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追跡「第三の男」

「追跡“第三の男”SHADOWING THE THIRD MAN」 ☆☆☆☆☆
国際共同製作 シルヴァーアップルズ メディア・ヨーロッパ NHK

 アメリカのプロデューサー、セルズニックは引っ切り無しに歩きまわり、ひと時の休みも無く煙草を吸い続け、
一本吸い終わりそうになると次の煙草を取り出して火をつけ、ズボンは灰だらけといったありさま。
 秘書は午前、午後、夜と三交代制になっていて、よく夜中の2時までオフィスにいたものだった。
 当時はまだ危険性がよく知られていず、アンフェタミンのような覚せい剤が平気で使われてい、週に6日、
休み無く働き続けるため、セルズニックはそういった薬に頼っていた。
 睡眠時間は一日に1時間からせいぜい3時間。そして日曜になると27時間から28時間も眠り続けた。
 しかし薬で興奮した体はそう簡単には眠ってくれないので、通常の2、3倍の睡眠薬を飲んだ。

 イギリスのプロデューサー、コルダは重要な時以外は口をはさまず、はさむ時は必ず筋が通った事を言った。
 コルダが何年もの間イギリスの諜報機関のために働いていた事は公然の秘密だった。
 自分の撮影所や他の人のスタジオを諜報活動の隠れ蓑にしていた。

 オーストリア映画の重鎮カール・ハートルのパーティーで出会ったのがアントン・カラス。
 当時の助監督ガイ・ハミルトン「部屋の隅に見慣れない楽器を弾く男がいたんです。
 キャロルはその演奏にすっかりひきつけられ、前の床にしゃがみこんで聞き入っていました」
 リードはホテルの寝室を録音スタジオ代わりに使いアントン・カラスの様々な演奏を録音していった。

 オーソン・ウェルズの出番になりスタッフがパリに迎えにいくと彼は飛行機でローマに行き、
ローマに行くと彼はパリに行った。
 ウェルズは電話交換手を買収し居留守を装った。スタッフも交換手を買収し彼に電話を繋いでもらった。
 彼のいたずらにはモッタイをつけて出演料を引き上げる狙いもあった。
 ウェルズはホテルの部屋から出て来ようとしなかったので、スタッフがホテルに手品師を連れて行った。
 ウェルズは大の手品好きだったのだ。 もし彼がホテルから出てきたらいくつか手品を見せてあげると約束した。
 それでようやく出てきた。ウェルズはどこに行っても「市民ケーン」として扱われた。

 少し斜めになったアングルは監督のアイデアだった。そして石畳の上に水を撒くと水がキラキラ光る事に気付いた。 水がひいていくと光の効果だけが残る。低い所から見るほど良く光っって見える。毎日消防車が来て水を撒いた。
 夜の撮影、昼の撮影、下水道の撮影、三つ全部を監督自らやると言って、アンフェタミンの力を借りてやった。
 監督は猫がのどをゴロゴロ鳴らしながらハリーを見上げるシーンを欲しがった。靴紐の上に魚のすり身を置いた。
 猫はすり身がきらいなようだった。そこでズボンの中に糸を通して靴紐と結ぶんだ。
 糸をひくと靴紐が動くようにした。猫はやっと興味を持ってくれた。
 ウェルズの不在で時間が空いた事で一つの素晴らしいアイデアが生み出された。ライトが作り出す巨大な影。
 キャロルは誰かがライトの近くを通る度に巨大な影が出来ることに気が付いた。

 1934年2月12日、オーストリアの社会主義者達がファシストに支配された政府に反旗を翻したが、
わずか4日で敗北。
 下水道を使って逃亡。その逃亡を助けた人物の中に後にグリーンと接触する人物がいた。
 ピーター・スモレットとキム・フィルビー。スモレットの元もとの名はシュモルカ。酒場の名に使われている。
 フィルビーの本当の名はハリー・フィルビー。後に彼はKGBの二重スパイである事がわかった。
 大観覧車はソビエトが管理する地区にあった。戦争で壊れたが戦後すぐに再建された。
 「イタリアでは30年間(ボルジア家の?)圧制と流血が続いたがその中からルネサンスが生まれた。
 だが500年に及ぶスイスの平和は何を生んだ?鳩時計だ」
 このセリフはウェルズが考えたもの。
 ウェルズは体が汚れない芝居しかやろうとしなかったので、下水道を逃げるシーンはほとんど代役がやった。
 ハリーを追いかける警官は本物。濡れた地下道を素早く動き回るのは想像以上に大変だった。
 ウェルズのシーンを撮影するためロンドン郊外のスタジオに下水道のセットを作った。
 寒いウィーンでロケされた部分は息が白くなっている。
 ハリーがマンホールの網(?)から出している手はキャロル・リードのもの。
 グレアム・グリーンは最後に主人公がアンナと結ばれる事を暗示して終わらせようと思ったが、
キャロル・リードが反対した。
第三の男THE THIRD MAN
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