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模倣犯

「模倣犯」宮部みゆき ☆☆☆☆☆
模倣犯〈上〉

 この物語にネタがあるとすれば、メチャクチャネタばれしてると思います。注意!!

 犬の散歩をしていた塚田真一君。女の子が公園のゴミ箱に向かってしきりに吠え猛る自分の犬に往生していた。ゴミ箱にあった袋には人間の右腕が入っていた。

 有馬義男の孫娘は行方不明になっていた。
ゴミ箱で見つかった腕が孫のものかどうか確認するため娘と共に警察に行く。
娘真知子の夫は他に女をつくり別居していた。
腕は孫の鞠子のものでは無かったが、袋に一緒に入っていた品が鞠子の物だった。
真知子はおかしくなり、道路に出て車にぶつかってしまう。幸い頭に傷は無かったが、意識が元に戻らなかった。

 真知子の家の電話が鳴り有馬義男が出る。
それは犯人からのもので、あるホテルに来れば鞠子の情報を教えると言う。
有馬義男が犯人の言うとおりにしたら、鞠子の時計がポストに届けられていた。

 犯人の連絡により鞠子の死体が見つかる。

 警察から容疑を受けた人間がテレビの生番組に出て無実を主張する。その時犯人から番組に電話があった。
しかし犯人の話の途中でコマーシャルが入り、怒った犯人は電話を切る。
しかし後からちゃんと電話をかけてきて、冷静に対応するのだった。有馬義男の所に犯人から電話が来る。
有馬義男は生番組での最初の電話と後の電話は人間が違う、犯人はあんただけではなく、
あんたは誰かに使われてるだけではないかと指摘すると犯人はたじろいだ。

 車のトランクに男の死体を乗せた車が事故る。
車に乗っていた二人の男は死亡、
その二人の内の栗橋浩美のマンションから右手の部分だけが無い骨が出て来る。
事件は終わったかに見えたが…。

 栗橋浩美には赤ん坊の時に死んだ姉が居た。
浩美は何かというと親に女の子が良かったとか、姉の方が生きていたらと言われて、
死んだ姉が私の体を返してと言って襲ってくる夢を見るようになる。

 彼がガールフレンドとお化けビルと呼ばれている廃墟に着いた時は暗くなっていた。そこに一人の少女が現れる。少女嘉浦舞衣は彼らの車に乗せてもらおうと思ったのだ。しかし浩美が少女に重ねてみたのは姉だった。
少女を殺してしまう浩美。ガールフレンドは暗い中穴に落ち、背骨を折った。
我に返った浩美は友達のピースに相談する。ピースは事をうまく処理してくれた。二人は一緒に人殺しを始める。

 浩美が有馬義男に電話した所を幼馴染の高井和明に見られてしまっていた。
その事を知った浩美はピースと話し合って、高井和明を犯人に仕立て上げる事にする。
二人のアジトに呼び出されバットで殴られ気を失う高井和明。物置に入れられる。
物置から出された彼は浩美を説得する。なかなかにするどい事を言う和明の言葉に動揺する浩美とピース。
ピースは和明に麻酔を打ち話を止めさせる。
ピースの考えどおり、あらかじめ用意していた男の死体を和明の車のトランクに入れ、和明を後ろの座席に置いて、浩美が一人で車を運転して、山を下っていく。しかし浩美の心はまだ揺れ動いていた。
途中和明が気が付き、ガソリンスタンドで給油中に外に出て助手席の方に座る。
和明が意外な事を浩美に言い、浩美の心は決定的におかしくなっていく。運転をあやまり、車は崖を転落していく。

 いきなり凶悪殺人事件の犯人高井和明の妹という事になってしまった由美子。
兄の無実を主張しても誰も聞いてくれない。そんな時兄の友達だと言う網川浩一が現れた。
彼は高井和明は無実で真犯人は別にいるという本を出版する。

 どこに出しても恥ずかしくない名作だと思います。でも読むのはつらかったです。
加害者の娘樋口めぐみから必死で逃げる塚田真一君。どうしても止めさせる事が出来ない。理不尽です。
樋口めぐみも不幸だとは思いますが…。孫娘が無残に殺され、娘がおかしくなってしまった有馬義男さん。
娘さんの心が不安定になっていくのがわかっていてもどうする事も出来ない。
孫娘鞠子の事でも有馬義男は自分を責めちゃうんですよね。悪いのは犯人ですが…。
黄金の魂を持っている高井和明ですが、妹の由美子はその事が全然わかっていない。妹なんてこんなものか。
基本的に人をバカにしているくせに、自分がバカ丸出しの言動をしている事にはちっとも気づかない網川浩一。
自分の言いたい事、やりたい事ばっかり考えていて、
他人が言っている事を注意深く聞いていないからトンチンカンな事を言っちゃったり、やっちゃったりするんですね。

 いろいろ鋭い描写があって、つくづく宮部みゆきさんはすごい作家だなと思います。
ああ、あれもありうる、これもありうると感心しっぱなしです。どうしてこんなに細かく思いつくのか。
細部に渡って素晴らしいです。

 加害者が正直に話してくれるかどうかはわかりません。
生き残った加害者によって被害者が不当に傷つけられるのは嫌な事です。
最近被害者の遺族を救済しようという機運がありますが、うまくいくのでしょうか。一生背負っていくのでしょうね。
やっぱり加害者の家族も気の毒です。時々自殺の話を聞きます。
私自身は被害者の遺族や加害者の家族の力になる自信はありません。うすっぺらい自分を痛感します。
何年たっても有馬義男さんみたいにはなれないと思います。有馬義男さん、気の毒すぎます。

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