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The Scripture

「憑依都市 The Haunted The Scripture 聖典」SF Japan 2004年 冬期号より ☆☆☆☆
山田正紀 牧野修 津原泰水 森奈津子 瀬名秀明 吉川良太郎

ネタばれ!最後まで書いています。

「高橋真理男 使徒言行録」
 「稀薄化ー空虚化現象」の原因は何なのか。
 空虚後4年に完成された量子コンピューターによって地獄(イオ・ミヒ)の存在が実証され、
擬似的に「明在系・意識ーホロムーヴメントと暗在系ー内臓秩序とを接続(アクセス)することが可能になった。
 量子コンピューターによって明在系と暗在系とを接続された人間が観測する世界はマヤ・ラインと呼ばれることになる。
 マヤ・ラインーすなわちmayaは、ギリシア語で「幻想」を意味する。

「温室の兄妹 源・福音書」
 ぼくは双子の妹と共に児童養護施設で育った。ぼくが八歳の時、熱心に温室の手入れをしていた園長が亡くなる。 ほとんどほっておかれた温室をぼくは世話した。

「漁師王 外伝」
 量死世界(マヤ・ライン)の岩礁(ロック)に現実世界(シン・ライン)の波(ウェイブ)が繰り返しおしよせているが、
岩角の一片すら削ることができずにいる。
 ティンカーよ、おまえはたんなる比喩と言うのか。そうであれば、おまえはおれに勝利することはできない。
 銃刀法登録サイボーグほど危険な存在はないが、この量死世界では何の力も無い。
 スケアクロウのヘッド・ドロシーへの報告書が聞こえてくる。

「スケアクロウ使徒言行録」
 ユダヤ人街はティフォージュ城の七階から上にある。そこでは壁画を丁寧に保存し、記録している。

「アダムの異言 共観福音書」
 空虚点。日本語を母国語とする人間たちは稀薄者(ペール)となった。
 それをわたしが計画に参加したACE,量子コンピューターが救う。

「漁師王 外典」
 おれのように一度は量子コンピューターに接続され、正気を保っている人間は漁師(フィッシャーマン)と呼ばれる。 量死世界に侵入した現実世界が量子的に記述される。
 斐坂(いさか)という男が夏の暑さの中を歩いているのを感じる。

「Q市風説 共観福音書
 」おれはQ市にフィールドワークに来ている。都市伝説の分布と猟奇犯罪発生率の相関関係を調べに。

「漁師王 外典」
 斐坂の姿は遠のき、ティフォージュ城が見えてきて、スケアクロウの言葉が…。

「スケアクロウ使徒言行録」
 Q市にある政府の稀薄化現象研究施設タカマハラは、五年前に起こった事故によって変容した。
 凡庸なビルディングが一夜にして古城に変貌したのだ、この現象は城化現象(シャトリザシオン)と呼ばれている。 城はジル・ド・レ公の城ティフォージュ城だ。ジル・ド・レ公の憑依者がビルを城に変貌させたのだ。

「Artaverseー適合宇宙 共観福音書」
 お兄様が亡くなってから三年になる。教えて。お兄様は私を欲しい?

「漁師王 外典」
 この量死世界はおれのものだ。
 そのおれの世界に耳障りにもドロシーの歌う「Over The Rainbow」が聞こえてくる。
 スケアクロウ、ティンカー、レオン、そしてヘッドの名はドロシー。
 これらのコード・ネームを持つエージェント達が外組織(アウトプット)を嗅ぎまわっているから歌が聞こえてくるのだ。 おれの名はOZ。暗殺者の中の暗殺者。
 ある日組織(タカマハラ)の上位組織(アマテラス)のサブ・マネージャーが訪ねてきた。
 おれたちは下部組織(ツクヨミ)のエージェント。

「アダムの異言 共観福音書」
 我々はイオ・ミヒの完全理解のため、人間のペール化を阻止するため、言語を逸脱した言語の創造を試みた。
 人工的に作った脳腫瘍を移植された人間が作り出す新しい言語<アダムの異言>。
 それはイオ・ミヒにかかわる力を持っていた。

「漁師王 外典」
 空虚点(グラウンド・ゼロ)以降、稀薄者(ペール)すなわち若い世代の引きこもりが増加し、
顕在者(ペル・ソナ)すなわち理由なき兇悪暴力事件が増加した。
 この事に対処するために「タカマハラ」という研究機関が設立された。
 空虚後四年、完成した量子コンピューターが地獄(イオ・ミヒ)の存在を立証し、そこから想念(ルーラ)が出てきて、空虚者(エンプティ)に憑依し、怪物化した。
 「タカマハラボ」で空虚者(エンプティ)への憑依現象を観測していたら、被験者にジル・ド・レが憑依し、
「タカマハラボ」はティフォージュ城になり果てた。
 ジル・ドレの被・憑依者の名はサイトという。
 「ツクヨミ」の仕事は量死世界に潜行し想念(ルーラ)を丹念に潰していく事である。
 ペールにルーラが憑依したペル・ソナを斃すのもおれたちの仕事だ。
 そして「タカマハラ」と利害が反する組織と争うのも…。
 サブ・マネージャーの女はジャンヌ・ダルクを追ってほしいと言う。
 ジル・ド・レを追っていたイギリス情報部のエージェント達がジャンヌ・ダルクと称する少女に全滅させられた。
 だからジャンヌ・ダルクを追えばジル・ド・レに出くわすのではないかと。

「Artaverse-適合宇宙 共観福音書」
 私はSSSに編入した。美優は私がBdg.10(ビルディング・テン)に入った事を喜んでいる。
 美優は一生あの町で暮らすのだろうが、私は違う。

「漁師王 外典」
 「聖典」すなわち「Artaverse-適合宇宙 共観福音書」「アダムの異言」「Q市風説 共観福音書」。
 その原典に当たる「温室の兄妹 源・福音書」。
 聖典を調べようとすると必ずジャンヌ・ダルクが現れるという噂がある。
 そして「温室の兄妹 福音書」を追っているどこかの組織のエージェントがドロシーという女をヘッドにしたスケアクロウ、レオン、ティンカー達。
 ドロシー・チームと相関関係にあるおれ、OZに原典を探せとご宣託(プロファイリング)されたのだ。

「スケアクロウ使徒言行録」
 わたしは五年前のペル・ソナ事件で脳に物理的に損傷を負い、
<チューニング>という薬物と外科手術による脳補強技術のモルモットになって以来、
言語以外で思考する事が出来ない。
 自分の行動も逐一文章化して記憶する。15時にティンカーと待ち合わせ。

「Artaverse-適合宇宙 共観福音書」
 私は選ばれた人間だ。ウロボロスの技術を使えばお兄様を再生することもできるだろう。

「漁師王 外典」
 現実世界のティフォージュ城にあって、おれは三人のエージェントを斃さなければならない。

「Artaverseー適合宇宙 共観福音書」
 SSSの高等部に編入したときから、Bdg.1(ビルディング・ワン)初代総長の高橋真理男の話は聞いていた。
 彼がQ市内の病院にいることを知り、私はボランティアとして彼に会いに行く。
 高橋は「地獄が、地獄が」と譫言(うわごと)を呟いていた。

■壁男が、ハッ、地獄か、と嘲るように言う。

「アダムの異言 共感福音書」
 それは一言で言えば地獄ですよと高橋は言う。

「Artaverseー適合宇宙 共観福音書」
 高橋はひどく汚かった。よだれを垂らし、食べたものを私の服の上に吐く。
 先週は車椅子で移動中に急に暴れ出した。頭がおかしくなっていても尿意だけは周りの人に伝えたいらしい。
 高橋は言葉をつむぎ続ける。「……違う、私は正気だ、私にもう一度《ACE》を…!」

■壁男が凄まじい早口で話し始める。

「アダムの異言 共感福音書」
 サイトは脳腫瘍移植者の一人になるはずだった。サイトはSSSの生徒ではない。
 ペールの一人だ。サイトは椿という名の少年と仲が良かった。ある日、椿は白髪の男性と一緒にいた。
 そして二人は消え去ってしまった。今、わたしの下半身は石壁に封じ込められている。
 高橋は足首から下が床に埋め込まれていた。

■気が付くと、壁男=スケアクロウの姿は消え失せていて、次なる福音書が始まっていて…

「Artaverse-適合宇宙 共観福音書」
 私はレポートを完成させると偽ってBdg.10のB3Fに入った。そこでシスター・シャルロットに声をかけられる。
 彼女に連れられてB13Fに行く。そこには圧倒的な数のカプセルがあり、すべて全裸の老人が収まっていた。

■ティンカーは死んだ。次に狙うべきはレオンだろう。波動関数が変わる。波が…波、ぼくは妹の名を呼んだ。
 ぼくはビルから身を投げた。
 あとには、抜け殻と化した肉体だけが残って…屍体を見た…初めてこの都市に滞在した昨夏、
路地でまっ白な屍体を見た。
 …死ぬ…選ばれた人間は…死なない…もちろん、私たちは選ばれた人間だ。
 靫蔓のためにビニールハウスを用意しなければならない。お兄様が縮まないように。
 縮まないで…縮んで…崩壊して…崩壊ではなしに変容して…二年前にタカマハラは事故によって変容した。
 原因は不明だ。だが、いつしかそのことを無条件に受け入れざるをえなくなる。

「スケアクロウ使徒言行録」
 ド・ゴールの憑依者だと自称する男が話しかけてくる。

「漁師王 外典」
 おれのなかでは量死世界に散開している「ザ・スクリプチャー」が現実世界と相似のものとして意識されている。

「Q市風説 共観福音書」
 潮と呼ばれる女は崩れた。

「漁師王 外典」
 おれは量死世界で拾った「Artaverseー適合宇宙 共観福音書」の最後の一節を斐坂に渡した。

「Artaverse-適合宇宙 共観福音書」
 お兄様、今日一晩だけ、このページを開いておくから、見たら返事を下さい。しるしを、ここに。

「スケアクロウ使徒言行録」
 ティンカーが殺された分、わたしが働かなければならない。ジャン=ジャック・ヨハネスという男に会う。
 助手の少女はジャンヌ。クリスマス、図書館でジル・ド・レ公について調べる。そしてわたしはレオンに撃たれた。

■「夕方、海の反対方向から風がふいてきたとき、風上にお城が見えたら、息をとめたまま風がやむのを待つか、
赤いものを見つけてつかまないと、三日以内に死ぬ」
 …死ぬ…屍体を見た…路地でまっ白な屍体を見た。…斐坂が…おれが…死んでいるのを見た。
 この都市には吸血鬼がいる。あのサブ・マネージャーの女の名は波。おれはジル・ド・レに捕まる。

「温室の兄妹 源・福音書」
 ぼくの靫蔓は、波の靫蔓に含まれた。波、波。

感想

 「シュレーディンガーの猫」と聞くと拒否反応を起こしたくなるほど量子物理学はさっぱりわからない。
 もちろんこの話もさっぱりわからないのだが、雰囲気が良かったので…。
 内容をちゃんと把握してないので、あらすじもめちゃくちゃに…。

 いつもながらいたずらに長い記事。まあ、このブログは私の娯楽だから、読む人の事は基本的に考えていない。
 誰が読むんだ、こんなの!

 この話は山田正紀さん以外の五人が書いた断章を、山田正紀さんがシャッフルして編集したものだそうだ。
 憑依都市という一つの世界を舞台にした話を複数の作家が書くという企画。

憑依都市の事が書いてます。
eーNOVELS

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