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ひぐれのお客

「ひぐれのお客」安房直子 安房直子コレクション2「見知らぬ町ふしぎな村」より ☆☆☆☆

最後まで書いています。

 裏通りにボタンや糸や裏地を売っている小さなお店がありました。そこの主人は山中さんと言いました。
 ある冬のはじめのひぐれどき、めずらしいお客が来ました。まっ黒いマントを着た、まっ黒い猫です。
 マントは上等のカシミヤで、このマントにつける赤い裏地が欲しいのです。
 この猫は寒がりで、ことしの冬は特別寒いと聞き、マントをあつらえたのですが、シベリヤ寒気団が来ると聞き、裏地もつけようと決心したのです。
 裏地は絹、そして赤は赤でもストーブの火の色が欲しいんです。赤い裏地は七種類もありました。
 猫は全ての裏地をちょっとなめました。
 そしてなめた所をにおいをかいでみたり、耳をつけてみたり、そっとさすってみたりしました。
 山中さんも同じようにしてみました。ピンクがかった裏地からはスイトピー畑が浮かびました。
 紫がかった赤からはぶどう酒を感じ、マンドリンの音まで聞こえてきます。
 そして猫が選んだ裏地からは、薪の燃える音がしました。山中さんは猫を夕食に誘いました。
 しかし猫は今夜の夕食のカレーは苦手で、ブイヤベースの時は呼んでくださいと言い店を出て行きました。
 店にはまだまだたくさんの裏地があります。
 どの色も今は静かにねむっていますが、取り出して広げてみれば、
みんなそれぞれの歌と香りを持っているように思われました。
 山中さんはなんだかとても楽しくなってきて、ひとりでいつまでも口笛を吹いてました。

感想:色のイメージが広がって素敵。そうやって深く考えると何でも楽しいなあ。

安房直子コレクション 2
安房 直子作 / 北見 葉胡画
偕成社 (2004.4)
通常24時間以内に発送します。

関連サイト
お薦めの本たち・その3

ちっちゃん俳句 「食い扶持や 悪かったなあ コンセプト」
          「沢山に 捕らわれていた メカニック」

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コメント

papiが、宜しからん作家とかをシベリヤすればよかった?


投稿: BlogPetのpapi | 2005.08.23 12:57

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