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伝承と記憶の狭間で

「伝承と記憶の狭間で」絶対少年 第8話 ☆☆☆☆
監督・絵コンテ:望月智充 シリーズ構成・脚本:伊藤和典 オリジナルキャラクターデザイン:戸部淑 造形デザイン:佐藤眞人 キャラクターデザイン・総作画監督:関根昌之 美術監督:針生勝文 音楽:七瀬光 演出・作画監督:今泉賢一

 何で頭屋の森と言うのか父親の稀代秋之(浜田賢二)にきく逢沢歩(豊永利行)。
 庄屋は行政担当で頭屋はお祭りの主催者、世話人、鎮守や祭祀、宗教担当だそうだ。
 普通、頭屋の役目は持ちまわりだが、ここでは庄屋と頭屋が兼任でしかも頭屋の役目の方がメインだった。
(お父様、博識)

 お地蔵様の屋根の上で寝るおかか婆。ホースで水を撒き散らし、虹を作っている藤堂麻子(水野理紗)。
 「麻子さん、猫踊りと頭屋の森って関係ある?」「とうとつだな」「ごめん」「謝る事でもないけど。関係かぁ」
 「無い?」「猫踊りそのものは昭和の終わり頃に始まったお祭りで、その頃頭屋の森にはもう人がいなかったし」 「もっと古いお祭りかと思ってた」「はっきり言って村おこしだもんねえ」透明な何かが飛んでいく。
 かすかに感じる歩。

 「阪倉モータース」で車を直していた阪倉亮介(斎藤泰央)、歩が通りかかるのを見て呼び止める。
 チューブ型氷菓子を歩にやる亮介。「行ってるんだろ、啼沢川の上の方」「あんたに関係ないじゃん」
 「ある!あるさ。おまえ、あそこどう思う?」「どうって?」「河童いると思うか?正直に言えよ!」
 「河童って深い淵とかに住んでいるイメージあるけど、…あそこってそうじゃないよね。無理」「何が」
 「あそこに河童の居場所は無い」
 「じゃあ逢沢は何であそこに通ってんだ!…分かってんだ、俺だって。あそこで河童は無理があると思うって。
だけどよぉ、見ちまった俺ぁどうすりゃいい。逢沢もなんか見たんだろう」
 ……「あの…」
 「いい!言わなくていい。それ正解。俺みんなにしゃべってバカみたから。親にも友達にもみんなに笑われた。
…笑わなかったのは深山だけだ。あっ、美紀の方なあ」
 「うん」
 「こんだけ時間が経つと、どこまでが実際見た事で、
どっからが俺の妄想なのか自分でもわかんなくなる事がある。
けど、俺をコケにした奴らの顔は絶対忘れねえ。
俺はオカカ婆が河童と戦ってるのを見たし、あいつの耳は今も間違いなく欠けてる」
 「あっ、それでオカカ婆」
 「猫とか犬って人間には見えないものを見えてるって言うだろ。
俺ら、なんかのはずみでそういもん見ちまったのかもなあ」
 亮介はもう食べちゃったが(それとも吸っちゃたが)、歩は全然食べず、溶けていく氷
(この手の駄菓子系、お嫌いかな歩は。女は食べるが、男はなぜか食べないな)。
 「食わねえの?」「いる?」亮介に氷菓子をやる歩。「でもさあ、ライバルって言ってなかった、オカカ婆」
 「その方が話、簡単だろう」「昔…」「うん?」「あそこ…」「どこ?」
 「頭屋の森に入ろうとしてた僕を止めたのはどうして?」「その手の話ならあいつが詳しい」
 飛び去っていく透明な何か。

 ペンをくるくるさせながら勉強している鏑木拓馬(加瀬康之)。
 携帯が鳴り、開くと、「潮音だよ^_^今日も暑いね(太陽の絵)勉強はかどってる?」と書かれてる。
 外に歩がいるのに気づく拓馬。「面白いとこに部屋があるんだね」(門みたいに口がある建物だもんなあ)
 「使用人の部屋さ。昔はそこに家畜を置く家もあった。ちょっとしたレジスタンスかな。
旧家の総領息子っていうのがいやだから」
 「ふーん」「で、頭屋の森の事だって?」「うん」
 「昭和40年頃、田んぼの整備をするためにあちこち掘り返した事があったらしい。
その時に大型の土木機械でもなかなか片付かないような杉の巨木がごろごろ出てきたそうだ」
 「えーっと、それってー」
 「話には順序ってものがあるだろ。
…まあ、そんな事もあって、この当たり一体は、谷間の森林だった所が湖になり、
富士山の火山灰とか溶岩で埋められて、今の地形になった。
 ただし頭屋の森だけは湖だった時代にも島としてあそこにあった。
元々あそこは盆地のへそみたいな所なわけで特別な場所だったんだ」
 「それだけじゃ、どう特別なのかわかんないけど」
 「実は俺も良くわかってないけど。湖の真ん中に木の茂る島がポツンとあったら、なんか特別な感じしないか?」 「うん…不思議な感じはするかな」
 「大きな神社の境内に入った時みたいな感じ。“なぜかは知らねど 有難き心地して”みたいな」
(何かの引用か?)
 「ああ、うん」
 「今は廃屋になってるあの家はモリヤって名前だった。守るに谷で守谷。
あそこの家は代々この谷を、盆地を守ってきたわけさ」
 「でもそれは…」「うん?」「外敵から守るって意味じゃないよね」「おっ。どうして、そう思う?」
 「それだけだったら、あそこは守谷の森でいいわけじゃん。あえて頭屋の理由が説明できない」
 「君、面白いな。…たぶんだけど、特別な場所にある、さらに特別な何かを守ってたのかもしれない。
それを守る事が儀式化して祭りとなって、守谷は頭屋になったとか」
 「それって何?」「なんだろな。…ところで、君…」「うん?」「深山美紀の事、どう思ってる?」「どうって…。別に」 「そう。そんなら良いけど。結局の所、君は夏休みが終ればここからいなくなるわけだし」「何だよ、それ」
 「逢沢君の居場所はここじゃないだろ」拓馬の足元を見ると、何かの影が動いている。

 自動販売機に商品を入れている美紀(三橋加奈子)、歩に気づく。「うんとー、美玖なら今、いないけど」
 「いや、違う」「ええっ」「ごめん、なんでもない」「待って。逢沢君、ちょっと待ってて」
 一旦店に入って又出てくる美紀「待っててね」又入る。
(ライバル出現でやっと男としての自覚を持ったか、歩。普通はもっと早く反応するんだが…)
 歩が自動販売機の前まで歩くと、自動販売機の明かりが急にバッと光る。

 猫踊りは始まって20年ぐらい。ずっと昔から猫ヶ辻は猫ヶ辻で、猫は昔から踊ってた。
 天保年間、守谷の使用人、某が使いを終えての帰り道、
猫ヶ辻(その頃はそんな名前じゃない)の当たりに差し掛かると、どこからか人の声がする。
 声は数人。「ああ、来た、来た。遅いじゃないか、シロ」「シロがいないと踊りが始まらないよ」
 「まあ、まあ。トラもブチもタマも、もうシロは来たんだから、いいじゃないか」
 声はするのに、あたりには背の低い藪があるばかりで、人の姿は見当たらない。某は声の方へ近づいた。
 「さあ、シロ、笛を吹いてくれ」「おお、そうさ、踊ろうぞ、踊ろうぞ」
 「主のたわむれで熱いおじやを食わされた。舌の先を火傷してしまって、今夜は笛が吹けないよ」猫だった。
 シロは守谷の家の猫だった。主はそれを聞き、猫を追い出す役を某に押し付けた。
 「この家でお前を飼ってるのは笛を吹いたり、踊りを踊ったりさせるためじゃないのだよ。
もしお前がそんな事をやっているのなら、この家に置くわけにはいかない。どこかよそへ行っておくれ」
(背景に井戸が…)
 猫はいなくなった。透明な何かが歩と美紀の間をすり抜けて行く。

 啼沢川の上流にいる須河原晶(松本美和)。そこに歩が来る。例の写真を歩に見せる須河原。
 猫の瞳に映っている何か。「君も海野さんもこれを見たんだと私は思ってる」
 「思うのは勝手だけど、勝手な思い込みであれこれ言われるのは迷惑」
 「おっ、それほど自己中じゃないつもりだけどな」「そう。じゃあ、そういう事で良いんじゃない」
(うわっ、鉄壁の歩)
 「君も…出口を捜しているんだよね。だって…世界は…開いていると思いたいから。妖精の輪って知ってる?
イギリスかなあ、草地に丸く円を描いたように地面が露出しちゃう事があって、
向こうの人達はそれを妖精が踊りを踊った跡だって考えてた。
長い間、ずっとね。
だけど最近の研究で菌類、まあキノコの仲間かな、それのせいで草地が丸くはげるって事がわかったわけだ」
 「妖精はいないと」
 「そう、そこ!そうなるのかねえ。妖精の輪は妖精が通った跡じゃない、それは立証されたかもしれない。
でもその事で妖精の存在まで否定されちゃうのかと」
 「それは違う気がする」
 「よし!須河原が言いたいのもそこ。目に見えるものだけが世界の全てじゃない。
世界はけして閉じてるわけじゃない。
私らが感知出来ないだけで、色んなレイアーで繋がり、複雑に絡み合ってる。私はそう思いたいんだな」
 「それって現実逃避じゃなくて」
 「痛いとこ突くなあ。でも逃避じゃなくて把握の仕方だよ。あの山の向こうには見知らぬ町がある。
海の向こうには見知らぬ世界がある。そう思えばこそ、人って頑張ってこれたんじゃないの。
この盆地が世界の全てですっつったら、私は萎える」
 須河原の後ろにわっくんがいる。指を立てて唇に当てるわっくん(竹内順子)。
 振り向いても何も見えない須河原。「何?」「別に」うんと言う感じで嬉しそうにうなづくわっくん。
 その前を通り過ぎる透明な何か。

 オカカ婆に餌をやる麻子。しおれた感じでバスに乗っている海野潮音(清水愛)、自転車に乗ってる歩に気づく。 バスから降りて、歩をとおせんぼする潮音。一緒に歩いていく。歩に「キスした事ある?」ときく潮音。「えっ」
 「ないんだ。したい?」歩の近くに立つ潮音。
 歩が視線を落とすと、潮音の胸(AかBかな。よくわからん)が目に入り、慌てて顔を横にそらす。
 「したかったら、してもいいよ」とささやく潮音。後ろに2,3歩下がる歩。「居場所がない感じはわかる気がする。 僕もよそ者だから。
 でも居場所が欲しくて鏑木君の彼女になろうとしてるんだったら、それは違うと思うし、鏑木君の気を引きたくて、そんな事言うなら、それはもっと間違ってる気がする」
 こぶしを握り締める潮音。「ごめん」去って行く歩。「あやまるな、バカ」
 飛び去っていく透明な何か。(歩は頭が良いんだろう。もうちょい周りに心が開けると良いな)

 鼻唄を唄い、バックを振り回しながら歩いている美玖(斎藤千和)、
頭屋の森の門の前に歩の自転車があるのを見て、「ありゃあ」と言う。
 門内の歩、井戸の前を過ぎ、わらじをぶらさげている綱が木と木の間に張られてるのを見る。
 向こうには鳥居がある。小さい時それを見たのを思い出す(ウッー、メッ!との声も思い出す)。
 わらじを見ながら歩く歩、いきなり腕を掴まれ「行くな!」と言われる。その時、
小さなポンチョの歩の腕を捕らえ「そっち行ったら、ダメだし」と言うわっくん(昔ふうのぼろい服の)を思い出す。
 美玖だった。「そっち行くと、帰れなくなるから。落ち着け」「帰れなくなる。あの時もそう言われた」
 「あたしん時も同じだった」青い何か現れる。牛小屋で眠るオカカ婆。

感想:亮介もそれなりに複雑なのね。
 どなたかが書いてらしたけど、変なものが見えることより、言っても信じてもらえない方がきついのね。
 やっぱ定型から微妙にずらしたキャラ作りはすごいと思う。
 大体こんななかなか動いてくれない人間を主人公にするのがチャレンジングよね。歩を動かすのは難しいなあ。 拓馬に言われなければ美紀を異性とは意識しないのか。ため息出ちゃう。
 潮音もきついね。乗り越えられると良いね。
あっちこっちのブログを見ての感想(正確な所は下のリンクで飛んで読んでね)
 拓馬、嫌われすぎ!
 それなりに人と穏やかに付き合いたい人ならあんな風にあいまいに邪険にしないってあると思うよ。
 まあ、確かに散歩に自分から誘ったりしたが…。(ああ、フォローにならない)
 それに今はあえて邪険にしてるじゃん。
 美紀好きなんだから、予防線張るのは普通でしょ、て言うか、そうする人多いと思う、私には出来んが…。
 それに確かに歩は今の所、帰る人間だし…。
 後、
拓馬が伝承に詳しいのはやはり旧家の総領息子という自覚とこの場所を愛しているみたいな事を書いてらしっやる方がいて、
そこまで私は思いおよびませんでした。
 このアニメの風景ってモデルにわりと忠実なんですね。「絶対少年を求めて」ツアーが出来るんだ。
 「猫踊り」もあるんだ。そっくりな昔話もあるんだ。地蔵は道祖神なのね。
 オカカ婆の最後のアデ姿はおかまバーにかけてるのね。気づいた人すごい。頭柔らかい。
 後、わっくんは向こう側にいっちゃた少年かと書いている方がいて、ああ、そうかもと思いました。
 それから日常=ケの描写をたっぷりし、そして猫踊り=ハレの描写になると書いている方がいらして、
ハッとしました。
 後、私と同じ疑問、亮介はわっくんの事をきいてなかたっけと書いてらっしゃる方がいらして、
私なりの好意的解釈。
 亮介はオカカ婆と河童の事しか頭になく、わっくんの事はスルーした、又は河童とオカカ婆以外は興味が無い。
 草履は鼻緒だけで、わらじは紐付きだそうです。これはブログではなく、近場の知識人情報。
 で、どっちだったけ?
絶対少年 1
関連サイト
070-アーステイル-呼び出し中(民俗学的感想)
Angel comes over from east(絶対少年舞台探訪)
BLOG@NO/ON(拓馬の田菜への愛着)
せーこののんべんだらり(歩のするどさ)
或はお望みのもの(オカマバー)
俺に撃たせろ(昔話の元ネタ紹介)
猫の踊り場(昔話元ネタ)
師匠の不定期日記(画像あり)
敷村ほむら の けだもの日記(昔話の元ネタ紹介ブログの紹介と、おかまバーの紹介ブログの紹介と、田菜探訪ブログの紹介をしてました)
眠レル蛙亭日記(わっくんはあっちに行った子説)

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