵のカエルはどこかへ行ってしまっていた。
 グロベルは鍵カエル探しに奔走する。
 城の下にある村の、魔法使い世話係りアンプル(高山みなみ)がグロベルの代わりに食事を持ってくる。
 彼女は上の窓の鉄の桟を壊そうとするが、壊れない。
 姫が下の扉が開いてるかどうかも試していないと聞いて、アンプル試してみる。残念ながら閉まっていた。
 アンプルは村の話をする。村は長いこと水に不自由していた。
 彼女の婆ちゃんが娘時代の時、魔法使いがやって来た。
 魔法で水を出す代わりに、飯を食わせろと言ってきた。彼女は今に井戸を掘ってやると思っていた。
 昔はこの当たり一面緑だった。
 『話したい。この人と話を。私の、本当の心の声で。私はここにいるのに!私は…ここに…』
 アンプルは長いこと一人ぼっちで耐えなきゃならない時は、お話をこしらえて過ごすと言う。

 姫、刺繍のための糸が無くなり、物語をこしらえようと思う。姫、自分自身の物語を心に描く。
 姫、自分の物語にドラゴンも鼻の曲がった魔女も出ない事に気づく。そして魔女の事を思い出す。
 「おやおや。人生には何か意味があると、まだ信じてるのかい」「当たり前じゃない」
 自分のその言葉を思い出した途端、魔法使いの魔法が解け、元に戻る。
 さっそくドアを開けようとするが開かない。ベッドを壊し、上の方にある窓まで行こうとするが、窓は狭すぎる。

 魔法使いは姫に下す難題を見つける。

 姫は床下に水の音を聞き、床を壊し、水路を行く。しかし水路には柵がしてあった。
 ようやくグロベルが鍵カエルを見つける。姫は元のたおやかな姫君の格好に偽装する。
 魔法使いは姫に北の高い岩山の金色の鷲の目に嵌っているルビーを持って来いと命じる。
 三つの難題全てを解き明かせば自由だと魔法使いは言う。姫外に出る。
 魔法使い、一歩でも逆にたどれば、その頭にいかづちが降る事を姫君の気高き名にかけ、
指輪の魔法に誓えと命じる。
 姫がその通りにすると、姫の上空にいかづちを放つ雲がわく。
 しかし、姫が後戻りしてみても、いかづちは降らなかった。姫は今では気高き姫君では無いからだ。

 水晶で姫の姿を見ようとする魔法使い。アンプルの後姿しか見えなかった。
 水晶を直せない魔法使いに疑問を感じる言葉を発するグロベルを、魔法使いは元のカエルの姿に戻す。
 姫、本を見て、水蛇の小石の事が書いている文を発見する。
 城の噴水の上に置いたあった壷の中にそれはあった。
 姫、それを取り出し、壷に入れ、ヘリに乗せて、荒野に降らそうとする。
 故障していたヘリの金色の回路の途中が途絶えている事に気づき、指輪をそこに当てる。ヘリ、舞い上がる。
 しかし途中でヘリは落ちてしまい、水は城の中に降り注ぐ。

 魔法使い、アンプルを求めて村まで降りる。村人に言われて、水が出ていない事に気づく。
 城の壁を壊そうとしている姫。それに気づく魔法使い。魔法使いは実は大した魔法は使えなかった。
 彼らの大陸は海に沈んだのだ。その時、彼はまだ子供だった。
 彼が出来る事は物を役に立たない物に変えることだけだった。魔法使いは、城を自分の巨大な歩く像に変える。 しかし像は壊れ、そこから水が溢れ出す。その水に飲まれて、魔法使いは水晶を失くしてしまう。
 巨大な湖が出来、荒野は緑に覆われる。

 水晶を一生懸命捜す魔法使いに、もっと別の魔法があると言うアリーテ。
 目を閉じて、思い浮かべる、一番行きたいと願う場所。魔法使いの一番楽しかった場所。海辺。
 アリーテは海を知らなかった。小さい魔法使い、寄せ波を避けて走る。母…。
 「今、遠い浜辺に立っていた?千年もの時を飛び越えて、すごい魔法が詰まってるのよ、人のここには。
そして、それは未来へ向ける事だって…」
 彼が家族と浜辺にいたのは星へ旅立つ船を見送るためだった。

 アリーテ姫、金色の鷲を見に行く。そこには本当に金色の鷲がいた。
 『とうとう見た。本当にまだ生きていた。主も無く、千年も同じ空を飛び続ける金色の鷲。
どんな力によって…、何のために…。おまえを造った人は何を考えて…。人の心は不思議。
理解しつくす事など、とても出来ない。でも、あんなに高く…!』
 アリーテ姫、港まで荷馬車に乗せてもらう。『私は生きよう、この大地に生きる、人の間で』そして船に乗って…。

感想:「SFが読みたい」御推薦のアニメ。
 ヘタな批評家より、私とは相性が良いので、NHKの衛星でやると聞き、楽しみにしていた。
 期待を裏切らない出来。「エウレカセブン」で泣かない私が、こっちでは涙ぐむ。相性なんだろう。
 悲しい話ではない。
 でも、涙が出てくるのは、やはり主人公の気概、想い、自分で考えようとする所、そして遠くを見つめる目が、
私の感性に合うのだろう。
 塔に閉じ込められていた姫君は、遠い、危険もある世界で生きる事を選んだのね。
 魔法の力があるわけでは無い、力が強いわけでもない、普通の人よりは賢いが、あんな小さな姫君が、
世界を選ぶなんて泣けてくる。
 SF好きとしては、裏にSF的な裏づけがあるのも嬉しい。絵も可愛らしく良い。姫には惚れちゃうね。
 それに、誰も死ななくて、良い。アリーテ姫には合っている。あの魔法使いでさえ、死なない。
 永遠には生きないけれど。

関連サイト
児童文学評論
アリーテ姫の杜

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