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フルーツバスケット 15

「フルーツバスケット 15」高屋奈月 ☆☆☆

 草摩由希が初めて慊人に会った時、涙が流れた。優しげな顔の幼い慊人。
 『会いたかった、会いたくなかった。抱きしめたい、逃げだしたい。愛しくて、憎らしい』
 物の怪憑きの者は皆、初めて慊人に会った時、涙を流した。慊人はある日、捩れた。
 ふすまに墨を塗りたくりながら、「この世は、僕の世界は真っ暗だ。
だったら部屋もそれにふさわしい色にしなくちゃダメだよね」
 「由希も由希もまっ暗だ。僕と君はいつも一緒なんだから君もまっ暗じゃなきゃダメだ。
一緒じゃないと不公平だろ?。…違う…。違う、一緒なんかじゃない…っ。僕はいらない存在なんかじゃない…っ」 「僕は選ばれた存在で必要とされる存在で。居るべきだからここに存在(い)る!!
おまえと一緒なんかじゃない!!おまえは僕の玩具(おもちゃ)なんだよ。おまえの母親が僕にくれたんだ。
ははっ、おまえ、捨てられたも同然なんだよ」
 「そろそろ気づけよ、バカ。鼠は嫌われ者なんだよ。誰も、誰もおまえなんか気にかけない。
僕がいなくちゃ、僕がかまってやらなきゃ、おまえが存在(い)る価値なんて無いんだよ!!」
 母は会いに来なかった。他の十二支(なかま)と口をきいた事もなかった。
 兄と言われる人とすら言葉を交わした事がなかった。猫憑きの子が外にいると聞いて、外に出てみた。
 憎しみの言葉をぶつけられた。由希の両親は豪遊三昧。鼠は格が違い、もらえる額や役職が違った。
 小学校で初めて友達が出来たが、鼠になってしまい、友達からその記憶が除かれてしまった。
 歩いていたら誰かの帽子が飛ばされて、目の前に落ちてきた。猫憑きの夾のだった。
 夾は由希から帽子を受け取らなかった。体の具合が悪くなった。
 慊人「死んじゃうの?由希。ねぇ、死ぬの?…つまんないね」
 ゆるゆると、弱っていくのは躯(からだ)か、心か…。両親は旅行中で見舞いに来ず、兄は無関心だった。
 慊人「夾って…猫憑きの夾の母親ってさ、自殺してるんだよ。表向きは事故死になってるけど、自殺だよ。
遺書まがいのモノも残ってたらしいし。
“側にいるのが辛くなった”とか、“せめて、鼠憑きの子で生まれていたら少しは倖(しあわ)せだったろうか”とか。夾(あいつ)は由希を恨んでる。だって、夾(あいつ)、葬式の席で父親に“由希を殺して、俺も死んでやる”って。
そうそう…、牛憑きの潑春も由希の事、嫌(いや)だって、由希(ネズミ)のせいで自分は笑い者だからって。
…由希って本当に嫌われ者なんだね」
 『あの子(夾)のかなしさをぼくは知らない。何も知らない。
ぼくがこの世から本当にいなくなったら、そのかなしさも少しは消えてなくなるんだろうか。
いなくなったら、初めて役に立てるんだろうか。
世界は暗く、嫌われて、必要とされないなら、今、ここにいるぼくに、意味なんて何も無い』
 心のどこかが弾け、由希は夾の帽子をかぶって、目的も無く外に飛び出す。
 そうして辿り着いた場所に透の母親がいた。
 彼女はかわいいボンボンをつけた娘がいなくなったと警察に訴えていた。
 由希はボンボンをつけた子に覚えがあった。戻ってみると、そこにいた。
 由希が母親に知らせに行こうかと思い、歩き出すと、ついて来た。
 『今、あの子の世界はぼくに託されてる。もう迷子にならないよう、必死にぼくを追いかけてくる。
頼ってる、ぼくを。ぼくを、必要としてくれる』
 無事に着き、由希は帽子を透の頭にかぶせる。
 『この世は、光に包まれた世界なんかじゃない。でも、それだけじゃない。暗闇だけじゃない。
それだけじゃないんだ』

 文化祭に向けて、劇の練習。
 配役ミスはぬぐえず、熱く燃える女、木之下南は話をキャストに合わせて変更
(フレキシブルだな、南。将来は敏腕プロデューサーか、売れっ子脚本家か)。
 由希が王子役で無いのが不満な山岸。しかし倉伎真知は由希は王子らしくないと言う。

 文化祭、当日。
 杞紗と一緒に来た燈路、杞紗を潑春に抱き上げられ、
『耐えろ、オレ…っ。ここで怒ったらいつまでたっても男になれないっ。
余裕だ、余裕をみせつけろ…!!』と自分と戦う。
 劇が始まる。かなり改変された無茶苦茶なシンデレラ。みな私情丸出し。
 夾の王子が靴の持ち主を見つける場。
 花島咲演じるシンデレラのセリフ「ずぅっと…そうやって自分を誤魔化しながら生きていくつもり…?
お城の中で、お城の中に閉じ込められて、死ぬまで…」
 「だったらなんだよ。それで誰かに迷惑かけんのかよ。どうなろうが俺の勝…」
 透が「私は、私はそんなの…、そんな…の…」と急に言う。
(劇としてはありえないぐらい現状と重なってるから…)。
 劇終わり、夾の師匠、藉真が現れ、花ちゃん、完璧に猫をかぶって対応する。 夾、恐怖に震える。
 由希、真知がいじめられている所に遭遇。
 真鍋翔が対策を講じている間、由希がへたに出てくのも何なので、ひどくならないように見張る。
 真知は由希を王子じゃないと言った事で責めを受けていた。
 由希の事をどうおもっているのかときかれ「…天然の人。それから心細そうにする人…。
たくさんの人間(ひと)に囲まれてても、“王子”って呼ばれてても、心細そう…」と真知は言う。
 ちょっと赤くなる由希。
 一方夾は、もしかしたらと思いながら、『そんなハズない。そんなコト、思う自分を許さない』と考えるのだった
(最後のセリフ、夾よね透も?)

感想:由希は夾が思うほど恵まれてはいなかったのね。
 DV問題も、身体的な虐待より心理的な虐待の方が後々まで響くそうで…。
 慊人にもゆがむ理由はあるんだが…。人に当たるのは不幸が広がるばかりだから、どうにかしないと。
 由希は真知と結ばれるのか。今の段階ではその想像は早いか。
(花ちゃんは師匠と結ばれるのか…。いえ、師匠は良い男だと私も思います。)

ちっちゃん俳句 「外相を 引っ張っていき 油かな」
          「工場を 確認すなる 蛇口かな」

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コメント

あわを事故死しなかったよ。


投稿: BlogPetのちっちゃん | 2005.08.13 12:05

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