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グロテスク

「グロテスク」桐野夏生 ☆☆☆☆☆

最後まで書いています。

第一章 子供想像図 
 わたしは男の人を見るたびに、この人とわたしが子供を作ったら、いったいどんな子供が生まれてくるのだろう、とつい想像してしまいます。
 私の父はポーランド系スイス人、母は日本人です。
 わたしは東洋系の顔ですが、妹は怪物的な美貌で、日本でも外国でも驚嘆の見られました。
 父も母も美しくはありません。ユリコは売春婦として殺されました。
 そしてわたしの同級生佐藤和恵もユリコを殺した人間に殺されたらしいです。
 和恵は昼間は堅い会社に勤め、夜は売春してたのでした。
 わたしはユリコを嫌いで、子供の時、寒い中、山小屋の外に置き去りにしたこともあります。
 ユリコは近所のジョンソン夫婦の山荘に泊まりました。ジョンソンはジュード・ロウ似のハンサムでした。
 父は事業に失敗し、スイスに母とユリコを連れて帰りました。私は母方の祖父の家に置いてもらいました。

第二章 裸子植物群
 わたしはQ女子高に入りまいした。
 そこは初等部、中等部、高等部、大学と一貫教育で、初等部からの人間は豊か家の子ばかりで、
彼らはサラリーマンの子を仲間に入れませんでした。
 就職するのは恥。彼ら主流に入るにはものすごく綺麗でなければなりません。
 和恵は高等部から入った人間で、美しくなければ入れないチアガール部に入ろうとして、
すったもんだしたあげく、やはりお金がかかるアイススケート部に入りました。
 ミツルは中等部からの人間で、学年トップでした。私はミツルと親しくなりました。
 母が自殺し、ユリコが日本に帰ってくる事になりました。
 父親は弟の会社に勤めていましたが、そこの若いトルコ人をはらませていました。
 わたしはユリコと暮らす事を拒絶しました。和恵が自分の誕生日にわたしを家に誘いました。
 和恵は本当は学年トップのミツルを誘いたかったのですが、彼女はもう帰っていました。
 和恵の父親は威張りくさり、吝嗇家で、わたしに和恵と付き合うなと云いました。
 ユリコはジョンソン夫婦の家に住む事になり、Q女子高にうかりました。現代。
 私はジョンソンと別れたマサミさんからユリコの手記を預かりました。

第三章 生まれついての娼婦-<ユリコの手記>
 私は子供の時からジョンソンと危うい関係だった。しかし私の最初の男は叔父のカールだった。
 日本に帰り、ジョンソンの家で暮らすことになり、マサミの意向でQ学園中等部の帰国女子枠を受験する。
 私の試験の成績は悪かったが、生物の木島に気に入られて、入る。私はチアガール部から誘いを受ける。
 そして木島の息子に出会い、彼は私の売春のマネージャーになる。
 私の学校での商売は姉に密告されて、私は学校を中退する。ジョンソンとの情事もマサミにばれる。
 私は年を取るにつれて醜くなり、街に立って売春するようになる。同じように街に立っていた佐藤和恵に出会う。 私にはジョンソンとの間に息子がいる。息子はジョンソンが育てている。私には息子は要らない。

第四章 愛なき世界
 Q女子高。わたしは和恵から相談されました。ユリコといつも一緒にいる木島高志を好きだと言うのです。
 わたしは彼女の恋情をあおり、彼女は痛々しいくらいお洒落をしました。
 わたしは彼女が痩せたらもっとみっともなくなると思い、少し体重を絞った方が良いと言ってやりました。
 わたしの祖父はミツルの母親とつきあい、それがきっかけでわたしはミツルと絶交する事になりました。
 和恵はわたしのアドバイスどおり、木島にラブレターを書き、
わたしはその手紙が和恵の父親に渡るようにしました。

第五章 私のやった悪いこと-<張(チャン)の上申書>
 私、張哲鐘は四川省の山の中に生まれた。
 私の家は客家で、村の連中に家を建てる事を許されず、洞窟住まいを余儀なくされた。
 妹の美君に縁談が来た。妹は兄弟も見惚れるほど美人だった。
 私も美男な方で、日本ではよく「柏原崇」に似ていると言われた。
 妹は結納金を使って、一緒に広州に行こうと言う。
 列車はその手の人間で一杯で、トイレはいち早くやくざ達に取られ
、トイレを使うには金を払わねばならなかった。
 妹はそのやくざと行ってしまう。私は肉体労働をして働いた。
 ある日、妹が働いているはずのホテルに行くと妹はいず、代わりに私は中の客に呼ばれる。
 その女、露珍はスイートに住んでいて、私はその女の年下の恋人になる。
 ホテルのプールで私は娼婦をしている妹と再会する。露珍の金を取って、妹と逃げる。
 美君は日本に行く途中、船から落ちて水死する。私は平田百合子に出会い、殺してしまった。

第六章 発酵と腐敗
 わたしはチャンが書いた上申書の写しを読み、顔が良いという彼の顔を見るために、公判に行きました。
 ずんぐりとしてはげかかった、丸顔の団子鼻でした。わたしはそこでミツルに出会いました。
 彼女はある宗教団体に入信して幹部に上り詰め、その宗教団体がテロを起こし、服役しているはずでした。
 夫はおそらく極刑。
 ミツルの母親はわたしの祖父がボケたとわかったら、祖父を捨て、
その悔いの為にその宗教団体に入ったのでした。
 ミツルは木島先生と文通していて、その手紙をわたしに渡しました。
 わたしは手紙を返すために次の公判に行きました。そこで木島高志と出会いました。
 太った木島は美少年を連れていました。ユリコの息子の百合雄でした。
 ジョンソンはアメリカに帰りましたが、百合雄は日本に残ることにしたのでした。
 百合雄は生まれつき目が見えませんでした。
 百合雄はパソコンを欲しがり、わたしは買ってあげると言い、百合雄はわたしのところに来ました。
 ミツルが家にやってきて木島先生と結婚する事にしたと言いました。
 そして木島高志の元に届いたという和恵の日記を残していきました。

第七章 肉体地蔵-<和恵の日記>
 あたしは昼は年収一千万で最大手の建築会社で働きながら、夜は娼婦をしていた。
 一番の売れっ子が盗みをしていたと嘘のチクリをした事がばれ、あたしはホテトルを止めさせられ、
地蔵前に立った。
 そこにいた右のお乳がないマルボロ婆さんはあたしにその場所をゆずった。
 ユリコに出会い、あたしのいない間はこの場所を彼女に貸す事にする。チャンに出会う。売春する。
 ある日チャンがユリコの鎖をつけていた。殺してと言ったから殺したとチャン。
 妹も殺してと言ったので殺したそうだ。
 彼と一緒に暮らしていたドラゴンによるとチャンはジジイと兄貴、妹の婚約者を殺して、妹に娼婦をやらせ、
ヤクザと麻薬の取引をやっていたそうだ。
 アタシはチャンに3千円で春を売る。

最終章 彼方の滝音
 わたしは永遠の処女。祖父が死に、パソコンを買ってやらないわたしに百合雄が街に立ったら言う。
 円山町の地蔵前に二人で立つが、百合雄だけが売れていく。わたしの初めての客が現れる。

感想:このミス上位だから読んだんだけど、ホントはあまり読みたくはなかった。
 上位を読むと決めている私が悪いんだが…。
 アニメの感想を読むと鬱展開がイヤとか書いている方がいるけれど、これがホントの鬱話し。
 山岸涼子さんの短編に似てるけど、あそこまで突き放してはいないかな。皆、かなり醜いが…。
 やっぱわたしが一番醜いかな。
 まあ、確かに綺麗過ぎる妹を持つのはきついが、妹もそのせいで母に受け入れられず、結構きついのよね。
 やたらと騒がれるし…。でも醜くなっても結構さばさばしてる妹。ずっと顔にこだわる姉。
 ミツルもQ校でのいじめによって、人生が歪み、和恵となると悲惨極まりない。
 拒食症の醜いやせすぎの体、濃すぎる化粧、精神的に明らかにおかしい。
 わたしは百合雄を崇拝しているが、百合雄も結構あなどれない性格。
 彼は木島といた方が良かったんじゃないか、木島はホモだけど。木島の方がお金持ちだ。
 わたしもチャンもすごく嘘つき。しかし文章力があり、読ませます。
 女の書くきつい話は、本当にきつくて、がっくりきます。
 Q女子校のような学校、作者が取材したら、本当にあったとか…。
 ちょっと間違えたエリート意識ってホントにあるらしいし、信じられんが、エリート階級もそれなりに醜いな。
他の方の感想を読んで:やっぱこれ、良い作品。 他の方の感想が面白いから。
 いや何の感想も無くたって、面白い本は面白い本なんだが。
 総合職として一流企業で働きながら、売春しちゃうって、わからないでもない。
 頑張ったって駄目なものは駄目なんだけど、その理不尽さにがっくり来るだろう。
 売春って人とふかー~く関わる職業だしね。強迫観念は怖いな。
 最近一番の能力ってめげない能力なんじゃないかと思う。
 ユリコはセックスが好きと言ってるが、彼女だって両親からちゃんとした愛情がもらえず、
幼い頃から男達のその手の視線を感じて、歪んじゃったんだろう。
 彼女が一番悪意が少ない感じ。

関連サイト
On Off and Beyond
Straight Shooter
三太・ケンチク・日記
夜明けの曳航

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コメント

はじめまして。メロのお友達申請を頂き、ありがとうございました。
「グロテスク」の記事を見つけたので、過去記事からトラバさせて頂きました。お時間のあるときにでも、お読みくださると幸いです。
「ユリコが一番悪意が少ない」に同意です。
悪意、嘘が渦巻いているので、読み終わった後は少しくらくらしてしまいました。

投稿: つな | 2005.08.31 18:23

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