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サウンドトラック

「サウンドトラック」古川日出男 ☆☆☆☆☆

最後まで書いています、注意!

 六歳の少年の目の前で父親は海にさらわれた。少年は一人クルーザーを操る。
 少年があらゆるボタンを押し、スピーカーが音楽を流す。しかしクルーザーは浜辺に乗り上げ音楽は死んだ。

 四歳半の少女は母親に抱かれて客船から嵐の海に落下した。
 母親は急速に沈んでいったが少女は波に抗わず、海面に浮き、高波で空に飛んで、救命ボートの上に落ちた。 そのボートは別の自殺志願者が下ろしたボートだった。
 その自殺志願者はボートに飛び乗ろうとして海に落ちて死んだが…。
 その男の遺書が発見され客船は大騒ぎになったが、
少女と母親がいなくなっている事には誰も気づかなかった。
 少女も又少年が流された島に流された。

 少年はトウタ。「十歌」と書いたが少年は漢字は知らなかった。少女はヒツジコ。
 本当は「羊子」と書いてヨウコと読んだが、母親はメエメエうるさいと少女をヒツジコとしか呼ばなかった。

 二人は無人島でサバイバルした。ある日地震が来た。
 ヒツジコは地震に翻弄された時の感覚に何かを感じ、それを再現しようと舞うようになる。
 一九九七年、ヤギの駆除のためにやってきた都庁の職員が二人を見つける。
 二人は兄弟とみなされ、西舘という姓名を与えられる。父島の吉嵜夫婦に預けられる。
 ヒツジコが十二歳の時、彼女は小学校の担任の先生の佐戸川俊一とうずめ夫婦に引き取られ、
東京に連れて行かれる。

 レニは俗称レバノンで生まれた。行政上の地名は新宿区小川町。祖国は湾岸アラブだ。
 レニの大叔父は鷹匠だった。彼女は他の鴉に襲われていた鴉を助け、その鴉を馴れさせる。
 クロイという名をつけた。あるひクロイの巣が壊される。それは傾斜にすんでいる者達の仕業だった。

 十八歳のトウタは東京に行く。東京、人工的な熱帯の島。彼はそこでリリリカルドと出会う。
 不法移民のための医者だった。トウタは彼に住居を紹介される。元結婚式場の廃ビル。
 そこにはピアスと呼ばれる女が住んでいた。不法居住者第一号で屋上に住んでいる。
 多くの者に慕われ、多くの者が彼女のために動いた。

 ヒツジコは踊りを進化させていた。ヒツジコは踊りでクラスを崩壊させた。強迫観念を解放した。
 やがて彼女の周りに少女達が集まってくる。まず中山優高、ユーコ。遅刻ガール。
 時間をずらして通勤しろという社会に自ら時間をずらして通学する事を決めた少女。
 成績は極めて優秀で学校は彼女を処分できなかった。そして湊冬子。フユリン。かつらガール。
 何のストレスもないはずなのに、髪の毛が抜けてかつらにした少女。
 かつらが男子達にばれ、地獄の学校生活になり、東京に引っ越してきた。
 今は髪が生えてきてかつらではない。三番目は堀バビロニア。カナ。純血の日本人でお嬢様である。
 彼女は自分をもてあそんだ女教師をぶっ飛ばした事から、ボクシングを始めていた。
 三人はヒツジコの踊りの影響を受けない。三人はヒツジコから踊りを習った。

 ある日リリリカルドの仇と勘違いし、トウタはヤクザを殺してしまう。結婚式場から逃げる。

 ヒツジコの周りにはさらに少女達が集まってくる。

 レニはクロイを生かすために、鴉のための映像を作る。クロイがそれに魅せられるから。
 そして傾斜人達の世界が地下にある事を知る。彼らは自分達をコロポックルと言っていた。

 ヒツジコ達は踊りを一体の大人達、ニシオギ人に見せる。

 トウタは神楽坂の角、共同租界と化した地域に暮らした。多文化混淆の多人種街。そこでレニと出会った。
 トウタはレニの鴉用のサウンドレスの映像に魅せられ、レニを守ると決める。

 東京に熱帯病が蔓延する。レニは傾斜人と戦う。トウタはレニを助ける。病を恐れて東京人は疎開する。
 レニから逃げて傾斜人は東京の地下に穴を掘って行く。そして東京のあっちこっちが落盤する。
 少女達は独立を宣言する。トウタはヒツジコと再開する。

感想:「SFが読みたい!2004年版」で6位なんだけど、文章力は断然こっちの方が上。
 文章で世界が立ち上がっていく。
 だから思い出すのは村上龍さんの「コインロッカー・ベイビーズ」の方(村上龍はこれしか読んでいない…)。
 SF的要素より、文章に飲み込まれる感の方が強い。
 少女が出てくるからきょうごくさんの「ルー=ガルー」も思い出すけれど、こっちはもっと猥雑で暑苦しい世界。
 カラス大活躍でカラスを偏愛する私は嬉しい。未来の東京ってやっぱ多国籍のイメージなのかな。

関連サイト
読書日録ヒツジコにもモデルがいるんですね。

ちっちゃん俳句「全員を わかってるわよ 包みなり」


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コメント

ないはずなのに古川日出男著集英社とか感覚と、リリリカルドなどを居住しなかったの?


投稿: BlogPetの「papi」 | 2005.07.26 10:46

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