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漢王朝

「漢王朝」ナショナル・ジオグラフィック 2004年 2月号より ☆☆☆
文:マイク・エドワーズ

 鍬を作る鍛冶職人がどの農村にもいる光景は、鉄技術が進んだ漢代の特徴だった。
 漢王朝は400年以上続いた中国史上でも長く続いた王朝だった。
 漢の技術は様々な分野でローマ帝国をしのいでいた。
 物資の運搬には手押し車や滑車を活用し、穀物や鉱石の粉砕には水力で動くハンマーを使った。
 炉に空気を送り込むふいごも使われた。そして紀元105年、蔡倫が和帝に紙の製法を伝えた。
 年長者を敬うという中国の伝統も厳しく実践されていた。
 竹簡を研究しているカナダ・モントリオールのマギル大学の研究者ロビン・イェーツによると、
祖父や祖母を叩いた嫁は、市場に放り出されると書いてあるんだそうだ。
 つまり殺されて切り刻まれるという意味だとか。

 劉邦は儒学者達を嫌っていた。
 あるとき高名な儒学者の謁見を受けた劉邦は儒学者がかぶっていた帽子を取り上げ、小便をかけたそうだ。
 項羽が劉邦の父親を捕らえ、「降伏しろ。さもなくば父親を生きたまま煮殺す。」と最後通告を突きつけたら、
劉邦は「煮殺すつもりなら、その煮汁を分けて欲しい。」と切り替えしたそうだ(父親は殺されずにすむ)。

 武帝の時代には「どの家も暮らしに困ることはなかった」と司馬遷は記している。
 その武帝が苦戦したのが北西部の匈奴。
 漢の歴代の皇帝は兵だけではなく大量の農民を辺境の地に送り込んだ。
 今、中国政府は数万人の漢人を新疆ウイグル自治区に移住させている。

 かさむ戦費に国の財政は苦しくなり、貧者を食い物にして蓄財に明け暮れる者が横行するようになった。
 狭い土地に縛られて農民はひたすらに搾取され、コネに恵まれた地主はますます土地を増やしていく。
 武帝の最初の正妻に世継ぎが生まれず、皇后の座を追われようとしたとき、娘が呪術でそれを阻止しようとした。  呪術を使う事は重大犯罪なので、関係者数百人が処刑された。
 そして紀元9年外戚(皇后の親族)の王莽が「新」王朝を打ち立てる。 
 王莽は劉家の土地を解体し、農民に分け与えようとしたが、改革はうまくいかず、
新王朝は農民達によって倒される。
 黄河の氾濫によって土地をなくした農民達が飢えた暴徒となって略奪を働き、やがて反乱は全土へと発展する。
 反乱の徒は目印に赤く眉を染め「赤眉(せきび)の乱」と呼ばれた。紀元23年、彼らは王莽の首をはねる。
 そして高祖劉邦の子孫である劉秀が即位を宣言。洛陽を都に定める。
 洛陽は50万人の人口がひしめく世界有数の大都市に発展。
 宮廷生活は華やかだったが、農民達の生活は悪化していった。
 借金がかさんで奴隷になる者もいたが、多くの場合は小作農になった。
 仕事にあぶれた人間が地方に増えていった。
 洛陽の罪人墓地跡で発見された墓石に刻まれているカオ・フーもそんな一人。
 カオはフ・フェイという人物の身代わりで、5年の刑期のうちに死亡した。
 裕福な者が有罪になると、別の人間が雇われて牢屋に入る事があったのだ。
 洛陽から数キロの場所に「白馬寺」がある。
 紀元67年ごろ、二人の高僧がシルクロードを通って、洛陽に入り、この地に仏教をもたらしたのだ。
 二人は白馬に乗り、仏像と仏典を持ってきた。

 132年、張衡が地動儀を発明する。
 それは幅が2メートルもあり、青銅製の壺のような形をしていて、上部には竜の頭が8個付いていて、
それぞれの下に青銅のカエルが構えている。
 この壺は地震のわずかな揺れも感知し、竜からこぼれた玉をカエルの口が受け止める。
 いわば地震計の先駆けだ。さらにこの壺の仕掛けで、玉を落とした竜がどれかを見れば、振動の方角も分かる。
 この頃にはあらゆる面が混乱していた。
 洛陽では、儒教の学問所で学ぶ大勢の人間が、政治の腐敗に対して抗議を始める。
 これは中国史上初の学生デモである。農民の反乱は各地で起こり、184年には都にまで危機が迫った。
 6年後有力者の董卓が幼い劉協を即位させる。軍人同士の争いは激しくなり、220年、劉協は退位する。

 他の人から聞いた項羽と劉邦の話のおかげで私の劉邦のイメージはすこぶる良かった。 
 寛容精神でどんどん味方を増やしたというイメージだったのだ。
 しかしまず劉邦の死んだ後だが、正妻のすさまじい悪行を知り、びっくり。
 そして毎日新聞で連載していた宮城谷昌光さんの「香乱記〈上巻〉」でまたまたイメージ悪化。
 そしてこれである。もちろんすごい所もあるからトップについたんだと思うけれど、敬意に値しない人物のような。
 人間、多面的なのは当たり前だが。
人物 中国五千年(3)漢王朝の光彩

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