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左眼に気をつけろ 他

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 
原作:士郎正宗 シリーズ構成・監督:神山健治 ストーリーコンセプト:押井守 キャラクターデザイン:後藤隆幸、西尾鉄也 オリジナルキャラクターデザイン:下村一 メカニカルデザイン:寺岡賢司、常木志伸 音楽:菅野よう子 制作:Production I.G 美術監督:竹田悠介

「顔 MAKE UP」第13話 ☆☆☆
協力:士郎正宗 脚本:大松裕 神山健治 作画監督:新野量太 絵コンテ:布施木一喜 演出:川崎逸朗 

 電波塔の屋上。ずらりと並ぶ男達12人。
 「聞け!名も無き者達よ。我等個別の11人。個が個のままに集い、世界を刷新していく者だ。
もはやこの国はシステムとしての寿命を終えようとしている。
難民による自爆テロ、政治不信、諸外国からの軋轢。この国を取り巻く情勢を、集合体となりし個が救うのだ。
目覚めろ!名も無き者達よ。そして、システムの一部たれ!」
 ヘリコプターから映像を撮っている者達、男達の不穏な様子に気づく。
 彼らはお互いに対峙し自らの剣を鞘から出す。「我々の意思を継げ!」
 彼らはお互いの頭を切り落とすが、クゼヒデオ(小山力也)は「待て」と相手に呼びかける。
 しかし相手は「問答無用!」と斬りかかって来、クゼは相手を倒し逃げる。その映像を見ている9課の面々。
 個別の11人は捏造されたもので、それ自体がウィルスであり、
ウィルス感染した者は最終的に自決するようプログラムされていた。
 すでに難民は自爆という手段で行動を起こしている。
 今度の自決報道でどれだけの模倣者が現れるかわからないが、一般市民も難民問題に気づいた。
 9課は内調に的を絞り動く事になった。その為にはクゼを捕まえる必要がある。
 なぜクゼだけが自決しなかったのかとバトー(大塚明夫)。それは本人の電脳を解析しなければわからない事。 鑑識は同一ウィルスに感染しておきながら、全く違う行動を起こす者を突発性異変体と呼ぶことにしたそうだ。
 クゼはしゃべる時に口を動かさない。
 これは表情筋のネットを形成するマイクロマシンをほとんど使用していないという事だった。
 それでいてずいぶんと良い顔をしている。
 表情筋を排してなお、これだけ人間らしい顔をしていられるのは、おそらく腕の良い造顔作家に作らせたから。
 彼の顔は超一流の造顔作家が作ったもの。
 鑑識(関口英司)の読みでは作者は大企業に囲われていない芸術家。国内には二人しか存在しない。
 トグサ(山寺宏一)とバトーは造顔作家のもとに向かう。向かった先の造顔作家は殺されていた。
 県警の刑事達ともみ合っている最中にパズ(小野塚貴志)が来る。その顔を見て驚く刑事(小村哲生)。
 それは防犯カメラに映っていた犯人の顔だった。指紋も唇紋もパズと一致した。
 偽造は出来るが、DNAデータを知らなければ出来ない事だ。

 バーにいるパズ。壁に飾られた番(つがい)のデスマスクを見上げる。ママの新しい趣味だそうだ。
 そこに刑事が現れ、犯人はパズと関係があるに違いないから張り付かせてもらう、
その挨拶だと言って店を出て行く。
 ママ(沢海陽子)がパズの隣に座る。
 「初めてね、男の連れがいるなんて。たいてい一人か、いつも必ず違う女性」「知らない男さ」「そう」
 「趣味が変わったか」「あれのこと?最近、素敵な造顔作家の先生と知り合ったの」「造顔作家?」
 「その人にあたしの新しい顔を作ってもらうことにしたんだけど、彼が作る顔を試着していて、
ある事に気づいたの。
それは、ゴーストって脳殻の中じゃなくて皮膚、特にその顔に刻まれた皴に宿るんじゃないかって。
その造顔作家の先生は、戦場で負傷した兵士の為に新しい顔を作っていたらしいんだけど、ある時、
顔の傷の深さがその兵士の心の傷の深さと同じなんだって、気付いたそうよ」

 居酒屋を出た刑事、パズと同じ顔をした男に出会う。その男は銃を構え、刑事逃げ出す。

 イシカワ、クゼヒデオのデータを見つける。身長178、髪、白、瞳、茶、B型。全身義体化。PKF仕様。
 顔にはほとんど神経ネットを定着させていず、造顔作家の腕だけで表情や皺を表現した物。当然ワンオフ。
 素材は自己再生プログラミングを組み込んだナノカーボンと人工生体皮膚のハイブリッド。
 殺された造顔作家は好んで退役軍人の顔ばかりを作成していたらしいから、
そんな噂を聞きつけ作ってもらったんだろう。
 軍人時代の記録は消されているので、イシカワ(仲野裕)が半島に飛んで調べる事になる。
 イシカワは半島で顔が利くそうだ。バトーから連絡が入る。パズと会ったばかりの県警の刑事が殺された。
 落ちていた薬莢から使用弾薬はセブロM5の専用弾だと分る。明らかにパズを嵌めようとしている。
 パズ、殺された造顔作家の顧客データを新しい方から見せてもらう。
 カワシマカオリという人物に心当たりがあるらしい。
 パズ、至極個人的な事なので俺一人でこの事件を追わせてくれと草薙素子(田中敦子)に頼む。許す少佐。
 パズはバトーの外部記憶にこれから向かう場所のアドレスを入れ、もし俺が戻らなかったら、
そこを探してくれと頼む。

 バスローブ姿のバーのママ。クローゼットに男の義体が入っている。その背に体を預け、愛しそうにさするママ。 義体をクローゼットから出し、裸になって体を重ねる。

 朝、ロングコートにスカーフ(?)で顔を深く包んだ人間が脳殻を捨てていく。

 水上バスに乗るパズを見張っているタチコマ(玉川紗己子)に乗ったバトー。(光が美しい。背景が素晴らしい)  廃墟の街を歩くパズ。(立方体があっちこっちに突き出した建物。どっかに実際にあったな…)
 女の声で「遅いわ。やっぱりあたしの事なんか忘れていたのね。たった五年前よ。ここで暮らしてたの」
 タチコマの映像で見張っているバトー。「いつからその女の義体をのっとった」
 「三ヶ月位前かしら。あそこで偶然あなたの姿を見つけて。全然気づかなかったでしょ」「その女の脳殻は?」
 「さあ。今頃は夢の島かしら」「俺の指紋もあそこで取ったんだな」「そう」「何故、俺になろうとする」
 「あたしは…あなたがあたしの前から消えた理由が全くわからなかった。
別の女が出来た訳でもない、あたしが嫌いになった訳でもない。
あなたについて何も聞くなって言われてたからその通りにした。なのに、あなたは消えてしまった。
あたしと初めて会った時に言った言葉、覚えてる?“俺は同じ女と二度寝ることは無い”
初めは何?って思ったけど、二度目の時にはもうはまってた。それはあなたも同じだったはず。ひどい男。 
あたしは気が狂いそうなほどあなたを憎んだ。なのに、あなたが消えた理由についても考えつづけた」
 「それで顔を?」「そう」「何か分ったか」
 「あたしへの、愛の、深さ…。あなたとあたしとでは、まるで別の世界を見ていたのね。
あなたはそれをあたしに見せない為に、姿を消した」
 「買いかぶるな」
 「いえ。あなたはそういう人。でももういいの。あたしはあたしの中にあなたのゴーストを手にいれたから。
だからもう、本当のあなたはいらない」
 女が顔のスカーフ(?)を取り、コートを脱ぐとパズそのままの姿が現れる。驚くバトー。
 「まだ愛があるなら、ここで…死んでっ」ナイフを取り出す女。「ああいいよ。お前に殺されるなら、本望だ」
 口にくわえていた煙草を捨てる男。本望だと言って置きながら、女の攻撃をかわすパズ。
 胸に浅い傷を受け、自らも同型のナイフを取り出し、応戦し、走り去る。追う女。光学迷彩を解くタチコマ。
 そこから出るバトー。バトーもタチコマも二人を追う。戦う二人。追うバトーとタチコマ。
 バトーとタチコマが開けた所に出ると、一人が立っていて、一人が右目をナイフに突き刺され死んでいた。
 「やったのか」とバトー。振り向いたのは胸に浅い傷を受けた男。
 しかし倒れている方にも胸に同様の傷があった。

 バトー「詳細は報告した通りだ」素子「パズらしい話だな」
 「まあな。それにしても、もっと早く気づきそうなもんだろ」
 「どうかしら。彼を殺したいって思ってる女性、結構多いかもよ」「ホントかよ」
 「確かめた事無いけど。
私が最初にスカウトしに行った時も、“俺は同じ女と二度寝ない主義だ” とか言ってたし」
 「ハア?まいったね」「それにしてもそのパズ、本物なんでしょうね」「多分な」

感想:ハァ~!、“俺は同じ女と二度寝ない主義だ”と言ったんですか、少佐に…。怖いもの知らず…。
 まあ、危ない仕事をしてるからかもしれませんが、罪な男だ。
関連サイト
師匠の不定期日記画像があります。

「左眼に気をつけろ POKER FACE」第14話 ☆☆☆☆
協力:士郎正宗 脚本:櫻井圭記、神山健治 作画監督:西尾鉄也 絵コンテ・演出:吉原正行

 日本風の大きな建物。周りには池も配置され、寺や神社を思わせる。
 ライトアップされ、頭上にはヘリも飛んでいる。ズラリと並んでいる警察の車。
 パトカーに先導され走ってくる公用車っぽい車列。茅葺総理に付き添う荒巻とスーツ姿の素子。
 外ではバトーが見張っている。安保再締結のため米帝のシュレイダー国務長官がやってきたのだ。
 建物の前にあるビル。その駐車場に止まっている車にはタチコマ達が。

 車の中。ポーカーをしている9課の面々。
 タチコマ「ねえねえ、何で今更安全保障を結ばなきゃならないの? 日本にも軍隊は在る訳でしょ?」
 別のタチコマ「現政府は超タカ派政権だけど、米帝が経済的に疲弊している今こそ、
自分達が主導権を握った状態で安保を締結したいんだよ。
前世紀の屈辱を晴らしたいって事かな」
 「前世紀の屈辱って?」
 「まあ簡単に言っちゃえば敗戦の記憶って事だね。
それに憲法第九条っていう不確定な装置が今でも稼動しているから、自衛軍は公に外に出て行けないし、
核兵器も所有できない。
前世紀の安保は、屈辱の上での合意だったとはいえ、
アメリカが矛で日本が盾っていう暗黙の不可分がうまく機能していた訳。
でもここにきて、経済問題という新たな敵が見えてきた事で、
お互いの弱点を補い合いましょうって事での合意なんだよ、きっと」
 「ふーん。君って大人なんだなあ。今のデータ並列化させてよ」「別に良いけど」
(個性化だ、個性化。並列化しても、やっぱり個性化していくんだろう。タチコマに大人や子供があるのか)
 ポーカーに夢中でタチコマにうるさいと言うミニミ(志村知幸)と黙ってろと言うアズマ(尾形雅宏)。
 「何だよ、アズマ君まで。新入りのくせに生意気なんじゃないの?」
 「ポーカーなんて所詮確率のゲームなのに、どうしてサイトーさんばっかり勝ってるの?」
 「僕もさっきからそれがすっごく気になってるんだ。
特に今やってるルールだと、全員のカードを記憶しておいて、
最初と最後のカードから相手の手を予測すれば良いわけだから、
必ずしもサイトーさんばっかりが勝つとは限らないんだけど、何故か最後はサイトーさんがチップを取っていくんだ」 ミニミ「はったりが上手いだけだ。もうじきその仮面をひっぺがしてやる」
 アズマ「そういう事。それをポーカーフェイスって言うんだ。覚えとけ」
 サイトー(大川透)「お前らには無理だな。
俺がやってきた命の駆け引きに比べたら、ポーカーなんてガキの遊びだ」
 ミニミ「言ってくれるじゃねえか。
あんたが一流のスナイパーだってことは認めるが、それとポーカーを比べられても説得力はないな」
 「俺は一度、腹の底から震えが来るような相手と一対一のスナイピングを経験した事がある。
あの時ほど相手との心理戦を怖いと思った事はない。
その勝負を経験して以来、たいていの奴の思っている事は一目見れば予測できるようになった」
 「信じられねえなそんな話」
 タチコマ「ちなみにそれはどんな相手だったの?」「聞きたいのか?」「「聞きたい聞きたい!」
 …「全員レイズなら話してやってもいい」…ミニミ「別にあんたの話を聞きたいわけじゃない。誤解するなよ」
 「あれは2020年の夏、ユーラシアが不毛な消耗戦に明け暮れ、
奇妙な政治バランスの狭間で外罰的鎖国状況を享受しつづけている日本に嫌気がさしていた俺が、
メキシコ暫定政権に味方する義勇軍、赤いビアンコに傭兵として参加していた時の話だ。
そしてあの時はまだ、俺の左目は無事にそこに収まっていた。中東の石油に南米の麻薬。
利権が発生する所には常に争いがつきまとう。
先の核大戦で分裂し、くたびれきっていた米帝は、
新大陸の麻薬市場を壊滅させる事で無駄な国家予算の流出を抑える事を本気で考え始めていた。
メキシコの涜職政権を打倒するという名目で国連を焚き付けた米帝は、英日で編成された国連軍を南米に派兵。まずは迅速な首都攻略を理由に絨毯爆撃を敢行し、
その後抵抗するゲリラを一掃すべくモントレーに機械化師団を送り込むとう荒業に出ていた。
爆撃後、国連軍の機甲部隊により味方が全滅した俺は、潮時とばかりに投降する機会を窺っていた。
そんな時だ。敵の通信を傍受していた端末が、戦術核を持った特殊部隊との接触を告げてきた。
それまで大した戦果を挙げていなかった俺は、スリルという土産と引き換えに、
給料分の仕事をしてやろうと考えた。
戦術核なんてとんでもない代物を持ち込もうって不届き者に、神の目線からの恐怖を与えてやるのだと、
本気で考えていたわけだ」

 爆撃でメチャクチャに壊された街。雨が降ってくる。特殊部隊には草薙素子とイシカワとバトーもいた。
 5時、時計台の鐘が鳴り始める。サイトー、戦術核を持った男、マザー伍長(松尾まつお)を狙撃する。
 イシカワに命じて敵の居場所を突き止めさせる素子。「衛星は使ってない。半径1km以内に攻撃ジャマー」
 「ジャマーの発信源から相手の位置を割り出せるか」「やってるよ」バトー「手際が良いな。あんたら古いのか」  「無駄口きいてる暇があったら索敵しろ。新入りが」
 ロッド軍曹(たぶん 藤原啓治)、ジンジャー(杉山大)にマザー伍長を助けに行かせ、自分達は援護するが、
ジンジャー撃たれる。
 敵は西側の建物にいると西側をいっせいに攻撃する特殊部隊。
 サイトーは遠隔操作で東側から20ミリを撃ち、車を爆発させる。敵の居場所が分らず混乱する部隊。
 素子「待て! 撃つのをやめろ!やめるんだ!」皆撃つのを止める。「ジンジャーはどっから撃たれた?」
 スノー(竹田雅則)「西だ」
 ロッド「何を言ってる!今車が吹き飛んだのを見たろう!敵は東だ。いや、囲まれた可能性が高い!」
 素子「イシカワ、ジャミングの出所(でどころ)は」
 「おおよそだが三ヶ所。一つは東の建物、後の二つは教会と病院だろう」「東は囮だと思うか」
 「多分な。20ミリが来る前、ジャミングが一瞬途絶えてる。それに太陽を背にするのは基本だろ」
 「軍曹!東は囮で多分無人だ。囲まれていたらもっと撃たれてる。
もしかしたら相手は狙撃手一人かもしれない」
 「なぜそんな事が言える!」「状況がそう教えている! 提案がある」素子,上着を脱ぎ始める。
 「今から私が東の建物を廻ってそっちに行く。建物が無人とわかったら合図する。
そうしたら一斉に教会と病院に向けて撃ちまくれ。その隙に伍長と戦術核を回収しろ。
あれが無ければ前進も後退も出来ない」
 「よし。スノーと二人で行け」

 東の建物を確認する素子。もちろん無人だ。

 雨が上がる。
 素子「やはり無人だった。御丁寧に弾は一発。食えない相手だ。でも敵はおそらく一人だ。数で追い込む」
 軍曹「ようし、スナイパーは教会だ。一気に落とすぞ」
 「いや病院かもしれない。
ジャミングを一度切っている事から、発信機が確認できない廃墟は除外しても、病院の線は捨てきれない」
 「あそこから直線距離にして何mあると思う!教会だ!」
 「なぜそう言い切れる。あえてGPSを使えなくしてまでスナイピングで挑んでくる奴だ。
コリオリの法則まで熟知した手練だったら全員殺されるぞ!」
 言い合う二人を見てバトー「めんどくせえ。どっちでもいいだろうが!」
 イシカワ「あわてるな。戦場じゃ勇猛さより慎重さが生き延びる秘訣だ。あのメスゴリラをよく見とけ。
本当のプロってのはああいう奴のことを言うんだ」
 「メスゴリラ?」

 索敵するサイトー。ピクルスを狙撃する。素子、素早く敵を見つけ、イシカワに援護させ、戦術核を回収する。
 狙撃兵と戦う事にする部隊。サイトーも決戦の時が近づいていた事を悟った。

 現代のサイトー「戦場での殺し合いは誰が誰を殺したかわからん。だがその中で一つだけ例外がある。
それはスナイパーだ。狙撃にはその行為自体に始めから名詞が付いちまってる。
だからスナイパーだけは捕虜になれない。
自分達の仲間や指揮官を殺したかたきとして、必ずその場で殺される運命だ」

 軍曹を狙撃するサイトー。無反動砲を建物に撃ち込むイシカワ。
 スモーク弾を撃ちこみ、素子とスノーが突入する。
 サイトー、素子を狙うが、彼女は素早く、狙撃する事が出来ない。スノーを狙撃するサイトー。
 バトー、弾切れになる。イシカワ「もういい。少佐に任せるんだ。後はあいつが何とかする」
 「少佐だ? 何なんだよ、メスゴリラだの…。あいつは何モンだ?」
 「さあなあ。ただあいつは戦闘の天才だって事だ。そして俺達は彼女の事を少佐と呼ぶ」

 一人階段を駆け上る素子。上から水が流れ落ちていて、彼女の顔にかかる。
 壁に体をくっつけ、少しづつ先に進む素子。開いた戸口状の所に鏡を伸ばして中を見る。誰も見えない。
 柱の裏にいるサイトー。
 銃からケーブルを引っ張り、首に繋ぐ素子、素早く飛び出して、撃ち、サイトーの足元のパソコンを壊す。
 サイトーと素子、銃を構え対峙する。一瞬、又柱の後ろに戻るサイトー。

 「俺は少佐と対峙したそのわずか1秒足らずの間にこの撃ち合いの結末を想像し、戦慄した。
それは、俺のスナイパーとしての経験が、あらゆる状況を想定した上ではじき出した結論だった。俺はやられる。ライフルを腰だめに構え、まばたきすらしないその身のこなしから、
彼女が全身義体のサイボーグだとすぐに理解した。
そしてその手にあるライフルはフルセンシングのセミオート。
当然、射撃制御ソフトは長中短距離をフルインストール。
試しに俺は、イメージの中で一発、少佐に向けて発射した。
少佐に初弾を打ち落とされ、ボルトアクションの俺は柱に身を隠す間に二発目をくらう。
それは、何度シミュレーションしても同じだった」
 タチコマ「でもでも、そのままでは…!」
 「ああ。このままではいずれやられる。俺はこの状況から、どうすれば逆転できるかを、必死で考えた。
そして、あるものに気づいた。それは最初に少佐が撃った、ジャミング装置だった。
少佐はなぜ初めに三発も使ってこいつを壊したのか?
まてよ、もしかして奴は、中距離射撃の制御ソフトはインストールしていない?いや、そうにちがいない。
奴はスナイパーのポジションにありながら、フルセンシングのライフルをショートバレルにしていた。
それは中距離時、サブマシンガンの代用とする事を前提にしている為だ。
なら、俺とここでスナイピングするためには、制御ソフトがいる!
奴は今制御ソフトを、衛星からダウンロードしている最中か!間に合え!」
 サイトーが撃つ。素子も撃ってくる。
 二つの弾丸は交差し、サイトーの弾丸は素子の頬をかすめ、素子の弾丸はサイトーの左目をかすめる。
 走ってくる素子、サイトーが取り出した銃を叩き落し、腕を取り、ナイフで左目を切りつける。
 「貴様、いい腕をしているな。今から私の部下になれ」「あんた、初めっから…」
(怖い女…。でも私が言われたら何か嬉しい)

 「そう、俺は初めから少佐のポーカーフェイスにはめられていたんだ。
そして、俺に断る権利は残されていなかった。それは、少佐からの最初の命令だったからだ」
 シーンとする車内。サイトーがラストカードを要求する。
 ミニミ「面白い話だったが、このゲームとは関係ない。有り金全部レイズだ」「じゃあ俺も全部だ」
 「強がるな!今度ばっかりはハッタリでどうにかなる勝負じゃねえ。
お前の狙いはスペードのロイヤルフラッシュだろ。だがお前はブタさ。
何故ならスペードのエースは俺に来ているからさ」
 手持ちの札をその場にさらすミニミ。エースのフォーカード。
 「お前に勝ち目はねえ。それに今の話も嘘だろ。
面白い話だったが、たしか昔の映画に似たような話があったっけなあ」「ああ、その通り。全部作り話だよ」
 タチコマ「えっ、そうなの?」サイトー、立ち上がり、たぶん狙撃銃を入れてるケース(?)を持つ。
 「今日はこの辺で勘弁してやる。アズマ、精算しとけよ」
 ミニミ「へっ、恥ずかしくなったか。おい新人、立て替えとけよ」「ちぇっ、わがままな先輩だぜ」
 タチコマ「サイトーさん、ホントにブタだったのかな?」カードを見る。
 「おおっ!!みんな見て見て!サイトーさん最後にスペードの9でストレートフラッシュが出来てるよ!」驚く皆。  「ってことは、さっきの話も、ホントかも…。かも…」

感想:二人が対峙するシーンが美しい。いや、素子の顔が水に濡れるシーンから美しい。弾丸が美しい。
 またたかない素子の顔が印象的。
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 07
関連サイト
野良犬の塒クゼヒデオって九世英雄なのね。
攻殻機動隊PKI-B-Wikiセリフが網羅されています。

今回から支障のない程度にブログペットのちっちゃんの俳句を残していこうかと思います。
「振り回し 監督したら 神話かな」


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